「密閉・密集・密接」事業第一創業=飲食業=廃業支援と「密閉・密集・密接」8割減「全開・散在・遠隔」事業第二創業=路上利用飲食業=起業支援とに対する両輪被災支援は必須か
<コロナ被災支援=出世払い=原資は、GDP10%コロナ復興財源=コロナ国債発行。引き受けは日本政府中央銀行・・・、外国金融機関=一帯一路海外遠征=資本は排除か>
2020/07/05 5:35
中川 寛子(なかがわ ひろこ)Hiroko Nakagawa
東京情報堂代表
住まいと街の解説者。(株)東京情報堂代表取締役。オールアバウト「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。30年以上不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービスその他街の住み心地をテーマにした取材、原稿が多い。主な著書に『「この街」に住んではいけない!』(マガジンハウス)、『解決!空き家問題』(ちくま新書)など。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会各会員。
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「飲食店の路上利用緩和」ができない街の末路
飲食店の路上利用を一時的に促進する緩和策が話題を呼んでいる。6月5日に国土交通省道路局が新型コロナ対策の緊急措置として11月末まで道路占用基準を緩和すると発表すると、13日に公共空間に特化したウェブマガジンを展開するソトノバが開催した当局専門官を招いてのオンライン勉強会には全国から240人が参加し、質問が殺到した。
担当部署では緊急措置公表以来、飲食店や自治体、各地の議員からの問い合わせで電話が鳴りやまないという。
今回の緊急措置は3密を防ぐため、風通しのいい店先の路上にテラス席や売り場を設けたいとの飲食業界などのニーズを受けたもの。原則として幅2m以上(通行量が多い場合は幅3.5m以上)の歩行空間を確保する、施設付近の清掃に協力することなど一定の要件を満たした場合には、路上にテーブル、いすなどの仮設施設を置いての営業が認められる。
飲食業以外の業種や、合意が得られれば2階以上や地下、沿道以外の店舗も対象になる。また、歩道のない車道でも、交通規制等で安全な歩行空間が確保できるならテラス営業などが可能に。清掃などに協力している場合には占用料は免除だ。
この緩和措置が驚きを持って受け止められたのは、通知の中に「警察庁交通局と調整済みである」の一文があったためである。道路は、法が道路法と道路交通法に分かれていることからもわかるように、使用するためには国や都道府県、市区町村などの道路管理者と管轄する警察それぞれから占用許可、使用許可を得る必要がある。
ところが道路管理者である行政が使いたい、使わせたいと思っても、安全面から警察がストップをかけることもしばしば。近年、道路にテラス席を設けるなどの社会実験が各地で行われるようになってきたが、実施のためには半年、1年とかけて組織を作り、協議を重ねるなどの必要があった。そして実験であることから、期間限定で日常にはならない。
ところが、今回は11月末までといいながらも、あらかじめ警察との協議が肯定の状態からのスタートとなる。道路が各種営業のために使いやすくなるのである。ただ、これを民間事業者の救済という意味だけで捉えると本質を見誤ることになる。それどころか、これを活用できるか否かが、自治体や町の将来的な「価値」を左右しかねないのである。
街中にある公有地で最も多いのは道路だ。公園、水辺は点在しているが、道路はほとんどすべての建物に接しており、都市の中で非常に大きな面積を占めている。
道路が使えるようになれば、ソーシャルディスタンスで減った店舗やオフィスなどの稼ぐ面積を取り戻し、増やすことができるかもしれないのである。

ただ、佐賀県の社会実験以降、6月半ばまでのニュースを注視してきた限りでも、すでに自治体差は明らかに存在している。稼ぐ気がある、稼ごうとしている自治体と、やる気がないのか、何もしようとしない自治体があるのだ。
佐賀県では山口祥義知事が真っ先に道路利用を言い出し、西村氏が窓口となった政策課さがデザインとネットミーティングで企画提案とアドバイスをしたのが5月8日。それから通常半年から1年かかる協議を2週間で終わらせて実施にこぎつけており、そのときの写真が国交省のリリースに使われている。
ちなみに国交省が参考にしたのは佐賀県に加え、浜松市、仙台市、大分市だそうである。
同じタイミングで静岡県沼津市でも沼津新仲見世商店街と沼津銀座東側路地で社会実験「NUMAZU OPEN AIR NIGHT vol.1」が行われている。こちらも2週間ほどで実現に至っており、過去に社会実験を重ねてきたからできたこと、と評価する声を聞いた。