山口県の土砂災害被災地の空中写真を見てみました。国土地理院が1970年代半ばに撮影したカラー空中写真は高解像度で、地域によっては耕地整理前の土地利用がのこっており(言いかえれば地形なりに農地がつらなっており)、土地の成り立ちが読み取りやすいのです。
結論から言えば、被害を受けた老人ホームは扇状地上に位置していました。しかし、いわゆる教科書的な(土石流危険渓流の看板の絵にあるような)扇状地ではありません。老人ホームの上流域には段丘化した扇状地があり、その上流域が山地になってます。そして、渓流は真尾(まなお)川に合流し、真尾川はさらに大河川である佐波川の低地に扇状地を作っています。
このことは国土地理院が撮影した空中写真をみるとさらによくわかります。
http://photo.gsi.go.jp/topographic/bousai/photo_h21-0721ooame/orthophoto/image/C1_N.jpg
災害は確かに悲惨な出来事です。しかし、こうしてみてみると、災害となる現象は、私たちが暮らしている土地を形成するヒトコマであることがよくわかります。