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中越地震から5年

2009年10月23日 | 各地でのTOPICS

今日10月23日は、2004年新潟県中越地震から5年目の節目に当たります。当時私は、埼玉県川越市にある会社に勤めており、土曜日ながら仕事をしておりました。1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)も経験している私ですが、それ以来の激しい揺れ、しかもその後数回の激しい余震にも肝を冷やしたものでした。

それ以上に驚いたのは、旧山古志村の地すべり地形の大規模さ、数の多さといった、地形変化の激しさでした。新潟県中越地域から東北地方日本海側においては、ほとんど全ての山の斜面が地すべりといってもいいくらい、地すべり地形が密集しています。

これらの地すべりは、後期更新世の気候変動・海水準変動に伴い主に2回の多発期があるといわれてきました。

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地すべり学入門 第5章
http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~oyo/landslide/l005.html
  第三紀層地すべりなどと表現されると、地すべりは非常に古い地質時代に発生したかのごとく誤解される恐れがあるが、実際に活動したのは第四紀のものがほとんどである。現在見られる地形は、第四紀以降の隆起浸食の過程で形成されたものであり、地すべりはもっとも大規模な浸食現象の一つである。 
  最初に地すべり多発時代を提唱したのは津田(1970)であった。津田は新潟県芋川地すべりにおいて腐植土混じり地すべり粘土の花粉分析を行い、当時の気候は現在より平均気温にして3~4℃低いとした。明らかに2回の多発期が認められる。まず更新世初期、山地丘陵の形成(魚沼変動)に伴う初生崩壊・地すべりがあった(後述)。次いで、更新世中~末期の氷河性海面低下による二次・三次移動が多発した時期があり、最後に完新世初期の日本海温暖化に伴う融雪地すべりの発生が顕著に見られた。現在新潟県の地すべりの約8割は崩積土の再活動であるという(青木,1976)。
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たしかに気候変動に伴って温暖化すると、地下水、降水、融水が増え、地すべりが発生しやすくなるでしょう。しかし、私が疑問に思っていたのは、kmオーダーに及ぶ規模、数十~百数十mに及ぶ鋭利な滑落崖は、果たして降水や融雪水による間隙水圧上昇だけでできるんだろうか、と思っていました。

地形学・地質学の技術者・研究者は”みてきたようなウソをつき、、、”ということをよく言われます。大半の現象が、映像の残らない時代に発生したものであるからです。

しかし、2004年新潟県中越地震は、映像が活用できる時代に発生した地すべり”地帯”でした。以前の研究の蓄積も踏まえ、日本の里山のでき方を見つめなおす意味でも衝撃的でした。

活断層の活動履歴を地すべり堆積物から逆算する。そういう議論がなされるきっかけとなりました。


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