koshiのお部屋2

万年三歳児koshiの駄文のコーナーです。

「のだめカンタービレ in ヨーロッパ,第二夜」

2008年01月06日 20時44分51秒 | のだめカンタービレ

水上の音楽~ア・ラ・ホーンパイプ(ヘンデル)
交響曲第3番~第3楽章(ブラームス)
世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」~第1曲「おお,運命よ!」(オルフ)
前奏曲集~亜麻色の髪の乙女(ドビュッシー)
歌劇「椿姫」~乾杯の歌(ヴェルディ)
愛の悲しみ(クライスラー)
歌劇「フィガロの結婚」序曲(モーツァルト)
歌劇「イーゴリ公」~ポロヴィッツ人の踊り(ボロディン)
タイースの瞑想曲(マスネ)
アルハンブラ宮殿の思い出(タルガ)
ピアノ協奏曲第3番~第3楽章コーダ(ラフマニノフ)*
超絶技巧練習曲~第4曲「マゼッパ」(リスト)*
弦楽セレナーデ~第1楽章(ドヴォルザーク)
バレエ「眠りの森の美女」~ワルツ(チャイコフスキー)
ピアノソナタ第8番「悲愴」~第2楽章(ベートーヴェン)
歌劇「タンホイザー」序曲(ワーグナー)
ピアノソナタ第18番~第1楽章・終楽章(モーツァルト)*
交響曲第1番~第1楽章冒頭・第4楽章(ブラームス)*
もじゃもじゃ組曲~第1曲「もじゃもじゃの森」(野田恵作曲,谷岡肇・江藤耕造編曲)*
ピアノソナタ第16番~第一楽章(シュベルト)
アヴェ・ヴェルム・コルプス*
交響曲第25番~第1楽章冒頭
アイネ・クライネ・ナハトムジーク~第1楽章冒頭
きらきら星の主題による変奏曲(以上モーツァルト)*
「鏡」より第1曲「道化師の朝の歌」*
月の光(ドビュッシー)
オーボエ四重奏曲~第1楽章(モーツァルト)
歌劇「アイーダ」~凱旋の場(ヴェルディ)

                *印,演奏シーン付


モーツァルトのオペラのアリアが2曲抜けています。
「ドン・ジョバンニ」だったか「魔笛」だつたか・・・,声楽系も弱い・・・。
前日とダブった曲を除いていますので,必然的に新規の曲目は少なくなります。
とは言え,これだけの曲を使用したのですから,こちらは十分に楽しむことができるわけですが,使用に当たっての著作権料は一体どれぐらいになるのかついつい勘繰ってしまいます・・・。


しかし,演奏シーンが大変良くできていますね。
黒木が四重奏曲を吹く場面や,のだめがリストやラヴェルを弾く場面,Ruiがラフマニノフを弾く場面等,あたかも役者さんたち本人が演奏しているかのように,うまく撮られていました。
フランク役のウエンツとターニャ役のベッキーは,すっかり填ってましたね。
さすがにお笑いに造詣が深く,バラエティー番組で鍛えたからこそ,こういうお莫迦な役柄がぴったりで,ずっと笑わせられました。
また,ジローラモ,セイン・カミュ,ダニエル・カール(一昨年,山形県某所で見かけました)にロザンナ等,日本語の堪能な外タレを総動員した感じです。
あのオリバー役のスキンヘッドは一体誰だったのでしょう・・・。


それにしても,音響効果抜群のあのホールとオケの実態は何だったんでしょう。
やはり欧州のコンサートホールは直方体なんですね。
かつての我が国のような扇形の断面よりも音響的に優れているということでしょう。
最後の演奏となったブラームスの第1番は,インテンポを基調としたすっきりした演奏でした。
冒頭の6/8の拍子感と終曲コーダへの盛り上がりの部分は,さすがに譜を読めないと辛いものがあり,さすがの千秋様も付けられなかったようです。
ただ,海外のオケをあんな風に振ることができたら,さぞや気持ちがよいことでしょう・・・。

 


「音楽は共通の言語」と作中で誰かが言っていましたが,まさに至言だと思います。
折しも,ウィーンフィルとニューヨークフィル(この2つの名門オケは,どちらも創立が1842年)が中国公演を行い,後者は何と北朝鮮での公演も行う,というニュースが入っていますが,世界言語たる音楽が国際平和の架け橋になるのなら,そんな素晴らしいことはありません。
この番組をきっかけにより多くの人が音楽を好きになり,多くの曲の良さを理解してくれたなら,もっともっと我が国の楽壇も賑やかになり,世界に通じる人材をより多く排出できるのでは,と思いましたし,私のように下手の横好きでも実際に音楽活動に携わる人たちが増えることを願っています・・・。


「のだめカンタービレ in ヨーロッパ,第一夜」

2008年01月05日 11時36分02秒 | のだめカンタービレ

交響曲第4番「イタリア」~第1楽章(メンデルスゾーン)
レクイエム~第2曲「ディエス・イレ(怒りの日)」(ヴェルディ)
交響曲第7番~第1,4楽章(ベートーヴェン)*
交響詩「英雄の生涯」~第1曲,終曲(R・シュトラウス)
「チェコ組曲」~終曲:フリアント(ドヴォルザーク)
円舞曲「金と銀」(レハール)
「アメリカン・パトロール」(ミーチャム)
円舞曲「芸術家の生活」(J・シュトラウスII)
組曲「鏡」~道化師の朝の歌(ラヴェル)*
交響曲第4番~終楽章(チャイコフスキー)
おもちゃの兵隊の観兵式(イェッセル)
カンタータ第147番~主よ,人の望みの喜びよ(J・S・バッハ)
弦楽セレナーデ~第2曲:ワルツ
ピアノ協奏曲第1番~第1楽章冒頭(以上チャイコフスキー)
愛の挨拶(エルガー)
歌劇「サルタン皇帝の物語」~熊蜂の飛行(リムスキー=コルサコフ)
組曲「動物の謝肉祭」~水族館(サン=サーンス)
英雄ポロネーズ(ショパン)*
バレエ「くるみ割り人形」~花のワルツ
歌劇「カルメン」~ハバネラ
ハンガリー舞曲第5番(ブラームス)
組曲「ペレアスとメリザンド」~シシリア舞曲(フォーレ)
交響曲第5番~終楽章(ベートーヴェン)
交響曲第104番~第1楽章(ハイドン)*
歌劇「ウィリアム・テル」序曲~朝,スイス軍の行進(ロッシーニ)*
交響曲第9番「新世界より」~終楽章(ドヴォルザーク)*
交響曲第1番~第4楽章(ブラームス)
嬉遊曲K.136~第1楽章冒頭(モーツァルト)
交響詩「ティルオイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」(R・シュトラウス)*
メヌエット(ボッケリーニ)
歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲(グリンカ)*
連作交響詩「わが祖国」~第2曲「モルダウ」(スメタナ)
スペイン交響曲~第1楽章冒頭(ラロ)
ヴァイオリン協奏曲~第1,3楽章(チャイコフスキー)*
エニグマ(謎)変奏曲~ニムロッド(エルガー)
「王宮の花火の音楽」組曲~歓喜(ヘンデル)
ラプソディ・イン・ブルー(ガーシュウィン)
バレエ「ロミオとジュリエット」組曲第1番~キャピュレット家とモンターギュ家(プロコフィエフ)
                     *は演奏シーン有り


まず,これだけの曲が流れました。
約40曲という凄まじさです。
その他にもJ・シュトラウスのワルツとグリーグとおぼしき楽曲がありましたが,咄嗟に曲名が出ませんでした。


以前も述べましたが,原作でのコンセルヴァトワール編は以前の桃ヶ丘音大編に比べると,コンペティションでの成功譚とも言うべき内容で,テンションが下がってしまい並の音楽漫画(??)に成り下がってしまった印象があったのでしたが,TV版は相変わらずのハイテンションで,笑わされっぱなしでした。
ベッキーとウエンツがフランス語を話せるとは意外でしたし,上野樹里は完全にのだめと一体化して変態ぶりに磨きがかかりっていました。
去年,織田裕二と共演した「冗談じゃない」見ても,のだめにしか見えませんでしたので,多分,今後まともなヒロイン役はできないのではないでしょうか・・・。
のだめと優子(ジャンの彼女)の「波動拳」(カメハメ波か??)の応酬には腹抱えて大笑いしましたし,千秋から「負」が湧いて出ているのらも爆笑でした。


しっかし,千秋くん,さっぱり指揮上達しませんね。
ジャンも片平氏も同様ですが,左右の腕が対称ではいけませんし,左手のキューが煩すぎます。
打点は,身体の幅に収めて,高さは基本的にへその位置,というのを忘れてはいけません。
コンペティションで振りながらの指示ですが,一瞬で過ぎたことを指揮者がいちいちあれこれ指摘しても意味ありません。
ある程度オケを走らせつつ,どうしても気になるところを止めて行う,というのが本当ではないでしょうか・・・(立ち会ったこと無いので何とも分かりませんけど・・・)。
あと,「新世界」終曲を使った間違い探し(原作では同じくドヴォルザークの第8交響曲の第1楽章でした)ですが,スコアを見てなかったので何とも言えませんが(ビデオ回してもう一度スコアを持ち出してチェックする気力は無し・・・),私に分かったのは中間部で2拍目に入るティンパニが1拍目を打ってしまったところだけでした・・・(泣)。


あと,コンペティションの場所は同じフランスの国内だったはずなのに(TGV乗っていたし),最終審査が何故突然プラハの芸術家の家になったのでしょう・・・。
だったら,セバスティアーノ・ヴィエラことスデニェック・マーツァルに会えるはずではないでしょうか・・・。
そのへんが全く分かりませんでした。
のだめと千秋が食事をしていたら,突然「モルダウ」がバックに流れたと思いきや,窓の外はそれこそモルダウ川の流れと橋の架かるお馴染みのプラハの光景が飛び込んできましたし・・・。


あのウィルトールオケの実態は,チェコフィルかプラハ交響楽団でしょうか。
エンドクレジットを見ても確認できませんでしたが,スメタナホールを満席にしたエキストラも含めて,金をかけたもんです。
ま,NHKの大河ドラマの劇伴やアニメ「鋼の錬金術師」のサントラも,東欧やロシアのオケを完全に貸し切り状態にして収録したものですけど・・・。


・・・という訳で,またしても突っ込みまくってしまいましたが,楽しめたので○かと・・・。
今夜の第2部は,多分のだめのリサイタルを中心とした内容になるのでしょうが,オケの演奏場面が減りそうでちょっと心配です・・・。
何せ器楽系弱いので・・・。
リアルでの視聴は苦しいかもしれませんので,深夜か明日の視聴になることでしょう・・・。


のだめカンタービレ#18

2007年06月26日 22時36分59秒 | のだめカンタービレ

前刊を求めたのが昨年10月の実写TV版放送直前でしたので,年間2冊のリリースということでしょうか。
ま,月刊誌連載を考えると,妥当なペースなのでしょう・・・。


ぶっちゃけて言えば,現在のコンセルヴァトワール留学編は,以前の桃ヶ丘音大編に比べてパワーダウンは否めないと思います。
裏軒のどら息子の峰とか,おかまのもじゃもじゃとか,ボンレスハム早川(忘れ去られた存在)とか,どーでも良い存在なのに妙に印象に残る大河内とか,個性的な各キャラが立っていたので,多少の現実離れはあっても読んでいてわくわくしましたし,次々に出てくる名曲の演奏シーンも,これだけイマジネーションをかき立ててくれるものは今まであり得ませんでした。


それに比べると,現在のコンセルヴァトワール編は,常套的な音楽漫画(どういったものが常套なのか,と聞かれると,ちと困りますが)になってしまった感があり,笑えないし浸れませんでした。
かつてのパワーがいささか落ちてきているので,そろそろ収まりをつける時期にきているのやもしれません。


演奏シーンは,のだめのサロン・コンサートの場面のみで,J.S.バッハのイタリア協奏曲,メンデルスゾーンの「無言歌集」~「甘い思い出」,ショパンの幻想ポロネーズ,リストの2つの伝説曲~「鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」,アルベニスの「スペイン組曲」~「聖体祭」(ストコフスキー編のオケ版も素晴らしい)といった無茶苦茶な選曲でした。
師匠のヴィエラと再会した千秋がリハのマーラーを聴きに行って,のだめのサロン・コンサートをすっぽかすくだりがありましたが,その場面をもっと詳しく見たかったです。


来月にはPS2用のソフトも出るらしいですが,そろそろ巷の「のだめ熱」も冷めてきた,というところでしょうか・・・。
(アニメ版DVD,1巻見て止まっています・・・。いつもレンタル中で・・・)


あ,そうそう,蛇足ですが,表紙ののだめが持っているトライアングル,独特のフックが付いた(手に持つことも,譜面代に引っかけることも可能)playwood社製ですね。
鳴りが抜群によい楽器で,ロシアものにぴったりですが,さすが楽器の考証はしっかりしています・・・。
打つ位置もばっちりです。


ブラームス:交響曲第1番ハ短調op68~千秋真一指揮R☆Sオーケストラ

2007年02月11日 21時24分31秒 | のだめカンタービレ

2005年の発売時に5万枚売れたという曰く付きのCDです。
たった5万枚,と思われるでしょうが,クラシック系のCDが発売時に万単位で売れるということは極めて希な現象であることを予め記しておきましょう。
別に不朽の名曲であるブラームスの第1交響曲を聴くなら,それこそ古今の優れた名演が目白押しなわけで,敢えて2,800も投じて買うほどでもないと思い,レンタルショップの半額セールを機会にレンタルして聴いてみた次第です。


このCDのセールスポイントは幾つかあります。
まず第一にジャケットでお分かりのように,千秋真一指揮R☆Sオーケストラの演奏であること。
そんなの漫画とTVのことで,だれかの音源を被せただけだろう,と私も正直言って思いました。
ところが,録音のセッションデータは明らかにされているものの(2005.6.27,28東京芸術劇場大ホール,プロデューサーやエンジニアも明記),実際の演奏に当たった指揮者やオーケストラ名は一切公表せず,という徹底ぶり(もう既にばれているのかもしれませんが,私は知りません)。
多分,東京交響楽団か東京都交響楽団ではないかと予想されますが(原作にも出てきたジェームス・デプリーストの指揮??),このまま知らずにいた方が良いのかも知りません。
第二に,ボーナストラックとして千秋がフランスのプラティニ指揮者コンクールで間違い探しに挑戦したドヴォルザークの第8交響曲の第1楽章が収められていること(プラティニだのマラドーナだの,のだめ作中のコンクール名は往年のサッカー選手から来ている)。
原作同様に間違い探しが楽しめます。
そして最後に,ライナーノートの筆者が原作通り『クラシック・ライフ』に「夢色クラシック」を連載中の音楽評論家佐久間学氏であること。
原作よりも遙かに濃い内容が味わえます。
このライナーノートを読むだけでもこのアルバムの価値があると思います。
全部はまずいので一部を紹介すると以下のように・・・。


果てしない苦しみから生まれる,幾重もの炎。
迸る情熱,叩きつける絶望。
絡み合うふたつの歌に,深い楔が打ち込まれる・・・。
絶望の歌よ,苦しみの頂きを目指せ。
深き悲しみよ,魂の稜線を削れ!(第一楽章より)


天空を包むように,響いては降り落ちる荘重な調べ・・・。
始まりだ。絶望を胸に抱け,希望がそれを抱きしめる!
迸る歓び,立ち上がる情熱。
歓喜の歌よ,希望の頂きを目指せ。
深き迷いよ,魂の底へ沈め!(第四楽章より)

                
                      (KING RECORD KICC555ライナーノートより)


・・・実際にはこれの数倍の分量であり,読み終えると結構疲れたりします・・・。


で,肝心の演奏ですが,本格的で見事なものでした。
こうした音楽を聴き始めて,そして我が国のオーケストラの演奏を聴き始めて早いもので30年がたちましたが,本当に上手くなったものです。
以前は,次の独奏で絶対外すぞ,なんて予想すると見事その通りになったり,Tutti(全奏)の響きが濁り美感に欠ける部分が多かったのですが,全くそのような心配はなく,安心して身を委ねていられる演奏でした。
勿論,冒頭のsostenutoの凝縮された響きや緩抒楽章でのしなやかな歌(Vnの独奏:コンミスの三木清良でしょう),終楽章の力感の開放,等々聴き映えがしました。
終楽章の大詰めであるコーダのコラール6小節間に楽譜にないティンパニの追加がされているのも大きな特徴で(ウィーンフィルだったら絶対しない筈・・・と思ったら例外もあった・・・),多分千秋くんがもじゃもじゃに指示して追加したのでしょう。
その辺に詳しく触れたライナーノートも秀逸と言って良いと思います。
急いでポケットスコア取り出して確かめたところ,A-A-A-D-B♭-E♭-B♭-C-Cと低音部(コントラバスと3番トロンボーン)と同じ動きをしているので,5つの音+G(原曲通り)を使うので,AとB♭,DとE♭を同じ釜で打ち咄嗟にペダルで音を換えるというウルトラCをやったか,初めから釜を6台用意したかのいずれかでしょう。
この部分にティンパニを追加したのは,私の聴いた限りですとトスカニーニ~NBC響,クレンペラー~フィルハーモニア管,バーンスタイン~ニューヨーク・フィル,ミュンシュ~パリ管,小澤征爾~ボストン響,ヨッフム~ロンドンフィル等ですが,それぞれ入る場所や奏法も異なっており,指揮者や奏者の独自の解釈によるものと思われます。


・・・といった訳で,聴き所の多い興味深い演奏でしたが,ただしこれを古今の名演奏と一緒にするには・・・とついつい余計なことを思ってしまいました。
個々の奏者のマニュアルに部分での演奏は遜色ないのですが,マッシブな響きという点では問題が残ります。
アインザッツが若干甘く,音の輪郭が丸くなりがちでシャープな切れ味に欠け(ブラームスだから良いじゃないか,と言われそうですが,ウィーンフィルの演奏を聴くと違いが分かります),弦楽合奏は厚みに欠けます。
ブラームスの生命線とも言うべきヴィオラとホルンも厚みや強奏での歪みという点で?でした。
個人的にブラームスの演奏に関しては,かなりの拘りがあり,古今の名演奏についつい比較してしまうという悪い癖があるのですが,30年間聴き漁った中では,古いところではsostenutoのテンポ感と圧倒的な迫力の上記トスカニーニ~NBC響とベイヌム~アムステルダム・コンセルトヘボウ管(58年のステレオ録音ではなく,51年のモノラルのロンドン盤),ステレオ時代だと重厚でいながら濃やかな浪漫が燃えさかるようなベーム~ベルリンフィル盤と憑かれたようにノリまくる上記ミュンシュ~パリ管,ウィーンフィルを振った演奏だと70~80年代に録音されたアバド,ケルテスメータバーンスタインといった名演が思い浮かびますが,それらと比較してしまうのは野暮だということでしょう。


それよりも,企画の面白さ・秀逸さを評価すべきだし,それを楽しむべきなのでしょう。
こうした遊び心は大いに結構。
一過性のものにならず,『のだめ効果』が今後も続いて欲しいものです。
(どうもこの手のエントリはついつい長くなってしまいます。猛省・・・)


のだめカンタービレ#11最終回

2006年12月26日 23時59分59秒 | のだめカンタービレ

間もなく30年がたとうしています。
初めて聴いたベートーヴェンの第7シンフォニー。
「舞踏の聖化」とか「バッカスの響演」と先人たちが讃えた偉大なるシンフォニーです。
R☆Sオケのメンバーが千秋を囲み,おっしゃあ・・・という気分になった様子が描かれていましたが,オケをかじった者から言わせていただければ,Trbセクション,Tub及び私のような太鼓打ちからしてみれば,残念無念な曲となります。
黒木が吹くモーツァルトのOb協奏曲でプルトの関係で峰が出番を失うエピソードがありましたが,管打楽器奏者にとっては古典派の楽曲は死活問題です・・・。


滅多に聴くことのないベトベンの交響曲ですが,第7だけは例外で,上記の30年前から折に触れ,落ち込んだとき精神力を鼓舞する意味でも聴いてきました。
序奏からインテンポでしたね。
千秋とR☆オケ。
序奏は良いとして,6/8の主部の扱いはちょっと生ぬるかったでしょうか・・・。
もっと聴いていたかったような気もします。


第7はともかく,「カルメン幻想曲」の独奏Vn,誰が弾いていたのか分かりませんが,下手すぎやしないでしょうか。
となりでビデオ見ていた相方が
「下手じゃないの??・・・」
と言っておりました・・、。 


新曲は以下の通り。
笑ったのは裏軒のメニューです。
三木清良真っ赤なチャーハンに「峰親子丼」。
のだめ実家にあった柿の種チョコ(浪花屋)には爆笑でした。


 組曲第三番~アリア(J・S・バッハ)
 「ラプソディ・イン・ブルー」~中間部(ガーシュウィン)
 ピアノソナタk番号忘れ~第一楽章(モーツァルト)
 スラブ舞曲第10番~中間部(ドヴォルザーク)
 嬉遊曲k.136~第一楽章(モーツァルト)
 カルメン幻想曲(サラサーテ)


・・・ということで,久々に全話見た月9でした。
雪の降らぬ聖夜でしたが,取り敢えずHappy Endにほっと一息,ということでしょうか・・・。
突っ込みどころは山のようにありますが,まずは楽しませていただいたので○かと・・・。
原作でも,面白かったのはR☆Sオケ絡みの場面まででしたし,コンセルヴァトワール
編は原作でも今ふたつと感じますので・・・。


のだめカンタービレ#10

2006年12月19日 22時28分50秒 | のだめカンタービレ

使用される楽曲は古今の名曲ばかりであり,その価値を云々するつもりは全くないのですが,それらが視覚効果とシンクロした時は絶大な効果を上げます。
名曲と呼ばれる映画音楽の数々がそうであるとともに,やはり優れた古今の名曲も視覚効果を伴うと視聴者により鮮明な印象をもたらします。
今回劇中で流れた組曲「惑星」~「木星」中間部(ホルスト)や交響曲第4番「イタリア」~第一楽章(メンデルスゾーン)なんかはその最たる例で,実に効果的な使われ方をしていたと思います。
音楽担当者のセンスが大いにものを言っていると感じました。


「ペトルーシュカ」からの三章を一度聴いただけで譜読みして演奏するというのは,現実にはほぼ不可能でしょう。
原作では,電車(西武だった)の中で着メロを聴いて「今日の料理」がこびりつくエピソードは無かったように記憶していますが,あとは原作通りでした。
「今日の料理」と「ペトルーシュカ」のロシア舞曲は似ているかどうか,ちょっと無理があるような気がしますが・・・。


新曲は以下の通り。
二次予選を通った際に流れたモーツァルト(協奏的ソナタ形式だった)と,カイ・ドゥーンとの会話の際に流れた英国風の音楽(ヴォーン・ウィリアムスか?)が分からず,おのれの不明を恥じました・・・。


 アランフェス協奏曲~第二楽章(ロドリーゴ)
 ピアノソナタ第2番~第一楽章(シューマン)
 交響詩「禿げ山の一夜」(ムソルグスキー~R・コルサコフ編曲)
 「ペトルーシュカ」からの三章~第一曲「ロシア舞曲」他(ストラヴィンスキー)
 NHK「今日の料理」のテーマ
 パガニーニの主題による変奏曲~テーマ,第一変奏他(ブラームス)


次回はいよいよ最終回です。
千秋はのだめの実家の大川に行くようですね。
R☆Sオケの曲目は,カルメン幻想曲(サラサーテ)とベト7+「ティル」でしょうか。
サラサーテのソロは勿論清良でしょう。
おかまのもじゃもじゃが千秋を狙うモーホー高橋にごみバケツをかぶせたのは原作通りでしたが,爆笑してしまいました・・・。


のだめカンタービレ#9

2006年12月12日 21時42分31秒 | のだめカンタービレ

今回はかなりのオリジナルストーリーでしたね。
千秋と峰のフライトは爆笑ものでした。
お二人いらしたスッチーのおねいさんに萌え(をい),蟹を食うのだめをうらやみました。
再演がサントリーホールというのもオリジナルですし,入団希望者が開演前に押し寄せるのも原作とは違います。
で,清良の師匠であるカイ・ドゥーンがR☆Sオケに現れる替わりに突如としてエロ巨匠が現れたのは参りました。
相変わらず薄汚さ満点(失礼)ですね。


のだめはやはりハリセンと特訓でしたね。
ここでは,私が器楽曲系に弱いことを露呈しました。
下に記した曲以外にも何か有ったような気がしますが・・・。
あと,「クラシックライフ」編集室の場面で流れたのはハイドンの交響曲だったでしょうか・・・。
考えてみたら,バロックも古典も弱い・・・。


ハリセン夫人が私のお気に入りの白石美帆嬢(サッカーのおねいさん,或いは陣釜さん)だったのには参りました。
今回限りの友情出演でしょうが・・・。
キャラ的には合っていましたが,ハリセンにはつり合わんぞ・・・。
で,「ホットマン2」といい「電車男」といい「昔はみんな子供だった」といい「スウィングガールズ」といい変な役ばっか・・・。


初登場は以下の通りですが,取りこぼしが多いでしょう・・・。


トッカータとフーガニ短調(J.S.バッハ)
バレエ「胡桃割り人形」~トレパーク:ロシアの踊り(チャイコフスキー)
ピアノソナタ第16番イ短調~第一楽章(シュベルト)
愛の喜び(クライスラー)
ワルツ集より第15曲変イ長調(ブラームス)
練習曲集より第4曲(ショパン)
和声とインベンションの試み「四季」より冬(ヴィヴァルディ)
喜びの島(ドビュッシー)


「喜びの島」-個人的には大のお気に入りです。
あの独特の和声を聴くとぞくぞくします・・・。


来週はいよいよサントリーホールでしょうか。
曲目はサン-サーンスのチェロ協奏曲と「ティルオイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」,そしてベトベンの第7でしょうか。
のだめは三次予選でモーツァルトのk310のソナタと「ペトルーシュカ」からの三章を弾くのでしょうか・・・。
そして再来週が最終回ということで,大団円は・・・。


のだめカンタービレ#8

2006年12月05日 20時50分37秒 | のだめカンタービレ

過去の月9で,こんなにはまって見た番組があったかどうか・・・。
毎週録画して子どもを寝かせてから見るのですが,CM飛ばしで見ていることを差し引いてもあっという間に時間が過ぎてゆきます。
夏に原作を熟読してから見ているので,粗筋は勿論台詞の数々も頭に入っているのですが,それにもかかわらず映像として見ていて実に面白いことこの上有りません。


R☆Sオケの初公演で,グッズを売っていたりオープニングのマンフレッド序曲(シューマン)がカットされていたり(個人的にバイロン系の音楽は濃くて熱いので好みなんですが・・・「イタリアのハロルド」とか・・・),木村が峰と絡まず沙悟浄と呼ばれていなかったり・・・と原作との相違も散見されますが,全く問題になりませんでした。


千秋があっさりのだめに催眠術かけられたのも原作通りだし,押コンで2位に終わった清良と峰があっさりデキてしまったのも同様。
それにしても峰くん,おねいさんと一戦交えた後一人で寝てしまってはいけませぬ・・・(をい・・・)。


黒木の演奏シーン,うまく撮っていますね。
本当に吹いているのか,と思ってしまいました(役者としては大根でしたが)。
ブラームスの第一は,清良による第二楽章のソロがカットされてしまいました。
あれだけ
「間違えたらどうしよう」
と引っ張っておきながら,肝心のソロがカットとは・・・。
個人的には若い頃(というか10代半ば)から思い入れの少なくない曲ですので,sostenutoの序奏で,せめて原作の演奏場面にあった
「情熱と絶望」
「対位する二つの旋律-そして,ブラームスの心の傷」
といったフレーズを語らせるか,せめて
「強靱な鋼のような構成力に秘められたブラームスの情熱と憧憬」
ぐらいのことは千秋に言ってもらいたかったです・・・(私も「佐久間さん」並か・・・)。


ブラームスはフェミオラを多用するし,小節の頭をわざとずらすようなフレージングをするので棒を振ることは極めて難しい筈です。
あの指揮で一曲通すのは実に大変だったことでしょう。
・・・にしても,せめて終楽章のホルン~フルートの独奏と続く金管のコラール,そして「歓喜の歌」ぐらいは聴かせて欲しかったです。


新曲は以下の通り。
のだめが黒木に会い,鰻の特売に「スーパーひとしくん」(笑)へ走るくだりで流れた曲を度忘れしたままです・・・。
あとは,先週初めて出てきた「カレリア組曲」の終曲を改めて聴くと,何て良い曲なんだろう・・・とつくづく思います(シベリウスの第一交響曲の後のアンコールとして演奏したことがあります)。


  「水上の音楽」~ア・ラ・ホーンパイプ(ヘンデル)
  「タイス」の瞑想曲(マスネ)
 アランフェス協奏曲~第二楽章(ロドリーゴ)
 ハンガリー舞曲第5番(ブラームス)
 交響曲第1番~終楽章後半(同)
 展覧会の絵~バーバ・ヤーガの小屋(ムソルグスキー~ラヴェル)
 ボレロ(ラヴェル)
 弦楽のためのエッセイ~アダージョ(バーバー)


来週はいよいよ千秋が飛行機恐怖症を治すために北海道へ行くエピソードのようです。
お相伴させられるのは従兄弟の俊彦(出てない)ではなく峰のようです。
のだめはハリセンと特訓なのでしょうね。
「ペトルーシュカ」からの三章をNHKの「今日の料理」のテーマのように弾くかどうか楽しみではありますが・・・。


のだめカンタービレ#7

2006年11月28日 21時01分43秒 | のだめカンタービレ

今回は新曲ラッシュでしたね。
ハリセンが登場する度に流れた「フィンランディア」冒頭に吹き出しっぱなしでした。
あとは,毎度毎度ちゃちな胴体着陸シーンで流れるヴェルディのレクイエム~ディエス・イレ(怒りの日)には,不謹慎ながら笑ってしまいます(私の着メロだったりする)。
のだめが街を徘徊する場面も爆笑。
あのおねいさんは完全にのだめと一体化しています・・・。
筋書きが分かっているにもかかわらずあれだけ楽しめるのですから大したものと思います。


R☆Sオケが始動しても峰と沙悟浄の絡みは有りませんでしたね。
その代わり,峰と清良の絡みは爆笑ものでした。
多分来週は,押売コンクールのエピソードでしょうが,どつき漫才のような峰と清良がどうやってデキてしまうのか見ものです。


原作通り,R☆Sオケの曲はモーツァルトのオーボエ協奏曲とブラームスの第一でした。
来週後半が本番でしょうが,オープニングにマンフレッド序曲(シューマン)は演奏されるのでしょうか。
とにかくあまりに個性的な各キャラクターが見事に立っているので見栄えがします。
またまた来週が楽しみに・・・。


しかし,毎度毎度気になりますが,玉木くんの指揮,何とかならんものでしょうか(偉そーに)。
ブラームスの第一冒頭の6/8拍子を初っぱなから打点を外してはいけません・・・。


以下が初登場曲です。

 交響詩「フィンランディア」冒頭(シベリウス)
 幻想即興曲(ショパン)
 「カレリア組曲」~第三曲「行進曲風に」(シベリウス)
 focked on カンカン~「天国と地獄」序曲(オッフェンバック)-「雷鳴と電光(稲妻)」 
 (J.シュトラウスII)
 練習曲集~別れの曲(ショパン)
 オーボエ協奏曲~第一楽章(モーツァルト)
 組曲「ハーリ・ヤノーシュ」~ウィーンの音楽時計(コダーイ)
 「メリーさんの羊」(アメリカ民謡)
 ヴァイオリン協奏曲~第一楽章冒頭のソロ(メンデルスゾーン)
 ラプソディ・イン・ブルー~コーダ直前(ガーシュウィン)
 「オラトリオ『ソロモン』」より「シバの女王の入城」(ヘンデル)
 「マタイ受難曲」より「涙ながらにひざまずき」(J.S.バッハ)
  前奏曲集~亜麻色の髪の乙女(ドビュッシー)
 スラブ舞曲集~第10番(ドヴォルザーク)
 交響曲第一番ハ短調~第一楽章序奏(ブラームス)
 組曲「惑星」~木星中間部(ホルスト)
 ヴォカリーズ(管弦楽版:ラフマニノフ)
 交響曲第25番~第一楽章冒頭(モーツァルト)
 小フーガト短調冒頭(J.S.バッハ)


のだめカンタービレ#6

2006年11月21日 22時21分11秒 | のだめカンタービレ

原作通りにのだめが千秋を連れて行った回転寿司が『平禄寿司』(昔は『元禄寿司』だった・・・)だったことにぶったまげ(いつ東京にできたのだろう・・・),Sオケの解散コンパが行われた居酒屋(原作では『うつぼ八』・・・笑)の焼酎のメニューが「甘美な関係」とか「腹中の謀」と書かれていたことに吹き出し,双子のおねいさん(Fl&Cl)に萌え(をい・・・)ているうちにあっという間に時間が過ぎていきました。


さすがに卒業演奏会でもじゃもじゃが千秋の伴奏でジョリベのコンチェルトを演奏するくだりはカットでしたが,「太鼓の達人」を見て千秋がもじゃもじゃにR☆Sオケ(峰父子による命名は来週ですが)へのオファーを出すのはかなりの無理があります。
(因みに,私は「太鼓の達人」のクラシック系とアニメ系は即クリアでしたが,POPS系は未だに・・・の曲があったりします・・・。尤もタンとタでかかれるより音符の方が有難いのですが・・・)


黒木(Ob)と菊池(Vc)はともかく木村(Vn)は原作そっくりでしたね。
あれはまさに沙悟浄です。
多分峰との絡みは来週なのでしょう。


今回も新曲が多かったです。

分かったのは以下の通り。


 ヴァイオリンソナタ第5番「春」~第4楽章(ベトベン)
 歌劇『リゴレット』~女心の歌(ヴェルディ)
 チェロ協奏曲第1番~第1楽章(サン=サーンス)
 歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』~ドラベッラのアリア(モーツァルト)
 和声とインヴェンションの試み『四季』より春(ヴィバルディ)
 楽劇『ニュルンベルグの名歌手』~第一幕への前奏曲(ワーグナー)
 管弦楽組曲第2番よりバディネリ(J.S.バッハ)
 バレエ『白鳥の湖』~情景(チャイコフスキー)
 ピアノ協奏曲第5番『皇帝』~第1楽章(ベトベン)


R☆Sオケの初演奏,曲はブラームスの第1なんでしょうか・・・。
来週も楽しみです。

 

PS:ドヴォルザークの『チェコ組曲』のCDが欲しいです。
    セヴァスティアーノ・ヴィエラことズデニェック・マーカルの演奏を探したのですが     ・・・。
    ラファエル・クーベリック(1914-96)が録音を残さなかったことが残念です・・・。


のだめカンタービレ#5

2006年11月14日 21時26分47秒 | のだめカンタービレ

いやー,遂にマングースの登場と相成りました。
原作のイメージ通りだったし,ハブを練習室前に落っことして逃げたところで思わず笑ってしまいました。
Sオケの演奏場面,相変わらず無茶苦茶なことやってましたが,ちょっと今回はエグかったような気がします。
鍵盤ハーモニカ(正式名称。ピ○ニカはY△M△H△,メロディ◇ンはSU▽UKIの商標)で「ラプソディ・イン・ブルー」の冒頭を吹いた方はさぞ大変だったことでしょう(クラリネットとの掛け合いになっていましたが)。


Aオケ(母体は東京都交響楽団なのでしょうか・・・??)の演奏するラフマニノフは,弦のプルとが少なく,いまいち響きに厚みがない気がしましたが熱演でした。
終曲のコーダ以降,録音のバランスのせいか打楽器が全く聞こえなくなったような感じがしたのは気のせいだったのでしょうか・・・。
定位置に二人いたようでしたが・・・。
いずれにしても演奏場面が短く,もっともっと聴いていたいと思いました。


新曲は以下の8曲。
衝撃的な場面で,マーラーの第1交響曲の終曲冒頭が流れたのはお笑いでした。
憂鬱な場面で流れるブラームスの第3の第3楽章も秀逸でした・・・。


 組曲「ペレアスとメリザンド」~シシリエンヌ(フォーレ)
 交響曲第1番ニ長調「巨人」~第4楽章冒頭,コーダ(マーラー)
 交響曲第3番へ長調~第3楽章(ブラームス)
 歌劇「タンホイザー」~序曲(巡礼の合唱:ワーグナー)
 行進曲「雷神」(スーザ)
 パガニーニによる超絶技巧練習曲集~第3曲「ラ・カンパネルラ」(リスト)
 ピアノ協奏曲第2番ハ短調~第1楽章,第3楽章コーダ(ラフマニノフ)
 ラデツキー行進曲(J・シュトラウスI世)


のだめカンタービレ#4

2006年11月07日 21時09分56秒 | のだめカンタービレ

例によって録画して,子どもを寝かしつけてから見ました。


1812年,ナポレオンのロシア遠征失敗とヴィットリアの会戦におけるウェリントン将軍による敗北を背景にベートーヴェンは三曲の交響曲を一気呵成に書き上げます。
即ち,戦争交響曲「ヴィットリアの会戦とウェリントンの勝利」作品91,交響曲第7番イ長調作品92,同じく第8番ヘ長調作品93ですが,規模と完成度からいってもやはり第7交響曲が群を抜いていると言って良いでしょう。
今回のメインは,Sオケがこの第7交響曲を演奏して大成功するくだりと,「こたつ事件」がメインとなります。


どの楽章もリズムが一貫していて,強靱な印象を与える交響曲ですが,初演当時
「酔いどれが作曲したような曲」
という批判に対して,ベートーヴェンは
「俺は酒を造る酒神バッカスだ」
と豪語したというエピソードが伝わっていますが,後年の作曲家ウェーバーやベルリオーズはこの曲を「バッカスの饗宴」とか「舞踏の聖化」と称したと言われています。
構成感のかっちりとした曲作りをするベートーヴェンらしさと,酩酊したようにブレイクした部分が混在する名曲で,まさに「のだめ」のOPに相応しい曲と言えるでしょう。


しかし,峰とかのだめとかが実際に演奏しているように,実にうまく撮影されていますね。
ただ,例によって突っ込んでみますと,弦楽器の"ジミヘン弾き(峰談)"はともかく(本当にどこがジミヘンなんだ・・)はともかく,終曲でチェロが楽器を回すのは,あのパッセージでは不可能です。
以前ニューヨーク・フィルが,休符の際にコントラバスを回したのを見たことがありますが,演奏中は無理です。
あと,管楽器のベルアップ奏法は唾が逆流して気持ち悪くなります。
あと,やはり玉木宏と竹中直人の指揮はどうしても変ですね。
もう少し,レッスンが必要だったかもしれません(偉そーに・・・)
そうそう,もじゃもじゃが使っていた撥ですが,プロや音大生は間違っても使いません。
楽器のおまけで,まったく使い物にならない代物です・・・。


ただ,今回は嬉しいことに前回よりも新登場の曲が増えました。


 「アルルの女」第2組曲~メヌエット,ファランドール(ビゼー)
 交響曲第9番ホ短調「新世界より」~第2楽章Largo(ドヴォルザーク)
 ピアノソナタ第15番~第1楽章(モーツァルト)
 きらきら星の主題による変奏曲(モーツァルト)
 アイネ・クライネ・ナハトムジーク~第1楽章(モーツァルト)
 「美しきロスマリン」(クライスラー)
 バレエ「ガイーヌ(ガヤネー)」~剣の舞(ハチャトゥリアン)
 動物の謝肉祭~水族館(サン=サーンス)
 ブランデンブルグ協奏曲第3番ト長調より(J.S.バッハ)


といった感じです。
しかし,音楽プロデューサーのセンス満点ですね。
こたつでダラックマになるところで「新世界」のLargoとは参りました。
あっという間に40数分が過ぎ,もっと見ていたいという気にさせられる数少ない番組です・・・。


のだめカンタービレ#3

2006年11月01日 21時12分39秒 | のだめカンタービレ

楽器を一つ演奏できるようになるには大変な努力と時間が必要になるわけですが,指揮に関しては棒を振るだけなら楽器よりも簡単,とよく言われます。
しかし,そう簡単にはできないことを,竹中直人,玉木宏両俳優の指揮を見てそう思いました。
器用に何でもこなす俳優さんたちでも,指揮は簡単にはいかないものであることを知ると共に,改めて指揮することの難しさを感じました。


原作でもそうでしたが,指揮者がオケ団員に出す指示に関しては,実際とはかなりかけ離れたものであったことを今回も述べておきましょう。
全体練習や通し練習で棒を止めるのはよくよくの時ですし,個々の奏者がある程度仕上がっていないと,合奏しませんし・・・。
あとは,原作にもあったオーボエとクラリネットが楽譜を入れ替える場面ですが,第7を知っている者なら千秋ならずとも簡単に気付きます。
それにオーボエはハ調(C管)で,クラリネットはイ調(A管)の楽器ですから,咄嗟に入れ替わって移調して吹くのはほぼ不可能でしょう。
やれないことはないでしょうが,それだけの技術を持っているなら指揮者から注文付けられる筈ありません。


・・・と,今回も突っ込んでしまいましたが,笑いまくりでした。
やはり,のだめには,あのおねいさんしか合いませんね・・・。
新登場の曲は,以下の三曲しか聴き取れませんでした。
どうも,器楽系と声楽・オペラ系が極めて弱いようです・・・。


 フルートとハープのための協奏曲~第1楽章(ヘンデル)
 ヴァイオリン協奏曲第1番~第1楽章(モーツァルト)
 交響曲第3番「英雄」~第4楽章(ベトベン)


深刻な場面でバレエ「ロメオとジュリエット」冒頭の「キャピュレット家とモンターギュ家」が流れるのは毎度大笑いです。
「エロイカ」の終曲が流れたのは次回への複線だったのでしょうか・・・。
次回は何曲流れるか楽しみです。


のだめカンタービレ#2

2006年10月24日 21時03分19秒 | のだめカンタービレ

録画して子どもを寝かしつけてから見ましたが,いやーやはり面白いです,これ。
テンポ感が絶妙なので飽きさせないし,諸処に散りばめられた笑いも◎。
何よりも個性的な各キャラが過不足なく立っているので,ついつい引き込まれてしまいました。
原作通りとはいえ,のだめが石に激突するシーンや,峰とのだめがもじゃもじゃに水かけられてたらいまで落ちてくるシーン(原作ではたしかのだめに当たった?),そして峰とのだめがもじゃもじゃを確保する場面では,のだめのまぶたに描きこまれた瞳に大うけしてしまいました(原作にはない)。


今回は,前回以上に名曲の山でした。


 交響曲第8番「千人の交響曲」~第1楽章「来たれ,創造主たる聖霊よ」(マーラー) *
 バレエ「ロメオとジュリエット」~キャピュレット家とモンターギュ家(プロコフィエフ)
 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」(R・シュトラウス)*
 ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」~第1楽章(ベートーヴェン)*
 交響曲第7番イ長調~第1楽章(ベートーヴェン)
 愛の悲しみ(クライスラー)*
 アメリカン・パトロール(ミーチャム)*
 チェコ組曲~ポルカ(ドヴォルザーク)
 「ピカデリー」(サティ)*
 組曲「サルタン皇帝の物語」~熊蜂の飛行(リムスキー=コルサコフ)
 二つのアラベスク~第1番(ドビュッシー)*
 弦楽セレナーデ~第2楽章ワルツ(チャイコフスキー)
 交響曲第9番ニ短調「合唱付き」~第1楽章(ベートーヴェン)
 ワルツ集~第9番 変イ長調 Op.69-1 「別れのワルツ」(ショパン)*
 チャルダーシュ(モンティ)*
 ラプソディ・イン・ブルー(ガーシュウィン)
 歌劇 『魔笛』 K.620より 『恋人か女房か』(モーツァルト)* 
 「レクイエム」~第二曲「ディエス・イレ(怒りの日)」(ヴェルディ)
 歌劇「ドン・ジョバンニ」より,「おまえが食事に招いてくれたので~地獄落ち」(モーツァルト)*
 歌劇「フィガロの結婚」序曲(モーツァルト)*                       *は初登場曲


また,追補していただけるとありがたいです・・・。


来週はいよいよSオケが始動し,エロ巨匠のセクハラ全開となるようです。
しんどい月曜日に楽しみが一つ増え,何とも喜ばしい限りで・・・。


のだめカンタービレ:TV版

2006年10月17日 22時11分25秒 | のだめカンタービレ

コミック原作の実写,というと,TVドラマの場合近年では,「ブラックジャックによろしく」,「ごくせん」,「Drコトー診療所」,「ホットマン」,「H2」等結構な数が挙げられますが,それらにはある種のリスクが伴うと思います。
つまり,如何に原作のテイストを損なわずに・・・という点ですが,そうした点で久々のヒットというか,希有な成功例として,そして久々の月9のヒットと思われる作品にであうことが出来て,嬉しく思いました。


まず登場人物。
原作に腹を抱えて笑い,8月来読み込んできた(しかも前日には最新の16巻も買ってしまった)私としては,さすが原作者が太鼓判を押した人選,と思いました。
のだめ役の上野樹里嬢。
もう,のだめは彼女以外考えられませんね。
ふにゃふにゃした喋り方やぶち切れて演奏するときの表情,奇声を発してのけぞって吹っ飛ぶ際の表情なんか,まさにはまり役でした。
お相手の千秋役の玉木宏(19歳のおねいさんと付き合っているらしい・・・)は,ちょっと今風過ぎるかと思いましたが,結構様になっていました(ちらりと「プレリュード」で見た指揮姿はいただけなかった・・・)。
私の好きな峰役の瑛太やもじゃもじゃ役の小出恵介も様になっていましたし,峰の父親役の伊武雅刀はこうした変な役をやらせたらピカイチでした。
唯一,私の懸念通りエロ巨匠シュトレーゼマン役の竹中直人だけが違和感ありありでしたが・・・。


いずれにしても,原作のテイストを損なわずに実写ならではの配役の妙もあって楽しめました。
来週以降が楽しみです。
原作は今も連載中ですので,TV版がどのようなエンディングになるか期待が大です。
私の予想では,


1.千秋とのだめが協奏曲で競演
2.千秋がSオケ指揮デビュー,のだめが初リサイタル
3.千秋がAオケを振るシュトレーゼマンとラフマニノフの第2P協で競演
4.千秋がフランスのコンペティションへ,のだめはパリ音楽院(コンセルヴァトワール)留学
5.年末だから千秋が第9を振って盛大に終了


あたりでしょうか・・・。


因みに,昨日の放送では結構な数の名曲が使用されていました。
冒頭のプラハ王宮とブルダヴァ(モルダウ)川,カレル橋の場面で流れた曲のみが不覚にも分かりませんでした。
どう見ても,あの激しいフリアント風のスケルツォ楽章はドヴォルザークの交響曲,と踏んだのですが,有名な第6~第9ではないし,夜中に交響曲全集引っ張り出して聴いてみてもそれとおぼしき曲を発見できませんでした・・・(泣)。
スメタナの「わが祖国」でもないし,チェコだとスークかマルティヌーの交響曲あたりでしょうか・・・。
ヨーロッパの町並みとオーバーラップさせる演出は,同じ CX系のF1中継を思わせるものもあり,興味深かったです。
でもって,昨日私が聴き取った名曲は以下の通りです。
もしかすると漏れている曲も有るかもしれません・・・。


 交響曲第4番「イタリア」~第1楽章(メンデルスゾーン)
 組曲「サルタン皇帝の物語」~熊蜂の飛行(リムスキー=コルサコフ)
 バレエ「胡桃割り人形」~葦笛の踊り,花のワルツ(チャイコフスキー)
 バレエ「ロメオとジュリエット」~キャピュレット家とモンターギュ家(プロコフィエフ)
 二台のピアノのためのソナタ~第1楽章(モーツァルト)
 交響曲第7番~第1・第4楽章(ベートーヴェン:OP)
 ピアノソナタ第8番「悲愴」~第2楽章(ベートーヴェン)
 「レクイエム」~第二曲「ディエス・イレ(怒りの日)」(ヴェルディ)
 交響曲第9番「合唱付き」~第1・第2楽章
 弦楽セレナーデ~第2楽章ワルツ(チャイコフスキー)
 ラプソディ・イン・ブルー(ガーシュウィン:ED)
 歌劇「フィガロの結婚」~恋とはどんなものかしら(モーツァルト)
 歌劇「魔笛」~夜の女王のアリア「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」(モーツァルト)


次回の選曲も楽しみです・・・。