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伊藤詩織さんを中傷したサイトに「いいね」繰り返した自民党杉田議員に賠償命令/少数派

2022年11月08日 | 社会の弱者・人権
Ns170minoritytp 少数派シリーズ/社会の弱者・人権
伊藤詩織さんを中傷したサイトに「いいね」繰り返した自民党杉田議員に賠償命令

M20221028 判決後の記者会見(左から2人目)

■伊藤さんを「枕営業の失敗」と罵るSNSに杉田議員は執拗に「いいね」繰り返す
まず投稿者の文章/今号も、伊藤詩織さんが受けた苦しみを深く伝えねばなりません。前号では、元TBS記者の山口敬之(のりゆき)からの性被害に対し、最高裁は「性行為に同意がなかった」とし上告を棄却する決定をしました。それとは別の裁判で、残念ながらその前に避けて通れなかった“セカンドレイプ”と言われるSNSなどの誹謗中傷に対し、画期的な判決が出ました。伊藤さんを「枕営業の失敗」などと罵るSNSに、数十回も「いいね」を繰り返した自民党衆院議員・総務政務官の杉田水脈(みお)氏の行為に、一審を逆転させた損害賠償判決です。東京高裁は、誹謗中傷の限りを尽くす杉田氏の言動を許す訳にはいかなかったからでしょう。詳しくは新聞記事本文をご覧頂きますが、いくら右翼思想・男尊女卑政策を今も続ける自民党としての議員であっても、過去から続く言動は酷過ぎる。そんな人物を、閣僚である総務政務官に任命した岸田首相には呆れます。呆れるどころか、政治見識として厳しく問われるべきです。なお誤解なきように申し上げれば、善良な市民が日常生活の中で「いいね」を押しても、賠償命令が下りることはありません(笑)。今回の判決理由は、政治家の立場でありながら民間人・市民を相手(伊藤氏)に、それを誹謗中傷するサイトに執拗に「いいね」を繰り返したからです。

■画期的な判決!『いいね』でも限度を超えた侮辱行為で不法行為に当たる
新聞各紙を投稿者がまとめた/ジャーナリストの伊藤詩織さんが、ツイッターで自身を中傷する投稿に「いいね」を押されて名誉感情を侵害されたとして、自民党の衆院議員・総務政務官の杉田水脈(みお)氏への損害賠償を求めた控訴審判決で、東京高裁は10月20日、賠償責任を否定した一審・東京地裁判決を変更し、杉田議員に55万円の賠償を命じた。石井浩裁判長は「積極的に名誉感情を害する意図で『いいね』を押しており、限度を超えた侮辱行為で不法行為に当たる」と批判した。「いいね」を巡って賠償を命じた司法判断は初めて。元TBS記者の山口敬之から2015年4月に性暴力を受けたと訴える伊藤さんに対し、ツイッター上で「枕営業の失敗」などとする複数の匿名投稿がなされた。杉田議員は、こうした投稿25件に「いいね」を押した。伊藤さんは、「誹謗中傷への考え方が厳しくなっている社会の変化が、指を押す一つの行為でもどれだけ苦しいことなのか判決が示してくれた」と、初とみられる司法判断を評価した。画期的な判決と言える。 

高裁判決は、「いいね」の特徴として「押すか押さないか二者択一で、対象投稿のどの部分に好意的・肯定的な評価をしているかは明確ではない」と指摘。名誉感情を侵害したかどうかを判断するには、▽「いいね」を押した人と投稿で取り上げられた人との関係 ▽「いいね」が押されるまでの経緯 ▽投稿のどの部分に好意的・肯定的な評価を示しているのか―を検討する必要があるとの考え方を示した。その上で、杉田議員が18年3月のネット番組で「枕営業大失敗」と書かれたイラストを見て伊藤さんを冷やかし、同6月の英国のBBC放送の番組内で「(伊藤さんは)明らかに女としても落ち度がある」などと発言した経緯に着目。判決は「伊藤さんへの批判を繰り返す杉田議員が、伊藤さんを侮辱する投稿に賛意を示すことは、伊藤さんの名誉感情を侵害する」と結論付け、国会議員であり約11万人のフォロワーを擁する杉田議員の影響力も踏まえ、慰謝料を算定した。

■伊藤氏は「指1本で誰かを傷つけてしまう、『いいね』を押す前に考えて」と呼び掛けた
提訴は「いいね」はそもそも、どういう意味を持つのか? 「いいね」を不法行為に問えるのか?前例はなく手探りで始めた裁判だけあって、周囲からは「表現の自由」を尊重する意見も多く聞こえてきた。今年3月の一審・東京地裁判決は「いいね」が示す肯定的な感情の範囲は「称賛」から「悪くない」まで幅広いことなどを理由に、杉田議員への賠償請求を認めなかった。伊藤さんは「表現の自由の前では、言葉の暴力は許されてしまうのか」と自問自答したという。「影響力のある国会議員が、ハニートラップ、売名、枕営業という言葉に、『いいね』を繰り返してきたことは重く見られないといけない」と強調し、「誰かを傷つけてしまわないか。『いいね』を押す前に考えてほしい」と呼び掛けた。代理人の佃克彦弁護士は「加害者と被害者の関係や従前の経緯を事実関係に照らしてきちんと判断してくれた。すばらしい判決だ」と述べた。

ツイッターを巡る裁判では、他人の投稿を転載する「リツイート」に賠償を認める判決は既に複数出ている。ネット上の中傷問題に詳しい中沢佑一弁護士は、「『リツイート』と比べて『いいね』は拡散力が弱く、感情の対象や程度も特定しづらいため、賠償責任が生じるハードルが高い」と指摘。今回の判決について「杉田議員が伊藤さんへの批判的な言動を繰り返し、何度も『いいね』を押したことを重く捉えたのだろう。ツイッターを使う一般人が『いいね』で賠償命令を受けることは考えづらく、杉田議員が国会議員でフォロワーが多数いることなどから、例外的に賠償責任を認めた印象だ」と分析した。

■杉田氏は総務政務官にも関わらず総務省の誹謗中傷対策キャンペーンを知らず
新聞記事/衆院政治倫理・公選法改正特別委員会(倫選特)で立憲民主党の源馬謙太郎氏の質問に、自民党の杉田総務政務官は、総務省が取り組んでいるネット交流サービス(SNS)の誹謗中傷対策キャンペーン「#NoHeartNoSNS(ハートがなけりゃSNSじゃない!)」について「存じ上げません」と述べた。源馬氏は「#NoHeartNoSNS」は総務省が行っている取り組みだと指摘したが、杉田氏は「その質問は通告をいただいていない」と回答。「伊藤さんがどういう気持ちになるか想像できなかったのか」と問われると、「係争中なので、答弁を差し控えさせていただきたい」と述べた。「#NoHeartNoSNS」の特設サイトでは、誹謗中傷を受けた際の相談窓口などを紹介している。杉田氏は過去にも、月刊誌に「LGBTには生産性がない」と寄稿し、大問題になった。度重なる誹謗中傷に加担する言動を繰り返してきた人物を、8月の内閣改造で総務政務官に起用した岸田首相の見識が厳しく問われる。

Sankoub
次号/③伊藤詩織さん勝訴続く、これからは「ジャーナリスト」として活躍する姿を見せて欲しい
前号/①伊藤詩織さん性暴力訴訟で最高裁判決勝訴、レイプ被害認定も司法への課題山積

Ntopkeiji

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