表通りの裏通り

~珈琲とロックと道楽の日々~
ブルース・スプリングスティーンとスティーブ・マックィーンと渥美清さんが人生の師匠です。

『ボブ・マーリー:ONE LOVE』

2024-05-31 18:52:56 | 映画

何の予備知識、事前情報もナシで『ボブ・マーリー:ONE LOVE』を観てきました。

『ボヘミアン』以降、ロックに限らず次々と作られる音楽伝記映画の数々。『ボヘミアン』の完成度が高く、社会現象にもなったおかげでその後の作品は比較対象が大きすぎて苦戦しているように感じます。

逆に配信を中心に(たまに劇場公開もされる)最近の音楽ドキュメンタリー作品(ライヴ中心のものも含む)には傑作が多く(『モリコーネ』や『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路』、『アクロス・ザ24ナイツ』『クリーデンス/トラヴェリン・バンド』とか)、伝記にするレベルのミュージシャンのフィクション作品は観る側の思い入れやイメージが強すぎて難しいんでしょうね。その分今回は”無”で観れたので内容がスぅ~っと入ってきました。

伝記ものではアレサ・フランクリンの『リスペクト』と、エルヴィスの『エルヴィス』はとても良かったけど。

映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』日本オリジナル予告解禁!|5月17日(金)全国ロードショー

 

元々レゲエとは全く縁がないし、レゲエの独特のリズムが(食わず嫌いです)合わないのもあって、今まで一度もターンテーブルに乗せた(レゲエのレコードは持っていないから仕方ない)ことはありません。

彼の曲も、エリック・クラプトンがカバーした「アイ・ショット・ザ・シェリフ」(最初はエリックの曲だと思っていたくらいだし)と、アムネスティの『ヒューマン・ライツ・ナウ!』でテーマソングとして歌われた「ゲット・アップ、スタンド・アップ」くらいしか知りませんでした。

そんなヤツが観る映画じゃない!!と怒られそうですが、好き嫌いを別にして「知らない世界(レゲエ、ボブという人物)を知る」という勉強のつもりで観ました。

ボブの音楽より何より、当時のジャマイカってとっても不安定な国だったんですね。ボブのように音楽で平和を訴えるアーティストにまで銃口が向けられるって...。純粋に音楽活動を続けるのに半分亡命のような感じでイギリスに渡ったのも納得できます。

でも最終的にはジャマイカに戻り、夢だった凱旋公演を果たした上に、当時敵対していた二人の政治家?をステージ上で和解させるという快挙を成し遂げます。これは仕組まれた演出だったのかも知れないけどスゴいことですね。

そして最期はがん(脳腫瘍となっていました)で36年の生涯を閉じた...。36歳が早すぎるとは思わないけど、脳腫瘍の苦しみは理解できます。ツラかったでしょうね。

まさに駆け抜けていった人生。激動の人生。だからこそ伝説になり、伝記映画にもなったんでしょう。誰も順風満帆で平和に何事もなく生涯を閉じた方の物語は観ませんもんね。

そのボブ(とその彼をずっと支えた奥さまリタ)の功績は決してなくなるものではありません。ボブが亡くなって43年後の2024年、彼らは僕に「レゲエ」という魂の音楽があることを教えてくれました。この作品もめちゃくちゃ面白い!というわけではないけど、とても興味深い作品でした。観て良かったと思います。

たっぷりと全身にレゲエを浴び、観終わったあとの爽やかな余韻の後にやってきたのは「とことんロックが聴きたい!」(散々毎日朝から晩まで聴きまくっているのに)という心の叫び。僕はやっぱりロックが好き。ってことを確認できました。レゲエさんゴメンなさい!

 

でも、夏の夜(しかも少しなんかに外で聴くボブの音楽って何か良さそう。しかも大音量とかじゃなく、遠くの方から聴こえてくる感じ。

レゲエってどんなシチュエーションで聴くのが正解なんでしょうかね?