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知床観光船沈没事故3・道東エリアは海保機動救難士が1時間で到着できない空白海域だった/少数派

2022年06月10日 | リニア・交通網
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知床観光船沈没事故3・道東エリアは海保機動救難士が1時間で到着できない空白海域だった

M20220526

■体制不備と悪条件で救難ヘリの現場到着が通報から3時間15分も要す現状
前号から続く/事故が起きた4月23日、カズワンから118番通報が入ったのは午後1時15分頃。直線距離で約160キロ離れた海上保安庁・釧路航空基地から飛び立ったヘリコプター「しまふくろう2号」が、現場上空へ到着したのは午後4時半頃で、この時点では海上にカズワンの姿は見当たらなかった。なぜこんなにも時間も要したのか?それは救難体制の不備と悪条件が重なり、通報から約3時間15分も掛かった。基地から直行していれば、現場上空へ1時間程度で到着できるはずだった。しかし事故発生時は別の海域をパトロール中で、やむなく救助活動に必要な燃料を補給するために一旦基地へ帰還。巡視船「えりも」の潜水士や資材を乗せ、午後3時半頃に基地を再び出発した。

基地にはヘリがもう1機配置されていたが、事故発生時は整備中で使用できなかった。一方、函館航空基地からもう1機、準備を整えたヘリ「くまたか2号」が機動救難士を乗せて飛び立ったのは午後3時頃。現場への直行は無理で、釧路航空基地で一旦燃料を補給し、現場付近に到着したのは午後6時半頃だった。海保は周辺管区から、順次、航空機5機、巡視船7隻を急行させたが、強風と高波で速度を落とさざるを得ず、現場到着が遅れた。この事故で投稿者が分かったことだが、貼付図のように知床半島沖を含めた道東の一部は、海難事故の際にヘリコプターから救助にあたる「機動救難士」が、約1時間以内に到着できる範囲から外れるエリアだった。事故頻度が少ないのか・北方領土の対ロシアとの海域問題かは不明だが、空白海域があってはならないことだ。海保は事故後になって、自衛隊や警察と連携改善、ヘリの増強を進めたいとコメントした。

■救難空白海域・観光船の連絡不備にも関わらず運航を許可した国交省の責任は重大
因みに海上保安庁によると、機動救難士は海上の船舶で発生した傷病者や、漂流する遭難者などをヘリから救助にあたる「エアレスキュー」を主な任務としている。全国9カ所の航空基地に、約80人が配置されている。海難救助のスペシャリストとされる特殊救難隊約40人は、羽田航空基地(東京)に配置されている。このように日本の沿岸海域の大部分へ、映画「海猿」で有名になった機動救難士らが約1時間で到着できる体制を構築している。ただ、機動救難士が配置されている最北の拠点は函館航空基地で、今回の事故現場を含めた道東エリアは「エアレスキューの空白地帯」(貼付図参照)とも言われていた。なお空白地帯はこの道東エリアと、稚内などの北海道北部、図では分かりにくいが鹿児島・奄美周辺の3エリアとなっている。

今回、道東エリアがカバー整備されていれば通報から1時間後、今のところカズワンの沈没時刻は不明ながら、あるいは沈没前に現場到着ができ乗客は救出されていたかもしれない。ただ当時、現場海域は強風と高波の荒天で、1時間後に到着できても果たして救助できたか結果は分からない。ここからが問題で、そもそも基本的なことだが、国交省は道東エリアが救難空白海域である事実を認識していたはずだ。であるならば繰り返すが、“救助が困難な海域”に加え、衛星電話不備、無線不備(不適格)、携帯電話不通エリアにも関わらず、国交省が行政指導を行った「欠陥運航会社」をそのまま認可していたことは重大な瑕疵だ。こうした意味においても、国土省は重大な過失責任がある。亡くなった方・行方不明者には気の毒だが、不適格な運航会社の体質と杜撰な体質の国交省が起こした「死のスパイラル」だ。<次号に続く>

追記9.24/海上保安庁は事故を契機に道東部の空白地域をカバーするとして、23年4月に釧路航空基地に機動救難士9人を配置、23年度中に中型ヘリコプター1機を追加配備する方針を示した。

Sankoub
前号/知床観光船沈没事故2・18日間も同じ波高の運行記録でも国交省「安全向上」したと結論

Ntopkeiji

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