玄文講

日記

すべてがイカになる

2004-10-22 11:59:08 | 怪しい話
烏賊。今日の話はイカである。

イカは地球最強の海洋生物であり、21世紀がイカの時代であることは疑いのない事実である。
こう言うと「何を大げさなことを」と思われる方もいるだろう。しかし私の主張には3つの根拠があるのである。今からそれを述べたいと思う。

まず1つ目の理由はイカの生態である。
イカの頭部の後ろには「平衡石」と呼ばれる小さな骨があり、木の年輪のようにその骨には成長とともに輪が刻まれる。その骨を調べて分かったことはイカのライフサイクルは驚くほど短く、わずか数ヶ月で成体になり子孫を残して死んでいくということであった。イカの寿命が1年を超えることはマレである。他の魚が少し成長する時間で彼らはその生を終わらせる。
そしてライフサイクルが短いということは進化の速度が速いことも意味する。つまりイカの環境適応能力は他のどの魚よりも高いのだ。
特に近年の海洋温暖化による環境の変化に多くの魚が適応しきれていない中、イカだけは着実にその困難な環境に適応し数を増やしている。驚異的な率でイカは増加しているのだ。

たとえばこんなデータがある。現在、世界中のマッコウクジラは年間1億トンものイカを食べていると推測されている。1億トンとは世界の漁獲量とほぼ同じ数であり、全人類の総重量の半分に相当する。クジラに食べられるイカだけでこの量なのだ。実際に生息しているイカの総数、総重量は人類をはるかにしのぐことは確実である。
現在海の主役はイカなのである。今世紀、全ての海がイカになるのである。

2つ目の理由は海洋資源としてのイカである。
昔からイカを食べてきたのは主に日本人であった。しかし最近他の国々でもイカが食されるようになっている。同時にイカの調理技術は確実に進歩しており、イカのアンモニア臭を取り除く技術やイカの長期保存法が確立されつつある。
世界人口の増加に伴い深刻なまでの食料危機に陥る国も珍しくない現在、この人類よりも多いイカを利用しない手はない。今世紀、全ての料理がイカ料理になるのである。

3つ目の理由は工業資源としてのイカである。
イカの皮は繊維になり服の材料になる。イカの内臓から取れる油は塗料になり、化粧品になり、石鹸になり、液晶ディスプレイになる。
特にこれから重要になるのはイカの神経である。高校の生物の教科書にものっているように、イカの神経は非常に大きく、脳を構成するニューロンの性質を調べるのに大いに役立つのである。このイカの巨大神経は脳研究に欠かせない実験材料なのである。
今世紀は脳の世紀とも言われている。脳の研究は今後ますます活発になっていくことだろう。それに伴いイカの需要も増加することだろう。今世紀、全ての研究現場がイカになるのである。

どうであろうか。以上が私が今世紀をイカの世紀であるとする根拠である。
さてそんな合理的理由から重視すべきイカであるが、イカが凄いのはそれだけではない。
イカは私たちに素晴らしいファンタジーをも与えてくれるのである。それは海の魔王、船乗りたちの伝説、からまる悪夢、大王イカの存在である。
この続きはまた明日。