日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

「地方」は生き残れるか?、いまその正念場に立つ

2024年08月06日 07時22分34秒 | 政治
 「全国知事会は1日の会議で、人口減少問題に対応する『人口戦略対策本部』の設置を決めた。知事47人の結束を示し、危機感の薄い政府にハッパをかける狙いだ。しかし東京一極集中の是正を巡り、小池百合子東京都知事と、他の知事との足並みの乱れを露呈。地方では財源が豊かで新たな政策を実行しやすい東京への不満が強まっているが、税収格差の解消は道筋が見えないままだ」(2024/08/02共同通信)。
この国では生まれる子供の数77万人に対して死者の数は156万人とほぼ倍にのぼる。結果、急激な人口減少に突入してしまった。日本の都道府県別人口についてその年変化率が辛うじてプラスを維持しているのは沖縄県と東京都のみ、他の46道府県はおしなべてマイナスになってしまった。よほど特別なことが無いかぎり、この状態から旧に復することはあるまい。秋田県のマイナス4.78%を最大にして、神奈川県のマイナス0.08%まで、残るは沖縄県のプラス0.04%は風前の灯に見えるし、東京の0.38%は「移入」で支えている。とりわけ東京都は合計特殊出生率が1.0を割っているから国家的人口減の最大の貢献者になっている。
こういう中で全国知事会が人口政策について国との間で議論を始めようというのだが、結果は上の記事のように東京都知事の発言によって全国知事会の「検討事項」にはなれなかったという。都知事から見て、人口問題は損することはあっても得になることは無いと、ハナから確信しているためであろう。その判断は正しくて、都庁の壁にプロジェクション マッピングとかいう巨大幻灯を巨額の出費をしてまで映写できるなどという放蕩のかぎりのできる富裕な東京は「人口集中」あればこそだからである。
アジア的な群れて生きる習性をもつ日本人は「分散より集中」、「地方分権より中央集権」を選ぶので、よほど臍を固めて取り組まない限り、今後とも集中の弊害を脱することは難しい。まして、その集中している極点の東京が小池氏の知性の中で分散化への転換など理解の外であろう。
1980年代に「第三の波」という超ベストセラーの著者アルビン・トフラーは、彼の言う「第三の波」の社会は「集中から分散へ」と変化していくと予言した。事実アメリカで「第三の波」は北米大陸西海岸の広大な地域で成長していったが、五大湖周辺の20世紀的工業集中地帯はラストベルトというあまりありがたくない名前を付けられて沈殿している。20世紀の世紀末では世界の工場機能をほしいままにした日本が、国外展開という分極を図ったが分散には失敗して戦い終えて日が暮れて敗残の身のままに国に帰って再び集中し、専ら円安背景の輸出型で食っていけなくなった現代、人口減少にまで至ったこの国が一極でなく無極化できるかが問われる今、最後の正念場にさしかかる。「集中から分散へ」というトレンドは自律した知性のみがなし得る。群れた衆愚には「分散」は不可能で、「集中」からは「革新」は起こり得ない。起こらなければ衰退だけだ。全国知事会がこうした歴史と現実をどう認識しているかもまたもう一つの問題だ、が・・。