グリフォンの日記

時事のニュースについて書いていきます

日本に捨てられた台湾

2009-05-03 23:42:13 | マスコミ達

【NHKスペシャル 台湾統治めぐり「一面的」】産経ニュースより

NHK総合テレビが4月5日に放送した「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー」の第1回放送「アジアの“一等国”」に対し、出演した台湾人のほか日台の友好団体、識者などから「一方的だ」と批判の声が上がっている。NHKは「番組にすべての要素を盛り込むことはできない」(日向英実放送総局長)と反論するが、番組は何を取り上げ、何を報じなかったのか。3日の第2回放送を前に、その“文脈”を検証する。(牛田久美、草下健夫)  

【台湾民族と漢民族】

 ≪一家は中国福建省から移り住んできた漢民族でした

 番組でそう紹介された元医師の柯徳三さん(87)は「私は漢民族ではない」と言い切る

 「台湾人の祖先は、宋代に南アジアの少数民族との混血が進んだ。その一部が約200年前に台湾に移り、南方系の先住民と結婚した。私でその移民から7代目。漢民族の血は1万分の1も入っていない」

 台湾民族のHLA(ヒト白血球型抗原)を研究したことのある東京大学の徳永勝士教授は「民族の呼び方は、その人たちのアイデンティティーを尊重するべき。(反発は)自然なことなのでは」と語る。北京政府は、台湾を国家として認めず「中国の一部」と主張する。漢民族という呼び方は、その文脈に沿った表現といえる。

【日台戦争!?】

 ≪台湾人の抵抗は激しさを増していきます。戦いは全土に広がり、後に日台戦争と呼ばれる規模へと拡大していきました

 番組出演者の蒋松輝さん(96)は「初めて聞く」と驚きを隠さない。「確かに祖先は抵抗し、治安は悪かったが、戦争は言い過ぎ」。柯さんも「思いも寄らない言葉だった」と語る。

 NHKは「日本軍だけで死者は5000人近くにのぼった。学者も用いている」としているが、4000人以上はマラリアによる病死で戦死ではない。国立国会図書館の論文検索でも「日台戦争」は1件もヒットしない。学説と呼べるのだろうか。

【人間動物園…】

 このほかにも、数多くの疑問が示されている。

 「台北一中の生徒は台湾人が2人だけで厳しい制限付きだったというが、教育は開かれていた」(台湾協会、小原孝弼さん)

 「樟脳(しょうのう)生産や港湾整備を取り上げ≪金のなる島≫と強調したが、日本の統治への高い評価が抜け落ちている」(日本李登輝友の会、柚原正敬事務局長)

 「(先の大戦で)21万の台湾人を戦場にかり出したと言うが、その10倍も(日本軍への)志願者がいた事実は報じていない」(日本文化チャンネル桜、水島総代表)

 1910年にロンドンで開かれた日英博覧会で台湾の先住民族を紹介したこと≪人間動物園≫と表現したことも、自民党議員らから反発を集めた。

出演者の柯さんが「日本統治の功罪の両面を50%ずつ話したが、NHKが取り上げたのは罪の部分だけ」と評したこの番組が放送された後、NHKには4月末までに2500件を超える声が寄せられた。「多くが『一方的だ』という意見」(NHK広報部)だったという。放送法3条は「意見が対立する問題は多くの角度から論点を明らかにすること」と定めている。台湾研究フォーラムの永山英樹会長は「日本が侵略者だというストーリーに合わせて証言、史実を切り貼りしている。一面的すぎる」と評する。

 日向総局長は、多面性の確保については「放送全体の中で考えてほしい」としている。第2回以降の放送が注目される。

【用語解説】NHKスペシャル「JAPANデビュー」

 NHKが今後3年間にわたって「これから日本はどこに向かい、私たちはどんな生き方を選ぶのか」(番組広報資料)をテーマに、歴史から教訓を探る目的で放送する大型企画番組「プロジェクトJAPAN」の一シリーズ。NHKによると(1)アジアの“一等国”(2)天皇と憲法(3)貿易で立つ国家(4)軍事強国-の4回を放送予定。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/media/090503/med0905030840000-n1.htm

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瀬戸内海の深い紺色に汚濁した海が広がる海辺に座り、そっと目を閉じて、波の音に耳を澄ませてみる。日本から西南西に位置する大きな島国、台湾。面積は約35,980km?と九州と同じ大きさを誇る島国である。戦前より続いた約50年の日本統治時代。

Wikipadiaの日本統治時代を開いてみる。1895年4月17日から日本の統治下になり、当初、日本は軍による圧制を行った。それが激しい抗日運動を生み、幾多の事件が起こった。それがゆえに、日本は、軟化政策へと転換する。同化政策というものだ。

戦後に言われる、日本の統治下における良かった事柄は、インフラの整備や教育機関の充実、病院建設、ダムの建設など多岐にわたる。一方で、農産物の搾取や差別や偏見などが横行し、当時の日本国内でも行われていた差別を彷彿とさせるのである。そして、もっとも罪深き日本の罪は、戦後、64年も台湾を見捨てた事であろう。

だが、NHKの反日番組では、この負の部分だけをクローズアップした偏向番組であった。ゆえに、多くの台湾支援者である日本人からも、インタビューを受けた当の本人からもNoを突きつけられているのである。

日本の良さ、日本精神(リップンチェンシン)。この言葉は、日本が敗戦後、出来た言葉であるそうだが、「愛国」「勤勉」「公正」「責任」「誠実」「見識」「気概」を指す。台湾人の日本の教育を受けた世代は、中国共産党の堕落ぶりに落胆し、日本への回帰の念をいっそう深めていったのではないだろうか。

得てして現代。平和と言う幻想に身を任せ、言いたい放題、やりたい放題の日本。何でも出来るし、何でも買える日本。敗戦時に引き上げた日本兵達と当時の台湾人は何を思うのであろうか。ともに日本人として戦い、ともに笑い、ともに励ましあい、ともに泣いた戦友達。今となっては、日本にとって、国境として遠くて、精神的に一番近い島国になってしまった。

水面が小さく揺れ、静かな波音が台湾との国境も論争も掻き消していく。汚濁した捏造記事も腐敗が進行したマスコミ達も、全て飲み込み、全てを享受する地球の中で、この海は、あなた達、台湾人と真っ直ぐに繋がっている。それは、同じ日本精神(リップンチェンシン)が、二つの国の人々の心のどこかで、くすぶり続けているからかもしれない。

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【くにのあとさき 

 東京特派員・湯浅博 

歴史を歪曲する方法】産経ニュースより

右であれ左であれ「事実そのものを封ずる空気」というのは、いやなものである。とくに、歴史を扱うドキュメンタリー映像には何度もだまされてきたから、ハナから事実と思ってみないクセがついてしまった。哀(かな)しいことに。

 つい最近も、台湾情勢に関心がある人ならすぐに「変だな」とテレビの小細工に気づく番組がまたあった。日本が横浜開港から世界にデビューして150年間をたどるNHKの「シリーズ・JAPANデビュー」である。

 その第1回放送『アジアの一等国』を再放送で見た。テーマは50年に及ぶ日本の「台湾統治」だから、制作者は植民地政策の悪辣(あくらつ)さを暴き出すことに熱心だ。台湾人すべてを「漢民族」でくくるたぐいの荒っぽさが随所にあった。

 なにより『母国は日本、祖国は台湾』の著者、柯徳三さん(87)ら知日派台湾人が、筋金入りの反日家として登場したのには仰天した。日本人も驚いたが、本人はもっとビックリした。放映後、柯さんは担当ディレクターに「あんたの後ろには中共がついているんだろう」と文句をいったと後に語っている。
異民族による台湾支配だったから、当時の柯さんらが差別を感じていたことは事実だ。番組でも、「私のいとこのお姉さんが、日本人の嫁になって日本へ行ったけれどね、戸籍が入らん。こういうのが差別でしょう」と憤懣(ふんまん)をぶつけた。柯さんはじめ、仲間の蒋松輝さん、藍昭光さんも差別されたときの悔しさを語っている。

 ただ、「母国は日本」とまで公言している人々が、日本統治時代に関して洗脳、差別、恨みばかりを強調するだろうか。

 同じ疑問を感じた視聴者は多い。だが、NHKは「日本とアジアとの真の絆(きずな)、未来へのヒントを見いだそうとしたものです」と無味乾燥な答えで押し切った。

 それならと、義憤に駆られた衛星放送の「日本文化チャンネル桜」はさっそく現地に飛んで、番組に出演した柯さんらを交えて座談会を開いた。

 藍さんは「終戦で台湾人による統治ができると考えた。だが、中国人がきて衛生、治安がでたらめになった。虐殺事件が起きて、戦前のよかった日本時代を思いだした」と語る。日本統治の良い面とは、教育、病院、鉄道などのインフラに集約できるという。

 柯さんは「日本統治の善しあしは半分半分なんです。NHKには両方をいった。日本人がいやがる部分はカットしていいよといったのに、逆に悪い面だけを放映した」という。そして冒頭の「後ろに中共がいるんだろう」との怒りにつながる。

 制作者がシロをクロと言いくるめる番組をつくろうと思えば、取材対象の見解からクロばかりを抽出すれば事足りる。そこには、善意ある台湾人の複雑微妙な心理は配慮されない。歴史事実を歪曲(わいきょく)してしまう古典的な手法である。

 昨年も、神社と戦争の結びつきを強調した映画に『靖国』があった。靖国神社のご神体は鏡と剣であり、どちらが欠けても成り立たない。だが、中国人監督は半分の剣だけを摘出して「武」のイメージを極大化した。90歳の刀匠が節目に登場するのはそれが理由だろう。刀匠から「事前説明とは違う」と抗議されると、監督は「政治の圧力か」とそらした。

 『アジアの一等国』であれ『靖国』であれ、「事実そのものを封ずる空気」はいやなものである。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090430/chn0904300317000-n1.htm