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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

新聞協会のドローン規制法改正反対に疑問

2019年02月09日 | 報道

 日本新聞協会が「ドローン規制法改正案」に反対する意見賞を政府に提出した。

 反対の趣旨は、改正案がテロ対策のために自衛隊や米軍基地上空の飛行禁止を盛り込んでいることが、取材活動を制限し国民の知る権利を阻害するとしている。テロ対策としての立法には理解を示している一方で「身元が明確でテロ行為を行わない報道機関のドローンをその他のドローンと一律に制限することに反対」ともしている。新聞協会に問いたいのは、報道機関のドローンは安全としていることに、報道の自由に名を借りた驕りは無いかということである。報道機関が、取材ドローンの飛行に従事する総ての人間に対して思想信条まで踏み込んだ身体検査を実施しているとは思えない。これまでのローンウルフ型のテロ事件の犯人が「まさか、あの平均以上の市民が‼」との例が多いことを考えれば、報道機関のドローンであっても安心とは断言できない。また、ドローンの保有や保守管理は外部委託や外注によることが多いと思われることに加え、ドローンによる取材自体をフリーランスに委託して記事のみを買い上げるということも有り得るので、”十把ひとからげ”に「報道機関のドローンは安全」と主張する根拠は不明確である。仮に報道機関のドローンを適用除外した場合にも、考えなければならないことも多い。ドローンの操縦には電波と汎用のアプリが使用されるので、ドローンが妨害電波による制御不能やテロ犯人の手に渡ってしまう事態も想定しなければならない。最大の懸念は、報道機関のドローンと他の悪意あるドローンとの目視による識別は不可能であることである。新聞協会は、これらのリスクを全て回避できる「特別の仕様と運用に自信を持った上での反対ではないと思われる。

 前段で改正案の反対には「新聞協会の驕り」と書いたが、これはジャーナリスト全般にも通じることであると思う。誤報・虚報を犯した場合にも取り消しや訂正はおざなりで、時として為されないことも多い。政治家や官僚に対しては厳しく責任を問うものの、それが自分に降りかかった場合の処置は、とても天下に恥じぬものとは言えないと思う。報道機関のみ例外を求める今回の意見書についても、報道に従事する我々の行動は正義であり、他の低レベルの行動とは一線を画した別次元の高みにあるとする選民意識丸出しの所業と云わざるを得ない。