【鉄道の技術基準には車両の火災対策に関する定めがあり、旅客用の車体は火災の発生や延焼を防止する構造、材質であることが求められている。今回問題となった空調設備に発火の恐れがある場合などは、この基準に抵触する可能性があるという。】
★鉄道車両調達仕様規格や長崎製作所(長崎県時津町)における製品製造・商品出荷の品質管理、プロジェクト管理仕様書の不備か>
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2021/06/30 12:25
三菱電機は、長崎製作所(長崎県時津町)で製造する鉄道車両用の空調設備の一部について、不適切な検査を行っていたことが社内調査で判明し、現在、調査を進めている、とのコメントを公表した。「速やかに対応を進め、内容を公表する予定」としている。
鉄道各社や官庁は対応に追われている。
JR東日本は、三菱電機の空調機器を新幹線に約1700台、在来線に約8100台使っている。三菱から報告があり、詳細は確認中という。京王電鉄にも三菱から報告があり、「安全性に問題はない」とのことだった。通常の定期点検で不備は見つかっておらず、30日も通常運行している。
鉄道事業を所管する国土交通省は事実関係の調査を進めている。今後、三菱電機に詳細を確認する方針だ。鉄道の技術基準には車両の火災対策に関する定めがあり、旅客用の車体は火災の発生や延焼を防止する構造、材質であることが求められている。今回問題となった空調設備に発火の恐れがある場合などは、この基準に抵触する可能性があるという。
製造業を所管する経済産業省には25日に三菱電機から不適切な検査を続けていたとの報告があった。事実関係や原因を調べるよう伝えたという。
■加藤官房長官は「遺憾だ」
三菱電機が鉄道車両用の空調設備を出荷する際、架空のデータを用いて検査を適正に実施したように装っていた問題について、加藤勝信官房長官は30日の記者会見で、「法令上の問題がなかったかを含めて詳細は調査中だが、不適切な検査が長年にわたり実施されてきたことの問題があり遺憾だ」と語った。
加藤氏は「事実関係の確認、原因の究明、再発防止策の策定も含め、今後の対応が適切になされるよう、政府としてしっかり機動的に対応していく」とも述べた。
三菱電機は鉄道の空調分野で国内シェアがトップクラスで、海外にも展開している。納入先は全国のJRや私鉄、東京メトロなどの地下鉄と幅広く、製品は新幹線でも使われている。