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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

本朝のJアラート

2022年10月04日 | 軍事

 0720頃、北朝鮮のミサイル(ICBM?)発射に対するJアラートが鳴り響いた。

 警告対象地域は、当初北海度、次いで青森県が追加され後には北海道が除外されて小笠原諸島が加えられた。
 ミサイルは、0800前後には北海道沖(EEZ外)の太平洋に落下し、今のところ船舶被害なども報じられていない。Jアラートに対してテレビからは、①頑丈な建物に避難、②建物内や物陰に退避、が促されたが、マンション住まいならともかく、ペラッ・ペラッの木造家屋に住まいする身では防護手段は限られ、ただただ「近傍に着弾・落下しないこと」祈るだけであった。
 今回のJアラートに関連して、政府は破壊措置命令を出さなかったとされるが、これまでの北朝鮮ミサイルの飛翔性能(高度・軌道)を考えれば、破壊措置命令が下令されたとしても自衛隊は迎撃できなかったのではないだろうか。
 中・長距離ミサイルの飛翔経路は、一般的に「加速しつつ上昇するブースト(上昇)段階」、「慣性で大気圏外を飛行するミッドコース(中間)段階」、「大気圏に再突入して目標に向けて落下するターミナル(終末)段階」と呼ばれているが、日本のミサイル防衛は終末段階に限定して構築されている。迎撃ミサイルの代表的なPAC3については、これまでの実射訓練で100%の命中率を発揮しているが、射程20Kmとされているので命中・破壊できたとしても上空数Kmであり、地上は核弾頭の危害半径に入って大きな被害を被ることになる。それを防ぐためにアメリカは中間段階での迎撃をも視野に入れた射程150Km程度のTHAAD(終末高高度ミサイル防衛)ミサイルを開発・配備してきたが、韓国の配備に対する中国の報復を見れば日本が導入・配備することは無いように思える。
 また、近年の中・短距離ミサイルの性能が飛躍的に向上したために、ロフテッド軌道で飛来するミサイルや極超音速ミサイルには有効な迎撃システムは無いとされている。これらに対して唯一可能性を秘めているのがレールガンであろうが、学術会議・大学が軍事研究を忌避している状態では、日本の頭脳からは開発協力が得られないように思える。

 大東亜戦争末期にあって日本本土は、アメリカの無差別・絨毯爆撃に曝された。主として投弾に当たったのはB29爆撃機で、飛行高度は日本の迎撃戦闘機の上昇限界や対空砲の射程を超えていたために、日本は成す術もなく蹂躙されたが、対抗手段として日本が採用したのは、防空壕・火叩き・竹槍であった。
 現在、強固かつ偏狭な専守防衛論者は、長射程の兵器は「敵基地攻撃」に使用されるとして反対しているが、有効なミサイル防衛策がない以上、敵国の武力攻撃・侵攻の意志を挫く最良の手段は、反撃・報復手段を持つことではないだろうか。
 防衛力整備に関する野党の主張を観ると、B29に無力であった80年前はおろかi異国の兵器に無知であった幕末200年前の異国船打ち払い令から一歩も進化していないようである。異国船打ち払い令を墨守した薩英戦争や馬関戦争では陸岸砲の射程外からの艦砲射撃で陸上砲台は破壊され、極めて少数の艦隊乗組海兵隊によって領土の一角を占拠された。