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《3月25日民主党・みんなの党・結いの党・生活の党4党共同『東日本大震災復興特別区域法改正案』衆議院提出》
3月23日日曜日のフジテレビ「新報道2001」。《【新報道2001抄録】河野談話、新事実出れば新たな談話発表も 萩生田氏》(MSN産経/2014.3.23 19:35)
司会者「慰安婦募集の強制性を認めた『河野談話』の検証について。嘘が明らかになれば見直しをせざるを得なくなるのか」
萩生田光一「新たな事実が出てくれば新しい談話を発表すればいい。安倍晋三首相は『見直しを考えていない』と言ったが、新しい談話を出すことを否定していない」
松原仁民主党「石原信雄元官房副長官が国会で裏付け調査をしていないと言った。日 本の名誉に関わるので事実関係を明らかにしたいという国会の思いがあって当然だ」――
萩生田が言っている「新たな事実」とは「河野談話」が歴史的事実だとしている従軍慰安婦募集への旧日本軍の関与と募集の拉致・連行の強制性の否定を前提とした「事実」であって、安倍晋三がいくら「見直しを考えていない」と言っても、「出すことを否定していない」「新しい談話」は見直しそのものの内容となる。
しかも安倍晋三は第1次安倍内閣で「河野談話」を既に否定している。安倍内閣が「河野談話」の定義自体が変わったとしていることについての辻元清美の質問書に対して2007年3月16日に「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったところである」とする答弁書を閣議決定、これが「河野談話」自体の否定となる。
但し否定しながら、〈(河野)官房長官談話は、閣議決定はされていないが、歴代の内閣が継承しているものである。〉として、〈政府の基本的立場は、官房長官談話を継承しているというものであり、その内容を閣議決定することは考えていない。〉と、定義自体を否定しながら、内閣としては 「河野談話」を引き継ぐとしている。
但し否定に基づいた表面的な引き継ぎを構図とすることになり、その構図を現在も引きずっている。
そしてこの構図には妻としての価値は認めないが、夫婦関係は続けるといった類いの仮面性を見ないわけにはいかない。
菅官房長官は萩生田発言翌日3月24日午前の記者会見でその発言を否定しているが、その否定にしても、「河野談話」否定に基づいた表面的な引き継ぎという仮面性の観点から判断しなければならないことになる。
菅官房長官「今まで安倍総理大臣からそういうことを聞いたことはなくあり得ない。安倍総理大臣が国会でも明言しているように検証は行うが、そのことが見直しに及ぶことはあり得ない。萩生田氏の個人的な発言だと承知している。」
記者「戦後70年に合わせて発表したいとしている安倍総理大臣の談話に検証結果を反映させる可能性があるか」
菅官房長官「それはない。戦後70年に未来志向の談話を出したいということは当初から申し上げているとおりだ」NHK NEWS WEB)――
戦後70年に合わせた新談話発表にしても、「河野談話」否定に基づいた表面的な引き継ぎでしかない仮面性を纒わせたままであることの証拠は2012年5月11日の自民党政権獲得前の安倍晋三に対する産経新聞インタビュー発言に見ることができる。インタビューは尖閣の土地の国購入や日米関係にも及んでいるが、関係個所のみを引用する。
《【単刀直言】安倍晋三元首相 尖閣「国が購入すべき」 維新の会、石原新党と も「連携できる」 憲法96条改正で衆参ダブル選も》(MSN産経/2012.5.11 21:34)
安倍晋三「自民党も下野してずいぶん歯がゆい思いをしてきたが、ムダではなかったと思ってるんですよ。
例えば先日まとめた憲法改正草案は平成17年の新憲法草案よりはるかに良くなったでしょう。前文に「日本国は国民統合の象徴である天皇を戴(いただ)く国家」と記し、国防軍も明記した。やはり与党時代は現行憲法に縛られ、あらかじめ変な抑制を効かせちゃうんだな…。
それにかつて自民党は歴代政府の政府答弁や法解釈などをずっと引きずってきたが、政権復帰したらそんなしがらみを捨てて再スタートできる。もう村山談話や河野談話に縛られることもない。これは大きいですよ」――
これが国家主義者・歴史修正主義者安倍晋三の「河野談話」、「村山談話」に対する仮面性を投げ捨てたホンネ中のホンネであることは疑い得ない。
にも関わらず、3月14日の参院予算委員会ではいつもどおりのホンネを隠して仮面性を纒わせた答弁を行っている。《河野談話をめぐる安倍首相・菅官房長官の発言詳細》(asahi.com/2014年3月14日12時29分)
菅官房長官の発言は省く。
有村治子自民「河野談話の内容は歴史的事実と受け止めているか」
安倍晋三「歴史認識については、戦後50周年の機会には村山談話、60周年の機会には小泉談話が出されている。安倍内閣としてはこれらの談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる。慰安婦問題については筆舌に尽くしがたい辛い思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む。この点についての思いは私も歴代総理と変わりはない。
この問題についてはいわゆる河野談話がある。この談話は官房長官の談話ではあるが、安倍内閣でそれを見直すことは考えていない。歴史に対して我々は謙虚でなければならないと考えている。歴史問題は政治・外交問題化されるべきものではない。歴史の研究は有識者や専門家の手に委ねるべきだと考えている」――
有村治子は「河野談話の内容は歴史的事実と受け止めているか」と質問した。対して安倍晋三は「村山談話」や「小泉談話」に関しては「歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と答弁、「河野談話」に関しては「見直すことは考えていない」と答弁している。
この「見直すことは考えていない」が「歴史的事実」であるから「見直すことは考えていない」と言うことなのか、「歴史的事実」ではないが、「見直すことは考えていない」と言うことなのか、明確には答えていない。いわば「歴史的事実」であるか否かの答弁を避けている。
このことは第1次安倍内閣での「河野談話」否定に対応する答弁回避であるはずだ。
そしてこの答弁回避はまた、「村山談話」や「小泉談話」は安倍内閣として引き継いでいるとしているのに対して「河野談話」は「引き継いでいる」と安倍晋三自身の口から答弁していないこととなって現れている重複性であるはずだ。
以上見てきたことを結論づけると、「河野談話」見直し否定は第1次安倍内閣が「河野談話」が定義づけていた歴史的事実をそもそもから否定している以上、その否定に基づいた表面的な引き継ぎでしかない仮面性を纒わせていることに何の変化もないことになる。
と言うことは、萩生田総裁特別補佐は総裁特別補佐らしく、安倍晋三のホンネを代弁したに過ぎないことになり、菅官房長官の萩生田発言否定は内閣全体を監督する立場から、仮面性保持者としての役割を忠実に果たしたことになる。
歴史修正主義者安倍晋三にとって、「河野談話」否定に基づいた表面的な引き継ぎでしかない仮面性を纏い続けることが「歴史に対して我々は謙虚」と言うことになる。