痒いところに届く・・・最高のツールは「孫の手」だろう。
毎日、とても重宝している。
息子や娘、ましてヨメでもない、「孫の手」。
竹製の手の形をした先端が曲がっていて、肌さわりよろしく痒い
ところを、まるで優しい孫の手のような触覚で掻いてくれる・・・
何とも心が和む、優しい名前ではないか。
いいネーミングだなあ、と感心しきりだったけど、調べてみたら
ルーツは古代中国にあるものの、初めから孫の手とは言ってな
く、このような名前になったのは、日本に入ってきてからのことだ
とわかった。
古代中国の伝説「神仙伝」に麻姑(まこ)という鳥のように長い爪
をした仙女がいて、その麻姑の爪で痒いところを掻いてもらうと非
常に気持ちがよいだろう言われていた。
そこで背中を掻く棒のことを「麻姑の手」と呼ばれるようになり、
1500年ほど前に日本に伝わり、やがて「麻姑」が日本語の「孫」
に似ていることから、「孫の手」に転じたという。
面白いですねえ、孫の手の由来は中国の伝説の仙女からきてい
るなんて。
中国では仙女の優しい手で掻いてもらういささか色っぽい願望だ
ったが、日本ではかわいい孫の手に転じたところが、いかに
も日本らしい。
その由緒ある?孫の手、ずぼらな私には欠かせない生活上のアイ
テム。
手が届かない背中のかゆみを心地よく掻いてもらい「天国、天国」
の心地よさをもたらしてくれるのはもちろん、ちょっと手の届かない
ところの小物を引き寄せる道具にもなってくれる。
とくにこたつに入っている冬、クーラー効いた部屋から動くのが億劫な
暑い夏、手もとにある孫の手はまことに便利である。
孫の手ならぬ「ズボラの手」ですねえ。
猫を遊ばす「猫じゃらし手」にもなり、ニャンも相当重宝しているようだ。
年寄りには欠かせない生活の伴侶?
孫の手と麻姑といづれぞ寒日和 飯田龍太
江戸の狂歌にも登場しています。
孫の手の痒いところへとどきすぎ足の裏までかきさがすなり
贅沢を厳しく戒めた松平定信の「寛政の改革」の、有難迷惑を仄めか
したものだろうね。
<孫の手>


このお方も孫の手がお気に入り
