安倍晋三の10月13日参院予算委での薬師寺道代に対する障害者理解の答弁はお題目・口先だけの疑いあり

2016-10-14 09:57:47 | 政治

 「Wikipedia」に医学博士号を持ち、前職医師と紹介してあiり、更にみんなの党解党後は水野賢一らが設立した院内会派無所属クラブに参加したとある薬師寺道代(52)が2016年10月13日の参院予算委で聴覚障害者のオリンピック「デフリンピック」の日本開催招致などについて、時折、手話を使って質問し、対して安倍晋三が手話で応じたとマスコミ記事が伝えていたから、安倍晋三が応じたとしているその手話がどの程度のものか、質疑をNHKが放送した番組の録画で視てみた。

 薬師寺道代は「内閣府平成18年度障害者の社会参加促進等に関する国際比較調査」を基に作成した障害者の各スポーツ大会の参加資格とその認知度を手話を用いてボードで示した。 

 パラリンピック・・・・・・・主に肢体不自由の身体障害者(視覚障害者を含む)・・・・・94.0%
 デフリンピック・・・・・・・聴覚障害者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.8%
 スペシャルオリンピックス・・知的障害者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12.4%

 この調査は日本、ドイツ、アメリカを対象としていて、パラリンピックのドイツ周知度は85.9%、アメリカ49.4%と日本より低くなっている。

 デフリンピックスはドイツ48.7%、アメリカ21.0と日本より高い周知度だが、左程高いとは言えない。スペシャルオリンピックスはドイツ46.5%、アメリカ93.1%。

 生活補助がより困難な知的発達障害者の国際スポーツ大会に対する周知度がアメリカでは93.1%と高いということは知的発達障害者に対する理解度が高いことに対応した数値なのだろうか。

 日本はパラリンピックに対する周知度は94.0%と高くても、視覚障害者の白い杖や盲導犬に対する理解度は低いようだ。

 アメリカは障害者先進国と言われ、日本は障害者後進国に位置づけれれている。車椅子生活者の「Travel For All」と言うウエブサイトに、「世界のバリアフリー事情/米国」と題した記事が載っていて、自身がアメリカを旅行して得た知識として、〈アメリカに関しては何の心配もないですね。世界一のバリアフリー先進国です。理想的です。  

  ADA(アメリカ障害者法)にも、アクセス権(移動権)が保証されています。〉と紹介している。

 因みに私自身はパラリンピックは知っていたが、デフリンピックもスペシャルオリンピックスも無知そのものの状態であった。

 薬師寺道代は手話を用いて日本のパラリンピック以外の国際スッポーツ大会に対する周知度の低さを説明し、そのため「スポーツ活動を行うにも十分な協力が得られにくい現状がある」からと、この現状についての認識を文科相の松野博一に質問した。

 松野博一「委員からご指摘がありましたようにパラリンピックの認知度が約98%、高い一方でスペシャルオリンピックスやデフリンピックの認知度がそこまで行かないという状況でございます。

 このような状況を踏まえて今後デフリンピックやスペシャルオリンピックスの認知度を高めることを含め、スポーツの普及や障害者理解促進を一層強めて行かなければいけないとそう考えております」

 認知度の現状とスポーツの普及や障害者理解促進の単なるお題目を並べただけである。役人が書いた原稿を読み上げただけだから、そうなるのだろうが、何の熱意もないお題目答弁に薬師寺は「ありがとうございます」と応じている。

 薬師寺道代はパラリンピックは国家プロジェクトとして国や企業の支援を受けてその普及と啓発の施策は強化されているが、パラリンピックに偏り過ぎている、聴覚障害者が全国のスポーツ施設・スポーツクラブで日常的にスポーツができるように振興策を講じているのかと再び松野博一に問い質した。

 松野博一「聴覚障害者の方を含めた障害者のスポーツ実施率は成人全般と比較して低調な状況にあり、その原因の一つとしてスポーツのできる場の不足が挙げられています。文部科学省としては特別支援学校を活用した障害者スポーツの拠点や地域スポーツクラブへの障害者の参加促進など、障害者スポーツの場づくりに向けた取組を行っているところであります。

 特に地域スポーツクラブについては障害者スポーツの導入のためのガイドブックを作成をしており、その普及活用を図るなど、聴覚障害者を含め障害者スポーツの場の確保なに努めてまいりたいと考えております。

 で、併せまして、本年4月に施行されました障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に基づき、文部科学省では所管事業部位に於ける障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針を作成しております。

 この指針では不当な差別的な取扱いでの具体例として障害のみを理由としたスポーツ施設等、サービスをさせないことを挙げております。文部科学省はこの内容を各都道府県や関係団体に通知をしたところであり、指針に基づく対応をされるうよう、今後とも周知徹底を図っていくつもりです」

 役所が計画していることや実施していることを原稿を読んで伝えているだけで、障害者に対する一般の理解の遅れに対する自分なりの考えや思いは一切ない。

 デフリンピックの夏季大会は1924年にフランスで、冬季大会は1949年にオーストリアで始まったそうだが、薬師寺は長い歴史を誇っていながら、日本では一度も開催されていないが、昨年の夏季大会、冬季大会共に参加した日本人選手が金メダル3個も獲得している。障害者に対する理解を進めるためにもデフリンピックを日本の招致してもらいたいと要請した。

 安倍晋三「障害者スポーツの国際的な競技大会を我が国で開催することは障害者のスポーツの振興、さらには障害者に対する国民理解を深める上で大きな意義があると思います。

 聴覚障害者のための大会デフリンピックはパラリンピックとは別に開催されており、これを日本に招致するという趣旨については素晴らしいと私も思っています。他方、大会招致に当たっては開催地の自治体との調整、主催する国内団体の体制の整備などの課題もあるものと承知をしております。

 デフリンピックの日本招致について開催団体や自治体との間の調整が進み、具体的なご相談があれば、その内容に於いてしっかりとバックアップをしていきたいと思います。

 今後とも、デフリンピックへの国民の関心が高まるよう、関係団体と協力して取り組んでいきたいと思いますし、今日は薬師寺委員にこのような提案を取り上げて頂き、デフリンピックに対する知名度・理解も増すんではないかと思います。

 私も大変嬉しく思います。ありがとうございました」

 薬師寺道代「ありがとうございます。私も諦めずにこれからも努力してまいりますのでよろしくお願いします」

 薬師寺道代は安倍晋三の答弁に「ありがとうございます」と応じたが、安倍晋三は「私も大変嬉しく思います」と言う間のみ、指を開いた両手をそれぞれ左右の胸のところで上下に動かして、手を用いた会話としたに過ぎない。

 ただそれだけである。

 薬師寺道代は知的障害者のためのスペシャルオリンピックスの質問に移る。

 安倍晋三は「障害者スポーツの国際的な競技大会を我が国で開催することは障害者のスポーツの振興、さらには障害者に対する国民理解を深める上で大きな意義がある」と言い、さらに「今日は薬師寺委員にこのような提案を取り上げて頂き、デフリンピックに対する知名度・理解も増すんではないかと思います」言いながら、デフリンピックの日本招致は自治体頼み、関係団体頼みで、それらの組織からの相談があればバックアップすると、自分から自発的に動いて主導するのではなく、自分からは動かないことを宣言した発言となっているのだから、国際的な競技大会の開催が「障害者に対する国民理解を深める上で大きな意義がある」の物言いは、文科相の大野に勝るとも劣らない熱意も何もない口先だけに過ぎないことになる。

 安倍晋三が手話で応じたと言っても、質問通告で手話を使うことを伝えられていて、「私も大変嬉しく思います」と言う部分だけを急遽手話を学んで取って付けた俄仕立てなのだろう。

 結果、口先だけの物言いに対応した手話が正体といったところになったということであるはずだ。

 安倍晋三は2016年2月28日の「一億総活躍社会実現対話」で、「一億総活躍社会は、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、誰もが活躍できる社会です」と言い、2016年4月6日の「第50回 国家公務員合同初任研修開講式」の挨拶では、「安倍内閣は、今年、新しい挑戦を始めました。『一億総活躍社会』を創る、という挑戦であります。

 若者もお年寄りも、女性も男性も、難病や障害のある方も、一度失敗を経験した人も、誰もが活躍できる社会であります。誰もが生き甲斐を感じられる社会を創り、少子高齢化に歯止めをかける。『一億総活躍』とは、国民一人一人の前に立ち塞がる、様々な「壁」を取り除くことであります」と言っている。

 また、2016年9月26日の安倍晋三の臨時国会所信表明演説でも、「障害や難病のある人も、お年寄りも若者も、女性も男性も、一度失敗を経験した人も、誰もが生きがいを感じられる社会をつくることができれば、少子高齢化というピンチも、大きなチャンスに変えることができるはずです。

 2020年、そしてその先の未来に向かって、誰もがその能力を存分に発揮できる社会をつくる。1億総活躍の『未来』を皆さんとともに切り開いてまいります」と約束している。

 障害者や難病者を他と対等な生活者として社会参加の資格がある、対等な社会参加によって誰もが生き甲斐を感じることができる社会を創ると言いながら、デフリンピックの日本招致については他人任せとなっている。

 この前者・後者の整合性の無さは、安倍晋三がカネを持つ者が社会的な活躍の幅をより広げて、カネを持たない者が社会的活躍の幅を制限される経済的格差社会をつくり出している張本人であることと考え併せると、社会的弱者に対する立派な約束事は薬師寺道代に対する答弁同様、お題目に過ぎない疑いが濃厚となる。


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