もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

1票の格差

2021年11月06日 | 社会・政治問題

 総選挙が終わり、恒例になっている「1票の格差・選挙無効」の訴訟が200件以上にも上っているらしい。

 前回、平成29年に実施された第48回衆議院議員総選挙(最大格差1.89倍)に対しての訴訟については、高裁判決では1支部が違憲状態としたものの、最高裁では全て合憲と判断している。
 1票の格差是正・選挙無効の訴えは、「投票する票がすべて同価値・同効力を持つ」を根拠としている。
 今回選挙における選挙区での最大格差は如何ほどかは調べられなかったが、都道府県別の有権者数だけでみると、有権者数最低の鳥取県(有権者数43万人)に対して東京都(1,070万人)で計算すると格差1.784倍となるので、格差1.0選挙で鳥取県から1名の議員とすれば、東京都からは22人の議員が選出され、以下神奈川15人、埼玉・愛知・千葉12人・・・となり、議員の大半が都市型地域選出者となってしまい、地方の声は全く国会に達しなくなるだろう。
 政府が声高に提唱する「地方創生」が捗々しく進展しない一因は、施策の設計・企画・推進者である官僚の多くが、都市出身者もしくは大学以降都市で生活したために、地方の実状に暗いことが一因ともされている。ひと頃の地域誘導型政治家は減少し、落下傘候補であっても政党の主張で当選するケースも増えているとは云え、有権者が議員に地域還元を求める構図は大きく変化していないと思うし、過疎地域にも等しく福利をもたらすことは国会議員としての責務であろうと思える。
 乱暴にも結論を述べれば、国費等によって多くの還元を受けている都市住民は、反対給付として1票の効力が減じられることを肯ずべきであると思う。その際、どれほどの格差が適当であるのかは判らないが、最高裁が合憲と判断した1.89倍との数字が目安であるかもしれない。最高裁判事の判断にも「受給福利との相殺」が頭をよぎった物かと勝手に思っている。
 歩いて若しく地下鉄で高度医療機関を利用できる都市住民に比べて、自家用車・バス・IJRを乗り継ぐ必要がある地方住民とは生活利便格差相殺の意味を含めて票の効力を計ることが適当と思う。生活の利便性を求めるならが都市に住めばよいとの意見もあろうが、票の効力を高めたいなら地方に住めばよいことになる。

 多くの問題点や反対があるものの、既に参院選では1票の格差是正のため鳥取と島根、徳島と高知を合区としていることを思えば、今後とも行政区割りを破った選挙区割りが進むのかも知れないが、地方の声が届きにくい区割りであってはならないと思う。そのためには、隣接に拘らず人口がほぼ同じ鳥取県と杉並区を合区とすることもありかと思う(笑)。


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