安倍晋三日本大震災3年目記者会見、「高齢者や子供の心のケア」、「心の復興」は今さら言うことなのか

2014-03-11 09:13:56 | Weblog

 


      《生活の党PR》

      《3月11日(火) 東日本大震災から3年を迎えて 小沢一郎代表談話発表》

 安倍晋三が昨日3月10日、2011年3月11日東日本大震災3年目に当たって、首相官邸で記者会見し、物理的・経済的復興のみならず、高齢者や子どもの心のケア――「心の復興」にも今後重点的に取り組んでいくと宣言した。

 今さら言うことなのか。

 発言は、安倍晋三記者会見(首相官邸/2014年3月10日)による。  

 安倍晋三「インフラや住宅の復興が幾ら進んでも、被災者が心に受けた傷が癒されるわけではありません。震災から3年、長期にわたる避難生活が大きな精神的な負担ともなっています。人と人のつながりを守り、被災者が孤立することのないよう、地域の見守り体制をつくります。仮設住宅への保健師などの定期巡回を進め、被災者の心に寄り添った支援に重点を置いてまいります。

 特に子供たちへのケアは欠かせません。従来から、カウンセラーの学校への派遣を行ってきましたが、仮設住宅への巡回訪問も実施することとし、子育て世帯も含めてバックアップしてまいります。さらに、仮設住宅の空き部屋を遊び場や、学習スペースとすることで、子供たちが安心して過ごせる場所をつくってまいります。これからは、ハード面の復興のみならず、心の復興に一層力を入れていきます」

 「地域の見守り体制」の構築、「仮設住宅への保健師などの定期巡回」、「仮設住宅の空き部屋」の遊び場と学習スペースへの転換。「心の復興」だと、いわば叫んでいる。

 「カウンセラーの学校への派遣を行って」きたが、それを「仮設住宅への巡回訪問」にまで広げるということは、学校への派遣のみでは追いつかないことを受けた措置であろう。追いついていれば、仮設住宅まで広げることはない。

 但し、東日本大震災3年目にして学校のみでは追いつかないからと行うことなのだろうか。

 大体が人と人との関係維持、特に高齢者の孤立化防止・心のケア、子どもに対する心のケアと十全なる活動の保障は「インフラや住宅の復興」と併行させて行うべき政策であったはずだ。

 東日本大震災の発災は民主党政権時代のことだが、民主党政権が行ってこなかったとは批判する資格はない。当時野党の立場として政権に求めなければならなかった被災者の精神面に対する施策であったはずだからだ。そうでなければ、「与野党の垣根を超えて」とか、「日本が一つとなって」といった言葉をウソにすることになる。

 少なくとも第2次安倍政権発足と同時に取りかからなければならなかったにも関わらず、1年以上も経って、これから重点化すると今さらながらに言っている。後手に過ぎないのではないのか。

 「毎日官邸で福島産のお米を食べてパワーをもらっています」と言っている場合ではないはずだ。極楽トンボ(=気楽者)め。

 「人と人のつながりを守り、被災者が孤立することのないよう、地域の見守り体制をつくります。仮設住宅への保健師などの定期巡回を進め、被災者の心に寄り添った支援に重点を置 いてまいります」――

 2013年9月時点の復興庁調査震災関連死者数。

 ▽岩手県417人
 ▽宮城県873人
 ▽山形県2人
 ▽福島県1572人
 ▽茨城県41人
 ▽埼玉県1人
 ▽千葉県4人
 ▽東京で1 人
 ▽神奈川県2人
 ▽長野県3人
  
  合計2916人(「NHK NEWS WEB」2014年2 月10日 20時59分)から。

 これはあくまでも把握できた人数であって、把握できなかった震災関連死の存在は否定できない。

 この2916人は進行形の形を取った“死の数”であり、次第に増えていていって2013年9月時点で2916人に到達、そしてさらに時間の経過と共に増加率を減少させたとしても、全体数を増やしていく構造を取っていることは最初から分かっていたはずだし、死者数の把握だけではなく、その構造自体をも把握していなければならなかった。

 当然、被災者孤立化防止の仮設住宅への保健師などの定期巡回等の「被災者の心に寄り添った支援」策としての「地域の見守り体制」は遥かに早い時点で取り組まなければならなかったはずだが、それを3年経ちました、心を砕いていますとばかりに得々と打ち出す。

 復興庁調査の東日本大震災発災から2年後の2013年3月31日現在の関連死者数は合計2688人となっていて、2013年9月までの半年で228人増えている。1カ月38人の震災関連死全体数の増加である。

 2013年9月時点の関連死者数2916人のうち2599人は66歳以上の高齢者で、89%を占める。これは2013年3月31日現在の関連死者数の割合と殆ど変わらない。

 家や家族や財産を失ったショック、避難生活の不便による心身の疲労困憊からの身体と精神の衰弱が医者の技術とクスリでどうにか保つことができたとしても、そのことが命の保ちの永久の保障とはならない。それが2013年3月31日から2013年9月時点までの半年間の228人の増加となって現れたという一面もあるはずだ。そして今後もその一面が覗くことになる。

 福島県の1572人という突出した関連死者数はどのような理由によるのだろうか。放射能に対する一時的で終わらない、年数を限ることができない不安が関連しているのだろうか。そういった不安は精神的に人間をどこに身を置いていいのか分からない拠り所のない宙ぶらりんな不安定な状態に置く。

 そして福島県では2014年2月19日現在で震災関連死が震災直接死を上回ることとなった。《福島、震災関連死が直接死上回る 避難長期化でストレス》47NEWS/2014/02/19 17:36 【共同通信】)

 〈東日本大震災と東京電力福島第1原発事故による住民避難が続く福島県で、体調悪化などが原因で亡くなる「震災関連死」の死者が19日現在で1656人となり、津波など震災を直接の原因とする死者1607人(10日の警察庁集計)を上回ったことが、県などのまとめで分かった。〉――

 県外避難者は約13万6千人。

 福島県担当者「それまでの生活が一変した上、帰還など将来の見通しが立たずにストレスが増していることが要因」――

 安倍晋三は首相就任後在任約1年3カ月で被災地を13回、福島県のみでは3月8日の訪問で6回の訪問を行っている。この回数は在任約1年4カ月の野田前首相の10回を上回るということだが、回数を誇る単細胞だから、これからも頻繁に訪問することを計算に入れて訪問回数は突出することになったとしても、何が問題となっているのか自身では自覚的に認識していなかったようだ。

 もし自覚的に認識していたなら、とっくの昔に必要としていたことを今さらながらに「地域の見守り体制」の構築だ、「心の復興」だ云々などと、言葉そのものは立派だが、記者会見の場でさも素晴らしい政策であるかのように得意気に喋ることはなかったはずだ。

 自覚的に認識していなかったから、3年も経つのに喋ることができた。

 福島の子どもたちの発育状況を見てみる。

 《放射能恐れ? 外遊び減り、乳幼児にビタミンD欠乏性くる病…》MSN産経/2013.9.24 11:30)

 記事は放射能汚染を恐れて外出を控え、乳児の食べ物も栄養のバランスが取れた離乳食を放射能混入を疑って与えずに栄養不足の母乳で育児を続ける母親の出てきたために子どもが日光を浴びる機会が極端に減少、紫外線を浴びることで皮膚でビタミンDを生成する機会を奪うことになってビタミンD欠乏性によるくる病になる事例が報告されていると伝えている。

 〈栃木県下野市の自治医科大付属病院とちぎ子ども医療センターには一昨年8月から昨年3月にかけて、日照不足とみられるビタミンD欠乏性くる病の乳幼児3人(1歳2カ月~1歳9カ月)が来院した。1人はカルシウム不足によるけいれん、2人はO脚。3人のうち2人が1歳以降も母乳を続け、離乳食をほとんど食べていなかった。〉――

 この母親たちは放射能汚染を恐れて、子どもたちを屋外に出さない生活をしていた。
 
 八木正樹とちぎ子ども医療センター医師「乳幼児の保護者らは日照不足がくる病を起こすという認識が少な かったようだ。離乳食にいつから切り替えなければならないということはないが、母乳だけでは栄養が不足する。骨や筋肉の発育にはビタミンDが多く含まれる食品も食べさせるよう指導した」――

 2013年9月24日の記事である。「心の復興」は被災者や被災地で暮らす生活者にはこれ以前から必要としていた。

 大自然災害は子どもたちの外で遊ぶ機会を奪った。《被災地の子ども 極端な運動不足》NHK NEWS WEB/2012年6月10日 19時57分)

 東北学院大学鈴木宏哉准教授グループによる宮城県女川町小学4年生以上・中学生全員合計431人対象調査。

 1周間の学外活動1時間未満

 全国平均――18.5%
  女川町――33.8%

 全国平均
  男子――10.4%
  女子――25.0%

 女川町
  男子――15.4%
  女子――50.3%

 鈴木准教授復旧工事が本格化するなか、トラックなどの車両が頻繁に通行して危険なため、元の市街地の大半で子どもたちの移動が制限され、遊び場もなくなっていることや、仮設住宅に入ってバス通学になったため、歩いて登下校したり、放課後に活動したりすることがなくなってしまったことが大きいのではないか。

 子どもの健全な発育には週に7時間の活動が目安とされていて、現在の運動不足は、成人期における生活習慣病に影響を及ぼすことが考えられる。体育の授業の充実など学内の活動量の増加に向けて現場の教員をサポートする活動を進めていきたい」(下線部分は解説体を会話体に直す。)――

 2012年6月10日の記事が震災の子どもの発育に対する影響をこのように伝えていた。

 外で遊ばない子どもは、また肥満傾向を必然化する。外で遊ばない分、部屋にいる時間を増やし、外で身体を動かさない代償としてスナック菓子を摘む動作や咀嚼するために口を動かす動作、さらにはテレビゲームで指を動かす動作で肩代わりさせるからだ。

 《肥満傾向の子ども 福島で増加》NHK NEWS WEB/2013年12月13日 17時8分)

 文科省の全国5歳~17歳70万人対象調査。全国的に減少している肥満傾向の子どもの割合が福島県ではほぼすべての年齢で震災前よりも増えている。

 中学3年生の平均身長
  男子――1メートル65センチ
  女子――1メートル56.5センチ

 この10年、ほぼ横ばい。

 中学3年生の平均体重
  男子――54キロ
  女子――49.9キロ

 男女共に減少傾向が続いているため、標準的体重を20%以上上回る「肥満傾向」の子どもの割合は現在の調査方法になった平成18年度に比べて、すべての年齢で減少しているとのこと。

 但し、〈福島県で震災前に行われた平成22年度の調査と比べるとほぼすべての年齢で増えていて、なかでも6歳の女子と10歳の男子は1.8 倍。

 8歳と10歳、13歳、14歳、それに15歳の男子、16歳と17歳の女子は肥満傾向の割合が全国で最も高い〉――

 文部科学省「原発事故の影響で外で運動する機会が減ったことや、環境の変化による生活リズムの乱れが原因ではないか」――

 2013年12月13日付けの記事である。

 戸外の広々とした空間で身体を無心に伸び伸びと動かすことによって、身体の躍動ばかりか、精神の羽根を十全に広げ、それが喜びとなって身体中を満たして、知らず知らずのうちに健全な発育が促されていく。

 だが、震災や放射能漏洩が子どもから無心な身体と精神の躍動を奪った。そしてその悪影響は震災関連死も含めて2011年3月11日から始まっていたのである。

 当然、インフラ復旧等の物理的・経済的復興だけではなく、「仮設住宅への巡回訪問」等の高齢者ケア、子どもたちのための広々とした遊び場の確保等の「子供たちへのケア」、「地域の見守り体制」は2011年3月11日をスタートとしなければならなかった。少なくとも安倍晋三はこのような「被災者の心に寄り添った支援」を安倍第2次発足の2012年12月26日をスタートの日としなければならなかったはずだが、あたかも震災3年目の日をスタートの日としている。

 そうしてこそ、真に「被災者の心に寄り添った支援」と言うことができる。 

 この今さらに言うことではないことを今さらに言うこの距離感は、真に被災者のことを考えていない、実際には「被災者の心に寄り添っ」ていない不誠実さから来ているはずだ。

 もし真に被災者に誠実であったなら、このような距離感は生まれはしない。

 そしてこの距離感は安倍晋三が国家主義者であることが原因を成している。国家主義者は国民よりも国家そのものを優先させる。国家主義は日本国家の大震災からの経済の回復を果たすことが第一義とする。

 このことは今さらながらの高齢者や子どもへの視線が証明している。そしてその視線は高齢者や子どもを無視した場合、内閣支持率を失って、国家主義優先の政治を動かすことができなくなるための止むを得ない配慮に過ぎない。

 そのための今さらながらなのである。

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