もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

EUの対米関税摩擦の対処に学ぶ

2019年02月24日 | 欧州

 アメリカのEUに対する自動車や自動車部品の輸入制限(追加関税)措置が発動された場合、EUが取る報復措置が明らかにされた。

 報復措置の骨子は、キャタピラー社、ゼロックス社、サムソナイト社を狙い撃ちできる製品に対して報復関税を課す内容であり、総額は2兆5千億円に上ると報じられている。本日言いたいことは経済協議や外交交渉についてである。現在のように、伝播の速度と密度が稠密な情報社会で、なおかつ世論を味方にして選挙に勝つ必要がある民主主義国では、交渉前の情報戦で世論を味方につけることが最も重要であり、以後の交渉結果をも左右すると云っても過言ではないと思う。そのためには、交渉すべき相手に対して「こうなった場合はこうする」ということを、責任ある立場の人間が公式若しくは観測気球として発信する必要があると思う。そのことで相手側が要求をためらう又は翻意するならば、交渉以前に勝利できることとなる。今回のEUの対応はそのことを明確に認識していることの表れであり、アメリカとEU双方の主張と論点を共通の場に曝して、将来の展望を両国民に周知するとともに自国民に信任を訴えるために行ったものであると思う。翻って日韓関係を見ると、関係悪化の原因は、韓国が一方的に反日行動をエスカレートするためと云われているが、根本は韓国が日本の真意・本気度を測りかねていることに原因があると考える。レベル1の反日活動にも「遺憾」、レベル5の行為にも「遺憾」では、韓国は日本の真意を測り切れず、日本国民は政府の考えを理解し賛否を考えられない状態に置かれている。徴用工問題に例を取るならば、韓国最高裁が判断を保留している段階(5年間もあった)で、「賠償責任ありと判断された場合はビザなし渡航の中止処置」程度の観測気球は上げるべきであり、韓国が差し押さえた企業資産の現金化を図ろうとする今は「韓国人の就労ビザの発給停止」くらいには踏み込む段階にあると思う。おそらく外務省は「秘密裏に然るべき立場の人に内意を伝えている」とするだろうが、「腹の探り合い」「秘密議定書で糊塗」「裏交渉で解決」等の前時代的な交渉術では、世界中に監視の目が張り巡らされているとともに、いたるところにディープスロートが潜む現代社会にあっては、国際的にも国内に対しても賛同を勝ち取ることは不可能であると思う。かっては「知らしむべからず、依らしむべし」が行政の鉄則とされていたとされているが、未だに外務省・政治家はそれを金科玉条としているのではなかろうかと危ぶんでいる。

 折りしも2回目の米朝首脳会談が旬日に迫り、米中経済協議は大詰めの段階であるが、米中北の主要閣僚からは盛んに大小の観測気球が打ち上げられている。このことは、交渉相手が「いかに悪者」であるかを世界世論に印象付けることが本交渉の死命を制することを、官僚や政治家が身に染みて知っていることの証拠であろうと考える。対抗措置を毅然として明白に示し、韓国に伝えることが、日韓関係改善の近道と考えるものである。河野外相、「EU首脳の爪の垢でも貰って来れば」。・・・如何に。


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