稲田朋美・菅義偉・高市早苗等の白紙領収書利用の立派な「政治とカネ」錬金術

2016-10-07 13:22:34 | Weblog

 2016年10月6日の参議院予算委員会で共産党の小池晃議員が、安倍内閣閣僚の防衛相稲田朋美、官房長官菅義偉、総務相の高市早苗等が白紙の領収を発行させ、そこに各事務所の人間が自ら日付、宛名、金額を記入していたと追及したところ、本人たちはその事実を認めた。

 白紙領収書の利用は一般的には実際に支払った金額よりも高い金額を記入して経費を水増しすることで税金を安くあげて手元資金を節約し、その分利益を増やす錬金術に用いる。

 政治家の場合にしても水増しした金額を記入することで政治資金を節約すると同時に節約した分をプールして、表に出すことのできない目的のためのカネに回したりする「政治とカネ」のための錬金術に利用する。

 稲田朋美の白紙領収書はどういった錬金術だったのか、小池晃と稲田朋美の質疑のみを見てみる。 

 小池晃は最初に参考人として出席していた総務省自治行政局選挙部長の大泉淳一に2007年12月に改正された政治資金規正法の中心点と法案の趣旨の説明を求めたのち、政治資金規正法が規定している領収書について尋ねる。

 小池晃「政治資金規正法第11条で領収書の要件はどうなっていますか」

 大泉淳一「政治資金規正法上、領収書等とは当該支出の目的、金額、年月日を記載した領収書、その他支出を証するべき書面というふうに規定されているところでございます。

 この旨は法務省の作成をしております収支報告書の手引にも書いてございますが、これは一般的な見解として示しております。特段の引用を反映していないということで説明しているところでございます」

 小池晃「領収書はね、金額が記載されていなければいけないというのは余りにも当然なことですね。だから、法律にもちゃんとそう記載されているわけでございます。しかし自民党などでは政治資金パーティーなどで金額が白紙の領収書が横行しているようであります。

 これ、稲田防衛大臣の政治資金収支報告書に添付されている領収書のうち、ここに今座っておられる閣僚の(と、大臣席に向けて伸ばした手を横に動かして全員を示す具合にして)事務所が発行した領収書だけパネルにさせて頂きました。

 ずらりと並んでいます。筆跡鑑定も行いました。新聞『赤旗』で筆跡鑑定を依頼して、金額全て筆跡が同一人物が書いたものだと分かりました。

 稲田大臣、これは各大臣から発行された白紙の領収書を受け取って、金額は稲田事務所で書き込んだ、間違いないですね」
 
 稲田朋美「今小池委員がご指摘なったように私が代表を務めております政治団体『ともみ組』が提出した政治資金収支報告に基づいて、同報告書の中で会費支出として計上している政治資金パーティー会費領収書の中に稲田側で日付・宛名及び金額を記述したものが存在しており、今ご指摘があったとおりであります

 それらは政治資金パーティーの主催者側のご都合により主催者側の権限に於いて発行された領収書に対し、主催者側の了解のもとで稲田側に於いて未記載の部分の日付・宛名・金額を正確に記載したものであります。

 国会議員はしばしば同僚の政治資金パーティーに参加を致します。その際、主催者側としては数百人規模が参加するパーティーの受付で特に政治家の先生方は会費を祝儀袋、水引のついた祝儀袋に入れて持って来られますので、参加会費の入れた封筒を開封し、金額を確認した上で宛名と共に金額を記載すると、受付に長時間を要してしまう、受付が混乱すると、パーティーの円滑な運営に大きな支障が生じてしまうことから、その都合上、金額が空欄の領収書を発行することがあります。

 そのため互いに面識がある主催者と参加者との間に於いては領収書の日付・宛先・金額について主催者側の了解のもと、いわば委託を受けて、参加者側が記載することがしばしば行われております。その際、当然のことながら、参加者側、特にその、あのー、お示し頂いている場合ですと、私の側ですけれども、実際に支払った日付・宛先・金額を領収書に記載することとしております」 

 小池晃「ふふふ(と鼻先で笑う)。架空の支払いでないことを証明するために領収書ってあるんですよ。金額を勝手に書いていたら、領収書にならないじゃないですか。みんなつかっているからいいでしょと、それは子どもの言い訳みたいなことしないでくださいよ。

 領収書の要件を満たしていないことを認めるでしょ?」

 稲田朋美「今ご説明しましたように領収書を発行した方、作成名義人がその方の権限で以って発行されておる正式な領収書でございます。そしてその了解のもと、いわば委託を受けて、こちらの側で正確に日付・金額等を書き込んでいるわけであって、何の問題もないと思います」

 小池晃「だって、今ね、稲田さん、さっき説明したときにいちいち封筒を開ける時間がないから、こうしてるんだ。じゃあ、2万円かどうか分からないじゃないですか。

 そんなの稲田さんが書いているだけということになりますよ。領収書の要件、呈していないじゃないですか」

 稲田朋美「ただいま、重複(ちょうふく)になりますけども、あー、作成名義人であるところの主催者側が正式に発行をした領収書でございます。そしてその了解のもとで、ただそこでお示し頂いているものであれば、主催者側が設定した会費と同額でございますけれども、こちらで正確に支出したものを了解のもとで委託を受けて、いわば委託を受けて、書き込んでいるものであって、私は政治――、いー、政治資金規正法のもとの領収書として問題はないと思っています」

 小池晃「だって、政治資金規正法の第11条には金額は書いてなければならないとかいてあるのだから、どう考えたって、政治資金規正法の要件を満たしていないじゃないですか?

 で、委託があったら、金額はあとで書いていいなんて言ったら、今聞いている中小企業の社長さんたち、みんなでびっくりですよ。そんな領収書通用するわけないじゃないですか。

 こんなバカな話はない。こうした領収書はね、これは(パネルを指し)一例挙げただけですが、稲田さんはね、2012年から2014年まで3年間、約260枚、520万円分あるんですよ。

 稲田大臣自身も2009年11月、衆議院の法務委員会でこう言っています。『政治家は政治資金規正法についてきちんと認識しておいて頂かないと何が民主主義ですか、何が議会制民主主義です?』

 大臣おっしゃってる。こんな領収書を出しておいて、何が民主主義です?そうでないんじゃないですか?

 これはね、全く政治資金規正法の要件を満たしていないということをお認め頂きたい」

 稲田朋美「繰返しになりますけれども、発行された主催者側が正式に発行したものであり、こちらの都合によって発行されたものでもございます。ただ、ただですね、今小池委員のご指摘、更には『赤旗』でこの点を指摘されたことを受けまして、私の事務所では一般に来て頂いている方には2万円の印字の書いてある領収書を発行しております。

 そして政治家の方については殆どお祝儀袋の水引のついたものに入れておられる関係から、こういった形で処理しているものも、これからしっかりと、どういった形ができるか、検討していきたいと思っております」

 小池晃「これからはやらないということはマズイってことを認めているじゃないですか。まあね、語るに落ちたって感じですよ。しかもね、稲田大臣だけじゃないですね――」

 菅義偉に対する追及に移る。

 稲田朋美は「領収書を発行した方、作成名義人がその方の権限で以って発行されておる正式な領収書でございます」と言い、「政治資金パーティーの主催者側のご都合により主催者側の権限に於いて発行された領収書に対し、主催者側の了解のもとで稲田側に於いて未記載の部分の日付・宛名・金額を正確に記載したものであります」と言っているが、領収書の様式自体が宛名記入欄や金額記入欄、日付記入欄、但し書記入欄、発行者氏名がそれぞれ印刷してあって、正式とすることができても、発行者名だけが正式なだけで、領収書の発行者がそれぞれの欄に受け取った金額も日付も但し書の欄に記入する用途(=使い途)も書かないままに渡した領収書は、如何なる権限を持っていようと、あるいは主催者側の了解を如何に得ようとも、正式な発行の領収書から外れることになる。

 稲田朋美は領収書の記述が正式な体裁を整えていないにも関わらず、領収書の様式が正式であることを以て「正式な領収書」と言ってゴマカシているに過ぎない。

 小池晃は稲田朋美が「正式な領収書」とした時点で、「様式は正式でも、政治資金規正法第11条が規定しているように正式な体裁を整えていないのだから、正式な領収書とは言えないではないか」と追及しなければならなかった。

 稲田朋美は白紙の領収書を受け取っていた理由として、数百人規模が参加するパーティーの受付が参加会費を入れた水引きの封筒を開封し、金額を確認した上で宛名と共に金額を記載すると時間がかかって混乱が生じ、パーティーの円滑な運営に大きな支障を来たすからだと説明している。

 但しこの理由には受付を一人と想定したゴマカシがある。秘書を何人も抱えているはずである。多人数の出席が予定される葬式でもパーティーでも、受付は二人一組で二組、三組と用意するものである。封筒を出し、領収書を受け取るのは政治家本人の場合もあるだろうが、多分政治家の秘書だろう。受付の一組二人のうちの一人が水引きであろうと何だろうと金額の入った封筒を受け取りながら事務所の名前を尋ね、その名前を横で聞いていたもう一人が領収書に書き入れて、封筒を受け取った一人がそれを開封して金額を確認して、もう一人に伝えると、その一人がその金額を聞いてチェックライターで印字する役を務め、その役割を二組、三組と同時に担えば、混乱は生じないし、パーティーの円滑な運営に大きな支障を来たすといったこともない。

 こういったことは来客に迷惑を掛けないために一般的にはどこでも行われていることである。

 数百人規模が参加することが予定されていながら、パーティーの受付を一人一組しか用意しなかったとしたら、例え政治資金パーティーの運営に過ぎなかったとしても、ガバナンス能力が疑われ、主催者は政治家としての資格を欠くことになる。 
 
 受付で来客に迷惑をかけない運営をも心掛けるのが主催者の務めであり、能力であろう。

 もし一人一組しか用意しなかったとしたら、白紙の領収書を発行するための仕掛けの疑いが出てくる。

 稲田朋美はそれぞれの白紙欄に「日付・宛名・金額を正確に記載した」と何もゴマカシていないことを証明しょうとしているが、政治資金パーティーの日付と但し書は既に決まっていることだから、前以てパソコンで印字しておくことができるはずなのに当日手書きで書くか、チェックライターで印字しなければならない項目に入れているのもゴマカシを隠す作為と見て取ることができる。

 現在、チェックライターは握りの部分を手に握って左右に回すことで金額の数字を合わせ、ガチャンと打つことで機械に挟んだ領収書に印字できるのと、ボタン式で数字のボタンを打って金額の数字を揃え、やはりボタン操作で印字てきるチェックライターがある。

 手書きは宛名程度だから、1枚の領収書を仕上げるのにそんなに時間はかからない。

 稲田朋美の説明は何もかもが白紙の領収書を遣り取りして錬金術に利用する目的で作り上げたシナリオに見える。

 小池晃は稲田朋美に白紙の領収書に支払った金額と同じ金額を書き入れたことを第三者に証明できる物的証拠を示すことができるか尋ねるべきだった。

 いくら本人がゴマカシていないと言い張ろうと、政治資金の支出に関して白紙の領収書を遣り取りすること自体が政治資金規正法に反する行為を前提としている以上、第三者を信用させる力はない。

 マスコミ記事によると、政治資金規正法を所管する総務相の高市早苗は「領収書作成方法は法律で規定されておらず、パーティー主催者から了解を得ていれば法律上の問題は生じない」と発言し、菅義偉は「政治資金規正法上、政治団体が徴収する領収書に際して発行者側の作成法についての規定はない」と正当化したことを伝えているが、両者共が稲田朋美と同様に領収書の様式が法律で規定されていないことを以って白紙の領収書の遣り取りをも同一線上のものとするコジツケを働かせているに過ぎない。

 小池晃はパネルで示した閣僚の事務所が発行した白紙領収書は一例に過ぎないと言っていた。他の閣僚の間でも白紙領収書を使った政治資金の錬金術が横行している。

 このゴマカシ――「政治とカネ」の問題は国民の目が届かない場所で脈々と生きづいている。稲田朋美や菅義偉、高市早苗、その他安倍内閣の閣僚が「政治とカネ」の問題に於けるそれぞれの主役を演じ、活躍している。

 安倍晋三はそれら主役中の主役として活躍していないのだろうか。

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