もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

非人道兵器とルーブル

2022年03月14日 | ロシア

 ウクライナでロシアが燃料気化爆弾を使用したことを確認したとイギリスが発表した。

 既にロシア軍がクラスター爆弾を使用したことは映像で確認されており、燃料気化爆弾まで投入した背景はロシアの手詰まり感・焦燥感の表れとも観られているが、これらの「ハーグ陸戦条約」が禁止する非人道兵器をも平然と使用するロシアの暴虐ぶりは今更ながらに心胆を凍らせるものである。
 一般的に非人道兵器の使用に際しては「ハーグ条約違反」と一括りにされるし、自分もそのように理解しているが、改めて「ハーグ陸戦条約」を眺めると、1899(明治32)年にオランダのハーグで開かれた第1回万国平和会議において採択された「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」を指しているが、それ以後の科学・軍事技術・人道概念の変化によって個々の非人道兵器の使用禁止・制限は、ハーグ陸戦条約の精神を継承する形でオスロ条約・オタワ条約・ジュネーヴ条約等によってなされている。
 しかしながら、一般論としてであるが国際条約は、条約そのものが効力を持つものではなく批准国がそれぞれの国内法で条約の実践を規定するものであることから、ロシアの燃料気化爆弾等の使用が国内法で禁止されていないならロシア軍人がロシアで処罰されることもなく、今後とも使用し続けられることは考えられる。また、ロシア・ウクライナの双方がオスロ条約は批准していないようでもある。
 しかしながら、武力侵攻自体が国連憲章に違反していることは明白で、燃料気化爆弾等の使用を国連憲章違反下で起きた非人道兵器の使用と捉えて、国際軍事法廷の設置が提起されたり、個人の戦争犯罪を裁く国際刑事裁判所が捜査を開始したとも報じられているが、無法を承知で武力侵攻したプーチン大統領を国際世論と国際慣例の面で翻意させることは容易ではないように思う。

 国連や国際条約が無法者に対しは無力である現実から、唯一の武器は経済制裁であるとの認識で中印を除く主要国は協調しているが、それに対してもロシアは非友好国に対する国債の償還・利払いをルーブルで行うと対抗している。日本がどれほどの円・ドル建ロシア債を保有しているのか知らないが、《公的年金を運用している「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIFI」は、運用全体の0.1%にあたる2200億円のロシア関連資産を保有。三井物産は、ロシア向けの投資や融資などの残高が4600億円》という記事をみる限り、日本全体では数兆円規模の債権を持っているものと推測するが、現在では紙くず同然に下落したルーブルを受け取ることになり、日本経済もロシア経済制裁という両刃の刃によって打撃を受けるだろうことが予想される。
 4月以降の電力料金は大幅値上げされるとの報道もあるが、これらに耐えるのもウクライナ支援の一部と考えなければならないのだろう。自分はダウングレードできないレベルの暮らしであるが、それでも切り詰められる支出はあるのかと探さなければと思っている。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿