LOVE&DESIRE

沖縄で頑張る爺バンドのブログだったがいつの間にか爺の独り言(涙)。

闇夜の国から

2012-02-04 08:53:39 | ブログ

 この世で唯一人だけ心配してくれた義貴へ。捧ぐ。

おとんの大将池田が個人的に消費をたくらむ「河豚の卵巣粕漬け」をオーダー。本来ならば猛毒であるが手間暇かけて無毒化した珍味。ぽん酒熱燗、湯豆腐の最強トリオにて宴開始。

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三択。一番熱燗向きの右「花巴」を選ぶ。

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とろろ昆布がだし汁の中でとろけていきます。

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初体験。美味いは怖いかも。カラスミに近いような味はやはり魚の卵で、毒は本当に抜けているのかビビりつつ、あ~美味い~ぽん酒とは合うな~・・・・・・極楽極楽

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「これ、起きなさい。」「うぷっ、あっ、外人さんや、あんた誰?」「わてはダンテだす」「「地獄巡りのおっさんか?」「そうや、あんた、「黄泉の国回りツアー無制限の旅スタンダード」に当選しはったさかい、案内したるわ。」「と言うことはわし、死んだ?」「NO、河豚で仮死状態、ツアー終了後帰れますがな。と言うことでツアコンはわしかオルフェのどちらかを選んでケロ」「ん~地獄でのたうち回るピーポー見物も好いけど、あれか、誰かひとり連れて帰っても良いよ~権利付でしょ、オルフェは」「はい、決定、オルフェ君とご同行」

 「それから、コクトーのフランス版じゃなくて、「黒いオルフェ」にしてね」と口にすれば忽ち白黒フランス語からカラーでBGMはサンバ、オルフェは黒人の電車運転手と化す。こっちの方が脳天気でGOOD。しばし、オルフェ君の電車で黄泉の国の終点まで降下。さあ、誰を連れて帰りましょうか?

 死んだ妻が定番だが同居人はピンピンしとるし、親爺を連れ帰っても煩そうだし、その他肉親親類縁者友人など、挙句の果ては猫の玉、犬のポチ、ハムスターのハムまで候補を広げるもなかなか、気持ちはまとまらない。

「全員連れて帰ります。エブリバデー、順番に手をツナイデ下さい」「こらっ、ルールー違反は止めなさい!!」「イイじゃん減るものでもないし」数珠つなぎの一向、オルフェ運転手の制止を無視して電車に乗り込み、嫌がるオルフェの頭を小突きながら「早よ出さんかい」。電車はゆっくりと、でも確実に上昇していきます。

 電車の中は懐かしい顔ぶれで溢れています。彼らが去った後の出来事や話せなかった事話したかった事など、伝えたかった心を刹那に託し、儚く断ち切られた絆をもう一度取り戻そうとします。でも、もう時間はありません。みんなの泣き笑いが広がるだけ。

 「終点、黄泉の国入口降り口は右側、ご乗車ありがとうございました。」もらい泣きのオルフェ運転手ドアを開け、乗客御一行ぞろぞろと下車。後ろから押され、つんのめったHACHI公、体制を整えようと踏ん張れば真後ろの●●の足を踏んでしまいます。「アガー、踏まんど~」「ゴメンね」と謝ろうと無意識に振り返ってしまいました。結末はあなたのご存知の通り。

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がばっと顔を上げればここは娑婆。変わらぬ酒場でいつもの顔ぶれ。よだれをふきながら、そっと涙をぬぐって素知らぬ顔でカムバック。夢でもいいじゃん。彼らに会えたのだから。