日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

度重なるモラルハザード、もはや無政府状態

2020年02月27日 07時23分03秒 | 政治
 あれは、国の省庁再編、霞が関の諸官庁を1府22省庁から1府12省庁へと改変した直後のころであった。旧1府としての「総理府」に対して新たな「内閣府」という新組織はそれが何をするのかその姿がまるで見えない頃の「内閣府」副大臣室を祝意伝達のために訪れたことがある。財務省と文科省の間の坂道を上りその右手の合同庁舎4号館と呼ばれる国家官庁の混住ビルの二階に鎮座していた時分の事であった。
 はじめチョロチョロ中パッパとでも言うのであろう?、その頃の「内閣府」は何をする役所なのか、せいぜい国家統計データの整理でもしていればよい程度の官庁だなと筆者は勝手に想像して副大臣室を後にした記憶が今もおぼろに残っている。
それが急激に変貌を遂げ、殊の外、現政権になってからこの官庁は総理官邸の事務局として急激に末端肥大化し、それがとりもなおさず内閣総理大臣の個人的権力集中へと繋がった、というのが史上最長の安倍政権の歴史である。
 各省庁から選抜され内閣府に招集された官僚たちは出身官庁を尻目に、虎の威を借りて権勢を身辺に帯びるようになった結果、それぞれの風下に追いやられた各省庁の著しい権威の減退、または政策提案力や現場指導力が衰弱してしまったように見える。
 文部科学省所管の大学入試制度での英語入試の不始末、文科省だけでなく異論を持つ農水・厚労両省を巻き込んだ加計学園獣医学部新設問題、今渦中のパンデミック騒ぎで自らスタッフが現場で罹患してしまうという不手際ぶりを発揮している厚生行政の無策・無能、何を「研究」するのか全く不明のアラビア海派遣を強要された防衛省、検察官人事に為すすべなく新規の定年制?を押し付けられた法務省等々、あの20年前にはパッとしなかった内閣府への権力集中が今や大変な成り上がりぶりだ。そして、何と言っても「桜を見る会」スキャンダルは、「内閣府」の独善と強権と不道徳を象徴して余りある。
 縦割り行政の弊害が叫ばれ、その対策として採られた省庁再編は首相官邸を中心としたファシズムという鬼子を産み出し、その反動として専門性と現場力と権威を失った歴史となったようだ。
 もう一度、現場力を磨き直すこと、それこそが霞が関再建のための喫緊の課題であろう。炬燵にあたりながら、雪の白河関の歌を詠むようななまくら総理官邸行政ではこの困難な時代を乗り越えられまい。「森羅万象」そのすべてが一官庁にあるのではなく、まして総理大臣御一人に有るわけもなく、全国津々浦々人々が生活する地域の現場にあることを肝に銘ずるべきだ。


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