有機化学にっき

気になった有機化学の論文や記事を紹介。

有沢製作所・生化学工業

2006-02-18 17:13:25 | 記事
Forbes 日本版3月号より
アジアのベスト・スモール・カンパニー200に選ばれた
日本の中小企業38社の底力


有沢製作所


ガラス繊維が発祥、携帯向けのプリント基板向けの電子材料、リアプロむけのレンズなど光学ディスプレー材料が主力
「織る、塗る、形作る」というコンセプトで多くの製品群を展開。
有沢三治社長「当社はニッチ商品のメーカー。新製品を次々と出していかなければ衰退するリスクが高くなります。当社では3年以内に市場に出した製品を新製品と定義しているのですが、売り上げの50%以上を新製品で賄える体制を維持しています。」
有沢社長は同社の強みについて、開口一番「新潟県に本社をおいていること。東京においているより人材面で有利。約1000人の社員の大半は新潟県出身者が占めています。新潟人の気質は辛抱強く、辞める人も少ない。」「企業はまさしく『人』です。会社は法人というように『人』であって、生き物です。生き物には寿命がありますが、会社は働く人間が入れ替わり、次の世代にバトンタッチすることで脈々と行き続けることができるのです」

実際新潟出身の後輩を知っているのですが、優秀だし、理不尽なできごとに対する耐性は二人とも強い気がします。逆にダメだと思うのは○○県。自分の知ってる範囲で100%で向上心がない。自分は~だからとかネガティブな発現が多く、失敗を期待しているような感じで運を吸い取られる気がしますな。
主力の製品が原料高騰と販売価格競争で経常利益が5割減くらいのようですが、新製品の芽(3D液晶テレビ)もあるようで応援したくなります。

生化学工業


複合糖質を活用したユニークな医薬品。アルツ、オペガンのヒアルロン酸製剤を主力に研究開発中心。
独創・公正・夢と情熱が経営理念
先代社長からの、複合糖質に関する研究を活かした医薬品を作りたいという夢を実現。水谷健社長は「再度、成長段階に入ると確信しています」と市場拡大。無借金経営で新薬開発に注力。

社長の笑顔が良いです。教えてヒアルロン酸はへぇ~と思いました。

Organometallics ASAP

2006-02-18 09:12:02 | 新着論文
From Silaallene to Cyclotrisilanylidene

Si=Si=Si骨格の異性体の極限構造の理論計算。ケイ素原子のなす角度に着目して結合長やエネルギーを議論。結論は嵩高い置換基やπ電子受容体が置換するとアレン型、π電子供与体がつくとsilylene(カルベンのケイ素版)ができそうとのこと。

原子3つの組み合わせでも面白い化学種がつくれるものだなぁと改めて思ったり。計算の妥当性はよくわかりませんが、不安定な化学種を立体的に保護しないとだめでしょうから、アレン型から別の異性体を作るのは難しいというようにも読めました。解決するのにどういった置換基が設計されていくのか・・・面白いです。

JACS ASAP

2006-02-18 08:40:23 | 新着論文
Enantioselective Synthesis of Pentacycloanammoxic Acid

Pentacycloanammoxic Acid の不斉全合成。鍵は5つの連続したシクロブタン環の構築。シクロペンタノンのα位ジアゾ化を経た環縮小。シクロブテン部位とγーシリル置換αβ不飽和エノンとのジアステレオ選択的[2+2]cycloaddition。

Corey のグループ。JACS 2004, 126, 15664 で報告した全合成を改良。以前の報告ではbicyclo-[2,2,2]-dizaooctaneから光反応で連続したシクロブタン環を形成し、収率は6%だったのを、以前の最終段階で用いたWolff転移を繰り返すことで収率を上げました。その際問題となってくるregioの選択性に関して、ジアステレオ選択的cycloadditonを利用。選択性をだすためには-Si(Ph)Me2の嵩高さが良かったとのこと。収率良く連続したシクロブタン環を構築しています。

別途合成として3つの連続したシクロペンタノンをつなげたもので5,4,5,4,5の連続した環構造をつくって環縮小。生じる置換基に差をつけるため一方には初めから置換基を導入して・・・と考えましたが壊れそうです。連続反応でなんとか・・・と思うのですが、シクロブタンをつくってからの邪魔な官能基を削るのも難しい。天然物の立体を決定するという目的もあったのでしょうが、末端の官能基で立体を制御しながらステップワイズにシクロブタン環を構築していった理由がなんとなく見えました。
本文でも述べられていますが生合成経路は本当にミステリアス

書籍紹介

2006-02-18 08:23:38 | 書籍
読んで研究に役立つと思った本を紹介してます。

NicolaouのClassics、protective groups、Wileyの本やら人名反応などの有名どころというより必携の本は、amazonやらchem-stationさんのレビューにまかせて、化学と関係なく、応用できた本質として研究に役立った書籍を紹介していこうと思います。