防災ブログ Let's Design with Nature

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宅地耐震化、自治体の動き鈍く

2009年05月18日 | 盛土が安定すれば安心
毎日新聞に気になるニュースがありました。
http://mainichi.jp/life/housing/news/20090513ddm013100165000c.html

どういう手順で調査を進めていけばいいのか」。昨年9月、国土交通省で開かれた宅地耐震化推進事業に関する会議。出席した自治体の担当者約90人から、調査の詳細な手法と住民への対応を巡って次々と質問が出された。

 大規模な盛り土造成地で地震による被害が相次いだことを受け、国が06年に新設した同事業だが、自治体の動きは鈍い。住民負担が重いことや、国の補助率が低いことなどが障害となっている。

 国交省によると、事業ではまず、地形図などを使って一定規模の盛り土造成地を抽出し(1次調査)、分布図を公表。さらに現地調査など(2次調査)を実施する。その結果から、盛り土部分で地滑りが起こる「滑動崩落」の危険性が大きい造成地を「造成宅地防災区域」に指定し、対策工事を施す内容だ。

 だが、工事費の半額は原則、土地の所有者負担となるため、「住民に危険性を伝え、費用負担を求めれば、開発業者や許可した自治体の責任を追及されかねない」(青森県)といった理由から、事業化に二の足を踏む自治体が多い。仙台市や横須賀市のように「現段階では、工事への合意を住民から取り付けるのが難しい」と判断し、国の補助を受けず独自に1次調査だけを進める自治体もある。

 事業を始めた自治体も試行錯誤を続けている。昨年度までに1次調査を終了した自治体は13あるが、分布図の公表は5自治体にとどまる。「分布図の公表で風評被害を招きかねない」(堺市)、「2次調査には多額の費用が見込まれ、それだけの効果があるのか検討したい」(愛知県春日井市)など慎重な姿勢が目立つ。国交省都市・地域安全課の大坂剛企画専門官は「滑動崩落の危険性を粘り強く訴えるしかない」とため息をつく。

 こうした事態を受け、専門家の間には具体的なモデルを作成しようという動きが出ている。地盤工学会は今夏にも、対策工事の手法や費用などをまとめた資料を作成する。同学会の安田進・東京電機大教授は「住民の生命にかかわる問題。費用面などのモデルを示すことで自治体も動きやすくなるはず」と期待する