菅仮免がどう居座ろうとも、最新の世論調査内閣不支持理由は一国のリーダーに対する致命的な存在否定宣言

2011-06-15 09:47:35 | Weblog


 
 6月14日の参院東日本大震災復興特別委員会でも菅仮免は衆院で菅内閣不信任決議案が大差で否決された事実に政権担当の正当性の根拠を置いていた。まるで口論を仕掛けんばかりの強い語調でまくし立てていたが、菅仮免にとってはその事実が既に唯一絶対の錦の御旗と化している節がある。

 だが、その大差の否決は鳩山前との確認書で退陣と交換条件に取引して得た民主党内不信任案賛成同調勢力の翻意がもたらした否決であって、無条件で獲得した大差ではなかった。

 当然、退陣を実行することによって初めてその大差の否決は正当性を得る。

 だが、菅仮免は取引を反故にした。最初からそのつもりで確認書への署名を断り、2日正午からの民主党代議士会で鳩山前から退陣表明をするようにと言われたから、「震災への取り組みに一定のメドがついた段階で、私がやるべき一定の役割が果たせた段階で、若い世代に責任を引き継いでもらいたい」とさも退陣するかのように発言したものの、時期を決して明言することはしなかったのだろう。

 翌6月3日の参議院予算委員会で間接的にだが、確認書が退陣を約束した内容でもなく、不信任案大差の否決を取引した内容でもないと答弁している。《菅首相 鳩山氏の見解を否定》NHK/2011年6月3日 19時21分)

 菅仮免「私の不十分さもあって不信任決議案が出されたが、結果としては、大差で否決していただいた。東日本大震災の復旧・復興や、東京電力福島第一原子力発電所の事故の収束こそが最優先であり、これからもこれまで以上に全力を挙げて取り組んでいきたい」
 
 代議士会で「一定のメドがついたら若い世代に引き継ぎたい」と発言したことが菅仮免のするつもりもなかった退陣表明と受け止められて一人歩きしているにも関わらず、不信任案否決によって政権担当(=続投)に正当性を得たと退陣を否定している。 

 確認書の内容について。

 菅仮免「何かの条件の下で約束したかと言えば、そういう約束にはまったくなっていない」

 退陣と不信任案可決回避を交換条件に取引などしていませんとしている。

 菅仮免「私の認識は岡田幹事長の認識と一緒だ」

 岡田幹事長は「復興基本法案の成立と2次補正の編成は退陣の条件ではない」と確認書が退陣を取引条件としたものではないと菅仮免を援護射撃していた。

 だが、不信任案大差の否決を錦の御旗に6月3日の参議院予算委員会で続投に向けて強気の発言をしたものの、鳩山前が「きちっと約束したことは守るのはあたり前だ。それができなかったらペテン師だ」(MSN産経)とペテン師呼ばわりをし、退陣が国内ばかりか世界中で一人歩きすることになったからだろう、退陣の事実自体は受入れざるを得なくなったと観念したに違いない。

 《“そう遠くない時期に退陣”の意向》NHK/2011年6月4日 19時36分)が翌6月4日、自らに近い閣僚に電話して、次のように発言した書いている。

 菅仮免「文書に書いてある思いは分かっている」

 その「分かっている」の理解は退陣と不信任案可決回避を交換条件に取引した内容となっているということを認める確認書への「思い」でなければならない。

 民主党内不信任案賛成同調勢力によって可決の状況が持ち上がっていなかったなら、菅仮免は何も鳩山前と確認書で退陣を交換条件に可決回避を取引する必要は生じなかった。

 可決の状況が出てきたから、退陣を差し出して、可決回避に漕ぎつけることができた。退陣を差し出したのは守るつもりもなかったからだろう。そのことはその後の退陣時期に関わるくるくると変わる発言が証明している。

 だが、代議士会での「一定のメドがついたら若い世代に引き継ぎたい」とその場誤魔化しで発言したつもりが退陣表明になることまで気づかなかった。

 かくして菅仮免の意思に反して退陣が一人歩きすることになった。誤魔化したつもりが自身の発言で墓穴を掘ったのである。

 墓穴を掘りながらも、尚しぶとく大差の否決を正当性の根拠に政権担当に意欲を燃やす強気の国会答弁はやめることなく続いている。

 なぜなのだろうかと考えると、辞任を求める世論が一方でありながら、野党の今回の不信任案提出対応を理解できない、評価できないとする国民の声が6、70%も占めていたことと、6月初旬の数ポイントではあるが、殆んど軒並み上昇していた内閣支持率が菅仮免を強気にした原因ではないだろうか。

 この上昇は5月の世論調査にも現れていたから、2ヶ月程続いていたことになる。

 上昇しても政権維持の危険水域とされる30%前後でしかなかったが、一旦上昇傾向を辿れば、後は辛抱して政権にしがみついていたなら、尚上昇する可能性は否定し難く、その上昇世論を味方につけることもができ、政権担当の強力な正当性となり得る。

 最も支持率を上げた6月2、3日実施の共同通信社の世論調査を見てみる。《世論は菅首相支持?内閣支持率が急上昇》スポニチ/2011年6月4日 06:00)

 菅内閣支持率――33・4%(前回5月中旬調査28・1%)

 記事は、〈驚きの結果となった。〉と書いている。

 民主党執行部と対立してきた小沢元代表支持派議員の行動
 「評価しない」――89・4%

 退陣に関して――
 「辞めるのは当然」 ――48・1%
 「辞める必要はない」――45・1%

 このような世論状況は十分に政権居座りへの強力な根拠となり得る。都合のいいところだけを根拠とし、都合の悪い世論は排除する情報操作を行うことによっても可能となる。

 野党は菅仮免が「不信任案大差の否決」を根拠に政権担当に強気の意欲を見せたなら、「大差の否決」は確認書で退陣と引き換えに取引きしたことによって得たものであって、自身の指導力や政権担当能力、あるいは党運営能力が正当に評価されたことによって得た否決ではないとなぜ一言言い返してやらないのだろうか。

 確実に菅仮免を勇気づけ、自らの味方とし、政権担当正当性の根拠としていたに違いない、ここのところの内閣支持率の僅かながらの上昇がここにきて反転を見せることになった。

 先ずは 2011年6月10日 ~6月12日実施の「日本テレビ」の世論調査。

 「菅内閣を指示する」 ――24.1%
 「菅内閣を指示しない」――60.8%

 「支持する理由」

菅総理の人柄が信頼できるから 12.9%
閣僚の顔ぶれに期待がもてるから 2.4%
支持する政党の内閣だから 13.3%
政策に期待がもてるから 1.6%
他に代わる人がいないから 50.8%
特に理由はない 7.7%
その他 9.3%
わからない、答えない 2.0%

「支持しない理由」

菅総理の人柄が信頼できないから 11.3%
閣僚の顔ぶれに期待がもてないから 4.2%
支持する政党の内閣でないから 10.7%
政策に期待がもてないから 27.6%
リーダーシップがないから 36.8%
特に理由はない 5.4%
その他 2.9%
わからない、答えない 1.1%

「菅総理は、東日本大震災の対応で一定のめどがついた段階で、総理大臣を辞めることを明らかにしました。あなたは、菅総理の決断について、辞任は適切だと思いますか、それとも辞任の必要はないと思いますか?」

辞任は適切だ 62.6%
辞任の必要はない 25.9%
わからない、答えない 11.5%

[辞任は適切だ」と答えた方へ]「辞任は適切だと思う主な理由は何ですか?」

このまま続けても政策を実行できる見通しがないから 34.3%
震災や原発事故の対応がうまくいっていないから 32.6%
野党のほか民主党内での信任も失っているから 26.1%
その他 3.9%
わからない、答えない 3.3%

[「辞任する必要はない」と答えた方へ]「辞任する必要はない思う主な理由は何ですか?」

国会で権力闘争をやっている時ではないから 74.2%
政策を実行して成果を上げているから 3.8%
他に代わるべき人が見当たらないから 16.1%
その他 4.5%
わからない、答えない 1.5%

「菅総理の辞任表明と民主党の混乱は、6月1日に自民党、公明党、たちあがれ日本が、菅内閣の不信任決議案を国会に提出したことをきっかけにしたものでした。あなたは、自民党などが不信任案を提出したことを評価しますか、評価しませんか?」

評価する 32.4 %
評価しない 56.2%
わからない、答えない 11.5%

 次に6月13日から6月15日にかけて実施した「NHK」の世論調査――

「菅内閣を支持する」 ――25%(先月調査-3ポイント)
「菅内閣を支持しない」――57%(先月調査+2ポイント)

「支持する理由」

▽「他の内閣より良さそうだから」――47%

 「支持しない理由」

▽「実行力がないから」    ――45%
▽「政策に期待が持てないから」――28%%

 「菅総理大臣が、大震災からの復興や原発の事故の収束に一定のめどが立った段階で退陣する意向を表明したことをどう思うか」

▽「退陣は当然だ」   ――26%
▽「退陣はやむを得ない」――46%
▽「退陣する必要はない」――22%

 「総理大臣の退陣の時期はいつごろが望ましいと思うか」

▽「今月中」      ――31%
▽「8月ごろまで」   ――25%
▽「秋から年末ごろまで」――15%
▽「来年以降」     ――19%

 「菅内閣に対する内閣不信任決議案が、菅総理大臣の退陣表明を受けて反対多数で否決されるに至った、今回の与野党の一連の動きを、どう受け止めるか」

▽「満足している」        ――7%
▽「どちらかといえば満足している」――14%
▽「どちらかといえば不満だ」   ――24%
▽「不満だ」           ――45%

 「衆議院の解散・総選挙の時期について」

▽「できるだけ早く行うべきだ」     ――15%
▽「今年の年末までには行うべきだ」   ――24%
▽「来年中には行うべきだ」       ――20%
▽「再来年の任期満了まで行う必要はない」――28%

 「各党の支持率」

▽民主党  ――20.4%
▽自民党  ――21.1%
▽公明党  ――4.5%
▽みんなの党――2.3%
▽共産党  ――1.4%
▽社民党  ――0.8%
▽国民新党 ――0.1%
▽「特に支持している政党はない」――43.1%

 解散・総選挙を早い時期に置いている世論は政権交代を望む声で、遅い時期に置いている世論は民主党政権の持続を望んでいると見ることができる。

 だが、世論自体が既に菅仮免の退陣を予定表に入れている。

 例え野党の不信任決議案提出が世論の賛同を得ていないとしても、この不信任案の大差の否決が退陣を交換条件として得た動機不純な否決であることと、一旦チョッピリと上昇傾向を示した内閣支持率が内閣不信任案提出以後、世論は野党の提出に否定的でありながら、下がっていること、さらに不支持理由が「実行力がない」ことと「政策に期待が持てない」ことは前々からの傾向で大部分を占めている以上、一国のリーダーに対して致命的な存在否定を宣告する国民の声であって、もはやどのような根拠を用いようとも、続投理由は通用しなくなっていると言える。

 言い訳や責任逃れ、責任転嫁で自己保身を謀ってきた姿勢からすると、元々潔い態度は期待できないが、最後の一度ぐらいは潔い態度できっぱりと国民の存在否定宣言を真正面から受け止めるべきだろう。


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