another Beatle

フリースタイル、且つ、創造的。(これが、理想ですが--)

村上龍の青春は幸せだった?それとも------。

2008-10-19 02:55:50 | Weblog

ここ二ヶ月、村上龍の、「限りなく透明に近いブルー」を少しずつ、再読していました。今日やっと読み終えました。

自分の知性が追いつかないのか、それとも、集中力が足りないのか、かなりハードでした。最初からすぐに主人公を含め、4,5人の薬、性、の描写が文学的(?)に書かれていて、全体の3分の1くらいのところまで続いています。

そこに事実としてあるのは、薬、ロック、性です。何十年も前に芥川賞を獲った作品で、私も読んで、ラストで感動したことだけを覚えていましたが、内容は余り覚えてはいませんでした。ただ、薬、ロック、複数の性の饗宴みたいなことだけ覚えていて、内容ははっきり言って、アウトロー。

 ただラストの感動があるかどうかをもう一度確かめたかったのです。

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多数の読者は最初から、かなり長い、性、薬物の描写にうんざりして、読書することを、投げ出したかもしれないと思います。私も読み返して、しんどい思いをしました。まるで、18禁のポルノ映像じゃないかと。(主人公プラス恋人リリー、プラス数名の)

次はその状況から抜け出している主人公と恋人らしきリリーの、屋外での二人だけの空間の描写が続きます。ここも薬あり、幻想ありの描写です。

 最期近くの章では、主人公がリリーから何度も「あなたは気が狂ってる--」と言われる行があって、主人公がその言葉に反撥するかのように、ブランデーグラスを床に叩きつける。

そして、グラスの欠けたガラスを自分の腕に突き刺す。

 最期の章は病院にいる主人公の内面描写が続きます。限りなく透明に近いブルーとは、主人公が自分の腕に突き刺したワイングラスの透明な破片のことを言っていたのでした。

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血を縁に残したガラスの破片は夜明けの空気に染まりながら透明に近い。限りなく透明に近いブルーだ。僕は立ち上がり、自分のアパートに向かって歩きながら、このガラスみたいになりたいと思った。------------ --(省略)僕自身に映った優しい起伏を他の人々にも見せたいと思った。(限りなく透明に近いブルーより)

このあたりから私はこの小説に感動しました。今日読み終えた後も。ショッキングな内容でした。

(改めて)疲れました。

 作者、村上龍はあとがきで、この作品を本にするときは装丁をやらせて欲しいと頼んだと書いてあります。そして実際に装丁をして、表紙はリリーの横顔だということです。あとがきの中で、彼はもう一言付け足しています。

 リリー、もしこの本を買ったのなら、連絡してくれと------。

その後、リリーから連絡はあったのでしょうか?

コメント (6)
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