国民を勇気づける日米2つの話題/不時着旅客機全員救出&鴻池不倫疑惑

2009-01-17 17:40:05 | Weblog

 15日(09年1月)午後、日本時間の16日午前5時半頃、「USエアウェイズ」のエアバスA320型機がニューヨーク近郊のラガーディア空港からノースカロライナ州のシャーロットに向けて離陸したあと、ニューヨーク・マンハッタンの西側を流れるハドソン川に不時着、乗客150人・乗務員5人の全員が無事救出されたと昨夜のNHKニュースが伝えていた。

 旅客機は離陸30秒から45秒後にエンジンに鳥が衝突する「バードストライク」に見舞われ、両方のエンジンが停止、機長は空港へ引き返すことは困難と判断、マンハッタン島などの市街地を避け機体をハドソン川に導き、川幅1キロもある水面に機体を損傷なく着陸させた。

 <「かなりの速さで降下したが、機長がうまく機体をコントロールしながら着水した」という。米CNNテレビによると、着水後すぐに機内に冷たい水が入ってきた。だが乗客の男性は「みな冷静で、女性と子どもを先に脱出させた」と語った>(毎日jp

 「マンハッタン島に降りていたら同時多発テロのようなことになりかねなかっただけに、機長のハドソン川への着水の判断は正しく、ラッキーなケースだと思う」(航空評論家の鍛治壮一/毎日jp

 「空港に引き返そうと無理に旋回していたら失速して墜落した可能性が高い」(航空評論家の浜田一穂/同毎日jp

 <現場に真っ先に着いたのは、サークルラインと呼ばれる2階建ての観光船だった。さらに市消防局の消防船や市警のヘリコプターなどが急行。現場が都会だったことが逆に、迅速な救助態勢をもたらした。>(asahi.com

 乗客(CNNテレビに)「最初はみなパニックになりかけたけど、機長や一部の乗客が非常に落ち着いて、冷静になるよう呼び掛けたので、大きな混乱はなかった。着水の瞬間は自動車事故にあったような衝撃。生きているのが夢みたいだ」(東京新聞

 AP通信によるある目撃者の話「ものすごい低空飛行だと思ったら水しぶきを上げて着水した。うまく制御された着水に見えた」(同東京新聞

 救出に参加したフェリーに乗っていた男性(42)「飛行機の乗客はみんな寒さに震えていた。フェリーの乗客が皆で抱きかかえたり手を握ったりして温めた。手がかじかんで携帯電話のボタンが押せない人がおり、代わりに押してあげる人もいた。今日はみんながヒーローだ」(同東京新聞

 NHKテレビで鼻の下から顎の両脇にかけて髭を生やしていたニューヨーク州知事が「これは『ハドソン川の奇跡』だ」と言っていたが、上記「東京新聞」は不時着後に機長と会話を交わした後のニューヨーク市長の言葉を次のように伝えている。

 「機長は見事なランディングをした。全員の脱出を確認してから機内を二度見て回り、最後に自分が脱出した」――

 この沈着冷静な快挙に1929年の世界恐慌と比較されるアメリカの現在の不況に暗い気分にさせられている多くのアメリカ人が勇気づけられたに違いない。単なる飛行機事故を超えて、政治・経済、社会の分野まで含めて、アメリカは大丈夫だと。必ずアメリカは立ち直る。再び世界のリーダーとしての地位と責任を回復すると。

 一方の日本でも非正規社員の解雇・失業、正社員の賃金カット、内定取消し、操業時間短縮、複数日の操業停止、早期退職、倒産等々、暗い話・暗い出来事ばかりの中で米国旅客機不時着、乗客乗員全員無事救出ニュース報道に約1日遡る1月14日に、旅客機不時着に優るとも劣らない国民を勇気づけるニュースが伝えられた。

 1月15日発売の「週間新潮」が参議院議員でもある鴻池祥肇内閣官房副長官(68)が参議員宿舎に美人妻を誘い込んでなのか、美人妻の方から自らの意志で進んでしていたことなのかは分からないが、不倫という文脈で宿泊させていたと各新聞・テレビが伝えた。

 本人は否定している。「週間新潮」が発売された15日に<河村官房長官に会い、「記事にある女性が何回か議員宿舎を訪れた事実はあるが、不倫交際、半ば同棲(どうせい)のような状態というのは事実に反する」と釈明。>(asahi.com)したという。

 最初は否定するのが誰もが行う常套手段だが、同「asahi.com」は、<鴻池氏はその後、記者団に「この女性に(宿舎の)キーをずっと渡していたこともないし、泊めたこともない。男女の仲になったというのは天地神明に誓って全く関係ない」と説明。首相から「プライベートなことだし、宿舎は誰でも出入りできる。政府の方針についてどうのこうのということでもない」と言われたことを紹介し、辞任の考えはないことを強調した。 >とのことだが、「(宿舎の)キーをずっと渡していたこともない」ということは、「全然渡したことはない」と言うことではなく、「渡したことがある」と言うことであろう。

 マスコミはなぜ渡す必要があったのか、どのくらいの頻度で渡していたか、その2つのことを聞くべきだった。渡した理由と渡した頻度によって日本国民が勇気づけられる度合いが違ってくるからだ。

 <週刊新潮によると、鴻池氏は1月6日夜、都内の居酒屋で、妻とは別の40代半ばの女性と2人で2時間ほど酒を飲んだ後、タクシーに同乗して東京・麹町にある参院議員宿舎に移動。一足先に鴻池氏が議員宿舎に入り、女性は1分後、宿舎のカードキーで玄関を開けて宿舎に消えていった。女性は「ちあきなおみ似」でスタイルがよく、「誰でも知っている超一流企業に勤める夫を持ち、子供もいる家庭の主婦」という。鴻池氏とはお稽古ごとで知り合い、5-6年前から宿舎に出入りするようになり、一昨年から泊まるようになったとされる。昨年の12月中旬にも複数回、宿泊していたという。>と≪議員宿舎はラブホ? 鴻池官房副長官にW不倫疑惑≫ZAKZAK 2009/01/14)は伝えている。

 「ZAKZAK」が伝える二人の状況を具体的に場面化すると、二人で本人の部屋に入るのを避けて、先ず宿舎の玄関のドアを鴻池氏がカードで開けたあと、そのカードを「美人妻」に手渡して自分は先に部屋に行き、その後美人妻がカードで玄関のドアを開けて、鴻池氏の後を追い、ノックか何かの合図で鴻池氏が美人妻を部屋に導き入れたという展開になるのではないだろうか。

 「不倫交際、半ば同棲(どうせい)のような状態というのは事実に反する」、あるいは「男女の仲になったというのは天地神明に誓って全く関係ない」ということなら、なぜ部屋への時間差入室といったカモフラージュが必要だったのかの疑問が生じる。

 また「週間新潮」の記事は野球帽をかぶった鴻池官房副長官が女性と寄り添って歩く写真を掲載している(FNNニュース)ということだが、特に有名人が外に出るときに野球帽などをかぶるのは他人に顔を見られたくないとか、行動を秘密にしておきたいといった理由の変装道具となっていることから考え併せると、男女の関係には「天地神明に誓ってありません」と誓うのは少々無理があるように思える。

 上記「ZAKZAK」は女性は「週間新潮」に対して、<6日の宿泊については「申し上げられない」と話し、12月中旬については「部屋には行かず、女性トイレの個室で明け方まで寝ていた」と説明したという。>と伝えているが、それが真正な事実であるなら、「6日の宿泊については『申し上げられない』」ことが二人の間に持ち上がっていたということになる。

 だとしても、なぜ「部屋には行かず、女性トイレの個室で明け方まで寝ていた」ということなのだろうか。「女性トイレの個室」とは鴻池氏の部屋のトイレではなく(鴻池氏の部屋のトイレなら、応接室その他を利用すればいいことで、トイレに寝る必要はまったくない。)、部屋の外の廊下にある誰もが使えるトイレの個室ということなのだろう。そこにある便器に腰掛けて、朝を待った。

 そんなことをする必要があるだろうか。外に出てタクシーを拾って、口実を設けて外出していたために、それが夜中に家に戻ることができない性質の口実だったということなら、適当なホテルを見つけて、そこに宿泊すれば済むことである。

 本人にとっては鴻池氏の部屋のベッドで二人で寝るのとホテルの部屋のベッドで一人で寝るのとでは大きな違いはあっても、何も知らない夫にとっては知らぬが仏で何の違いもない。

 それとも鴻池氏の部屋に押しかけて関係を求めたが断られ、カードがないために宿舎の玄関から出ることができず、止むを得ずトイレの個室で夜を明かしたということなのだろうか。

 だが、「6日の宿泊については『申し上げられない』」関係へと進んでいた?――。

 もし不倫だとしたら、なぜ参議員宿舎なのだろうか。密会用のマンションを用意するなり、野球帽をかぶって本人と知られないようにカモフラージュまでしているなら、人通りの少ない場所のホテルでもいいはずだが、それが参議員宿舎で、却って問題を大きくする要因としてしまった。

 もう何十年も前のことだが、不倫は一種の勲章行為となって優越感をもたらし、自らの虚栄心を満足させるが、夫ある身、妻ある身で不倫する男女の中にはなまじっかな勲章行為で飽き足らなくなると、危険を顧みるどころか、危険を却って刺激剤として女は相手の男を自分の家の夫と性生活を共にしているベッドに誘い、男は相手の女を妻と性生活を共にするベッドで行為を持つことを欲する不倫の形にエスカレートさせることがあると何かの本で読んだことがある。

 夫以外の男と、あるいは妻以外の女と夫婦用のベッドで乱れる、自分と相手だけが知っている秘密を勲章として何も知らないそれぞれの相手を内心嘲り、自分自身はさもたいしたことをしているかのような優越感に浸って、自らの虚栄心を満足させるのだそうだ。

 なぜ参議員宿舎だったのかという謎を解くとしたら、他の国会議員がしていないことを自分だけが特別にしているという勲章としたい虚栄心からで、そこに優越感を見い出していたということなのだろうか。

 麻生太郎首相の反応を≪【麻生首相ぶら下がり詳報】鴻池副長官報道「われわれの関知するところではない」≫(msn産経/2009.1.15 19:59 )が次のように伝えている。

 --鴻池副長官が参院議員宿舎に知人女性を宿泊させていたとする週刊誌報道について、与党内からも「説明責任を果たすべきだ」との声が相次いでいる。首相は説明責任についてどう考えるか

 麻生太郎「今、会見しておられるんじゃありませんか。今、会見しておられるんだと思いますが」

 --議員宿舎は地方選出の議員の在京での職務を円滑に遂行するために国民の血税で建てられた施設。一般論として、カードキーを知人友人にむやみに貸与することや、不適切な関係に利用することについて、首相はいかがお考えか

 麻生太郎「あのー、基本的に3つ分けて考えないといけないんだと思いますが、少なくとも制度上、第三者がそこに来るとか入るとかいうのは制度上、別に問題はない。これがひとつ。それから職責上、何かそこの人に対して情報が、とかいうような話ってのは他には例がありましたけど、それもない。後は情緒的な話ですけれども、そこんところはこら、個人の話ですんで、われわれの関知するところではない。分ければそういうことになると思いますね」

 --情緒的なところで、(議員宿舎が)使われてもやむなしと。

 麻生太郎「これはご本人の話ですから、私、情緒の話は正確なところわかりませんから、お答えようのしようがありません」

 --法律的には業務を円滑に遂行するためにというのが議員宿舎の目的であって、われわれの血税で建てられたわけだが、それも業務を遂行するための一部であると

 麻生太郎「業務を円滑に遂行するための一部かどうかは詳しくは知りません。そんな関係、知りませんから。答えようがありません。そこのところは。ただ基本的には今申し上げたように、3つ分けて考えないといかんところなんじゃないかと思っております」

 --首相

 麻生太郎「はいどうぞ」

 --この件に関して、副長官から事実確認などはされたのか

 麻生太郎「僕は電話でときどき話はしてましたから、電話で話したことはあります。呼んで事情を直接聴取したのは官房長官の話であって、私ではありません」――――

 この不倫疑惑報道があってから、日本は大丈夫だ、必ずこの100年に一度の大不況から日本は立ち直る。再び世界第2位の経済大国としての地位と責任を回復すると勇気づけられた日本人がきっとたくさんいたことだろう。

 マスコミ各局・各社も元気づき、我先の一斉報道となった。河村官房長官に質問する、麻生首相に質問する。勇気百倍、エンジン全開といったところだ。派遣切りだ、雇い止めだ、内定取消しだ、賃金カットだが遥か背景に遠のいてしまった。

 麻生太郎はいとも簡単に「第三者がそこに来るとか入るとかいうのは制度上、別に問題はない」と言っているが、「第三者」が何者かを問題としない単細胞な主張に過ぎない。極端な例だが、その可能性無きにしも非ずで、もし爆弾を腹に抱えたテロリストが訪れたとしても、「第三者がそこに来るとか入るとかいうのは制度上、別に問題はない」とでも言うのだろうか。麻生太郎なら言うかもしれない。

 訪問者が誰かということも問題だが、自宅やプライベートな用事で宿泊したといったホテルの部屋と違って、議員宿舎は国会議員という身分に宛てがった生活空間であり、活動空間なのだから、その身分にふさわしい態度・振舞いが訪問者との間にも求められるはずである。

 一参議院議員ではなく、内閣官房副長官の地位に就いてもいる。願わくば女性問題によってではなく、政治上の業績で日本国民を勇気づけて欲しいが、そういったことのできない政治家に限って、政治とは関係のない低俗な活動を勲章とし、自らの虚栄心を満足させる。

 ここがアメリカの旅客機不時着が与えた勇気づけと大きく違う点である。

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