A → Z : Xserve

モラモラ会社員がムラムラしながらお届けするヌルヌルアーカイブ。

川崎経由のスカイダイビングで流血Xserve

2004-07-20 | ぷらぷらアーカイブ
ギニャー! も、もう……はははは、8時……? ……だよ全員集合? ……済み?
朝起きたら、すでに午前8時を回っていた。俺は、あせった。かな~り、あせった。なぜなら、その日は朝の7時30分に某所で待ち合わせる段取りだったからだ。

やべー……また、やっちまった……速攻で身支度を整え、埼玉は桶川に――みんなはクルマでだけど――俺はひとり電車で赴くこととなった。

スカイダイビング。
そんなもの、生まれてこのかた、金輪際俺の人生のエンサイクロペディアには、あらわれ出でようもないと思っていた。それを、「東京スカイダイビングクラブ」なんて――バブル期に粗製されたような――ひねりの無いネーミングを冠した場所で、小金を払えば体験できる……だって? ケッ。その手にはのらねえぜ、旦那。あっしの夢を知ってるかい? まぁまぁ、そう肩肘張らずに聞いてやっておくんなせぇよ。あっしの夢はねぇ……

「宇宙(そら)を翔ぶ」
「宇宙(そら)を駆ける」
「宇宙(そら)を創る」

……ですぜ? たった、数十秒だか数分ぽっち宙に浮いてるだけなんて余興なんざ、あっしにとっちゃぁひゃくとり虫なみにスケールが小さいってなもんでさぁ(どうでさぁ?)。な~んつって。本当は――超期待っすよ! マジ期待っすよ! 4,000メートル上空なんて、じぇ~んじぇんコワく9th(ナインス)。今この瞬間の俺ときたら、牧瀬理穂嬢ばりに、「東京上空いらっしゃいませ」ってなもんだぜ?

バイザウェイ。
湘南新宿ライン」という路線がある。これが、非常にややこしい。なぜ、埼玉に行くのに、湘南で新宿なんだよ――そんなことを思っていたら、埼玉に向かっていたはずが……いつのまにか川崎に着いていた。

……ふざけんじゃねぇ。ふざけんじゃねぇYo! 俺は、埼玉に行きたいんだ。断じて、川崎じゃない。最近デジカメが海没したり、原チャをパクられたりと不運続きなので、川崎大師で厄除けしたいなぁ……とは正直ちょっとぱかし思っていたけど、それは断じて今日ではない。今日ではないんだ……けど、もしかしてこれは……神様。厄除けしないでスカイダイブすると……ヤバイってことですカ?

その後も何度か電車を乗り間違えたり、乗り換えを間違えそうになったりしたので、駅員さんに最短ルートを確認。なんとか大宮までたどり着いたころには、すでに正午に近かった。そのあと、自分としてはベストチョイス! ……と思っていたはずの大宮からのタクシー乗車が結果的に大失敗! ……てなこともありつつも、なんとか13時ころ現地到着。家を出てからすでに4時間半(本来かかる時間の倍くらい?)が経過していた。

さぁ、翔ぶぞ! 宇宙(そら)ではないけど! 埼玉の荒川の河川敷の上空だけど! この時期の温暖湿潤気候帯特有のランバダのようなウェットさを帯びた、不快指数300%を超えるダイオキシンと光化学スモッグがうすら漂う魅惑の曇り空だけど!

ゴーーーーーーーーーーッ…… ッズバシャァアアアア ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

――擬音で例えるなら、こんな感じだ。
4,000メートルの上空から飛行機から飛び降りるので、助走期間など一切なく――いきなりフォルテッシシモだ!――風を切る音が世界を包む。急激な気圧の変化が俺の鼻腔を刺激し、地上のあらゆるオブジェクトが「スーパーファミコン」の回転・拡大・縮小機能のデモみたく俺の視覚を刺激する――時間の感覚が飛んだ。ピサの斜塔からガリレオが落っことしたリンゴを思い出した。これは……そう……紛れもない――自由落下だ。

パラシュートがけたたましく開くと突然――静寂が訪れた。1,000フィートを切ると、上空の肌寒さがまるで白昼夢だったかのようなリアルな暖気に襲われるらしい。それを感じる余裕が――いきなり休符記号だ!――できた。あまりに静かだったので、「ジョジョの奇妙な冒険」でおなじみの地響きが、頭のなかでついさっきまでの“別世界”の余韻のように鳴っていた。

江口洋介とブラザーKONを足して2で割ったようなインストラクターが、心配気にこちらを見つめている――なんだ、俺の涙目を見て笑いものにしようっていうのか? ざけんじゃねーぜ? 俺は……やってやるぜ? ――その予想はまたたくまに外れた。鼻血だ。顔面一面、鼻血で覆われていたんだ。

そう、流血だよ。埼玉くんだりまで来て。しかも、なぜか川崎経由で。ヘンなオッサンを背中にしょって命まで預けて。残ったのは……鼻血。しかも、なぜか黄色い。すごく、黄色い……なんで。なんで、黄色いんだよ。ふざけんじゃねーよ。

先生、あのね。
本当、楽しかったんです。
正直な話、また行きたいです。
実は、ビデオを撮ってもらいました。
みんな、見ると笑います。
お日様も、笑っています。
鼻血の黄色さまでは、伝えきれていない内容なのが、とても残念なんです。