[日本風力開発 決算の謎2010] 外部調査委員会調査報告書より

日本風力開発が有価証券報告書の提出遅れから監理銘柄になって約1ヶ月。
主な内容はこちらをご覧下さい。

日本風力開発の2010年3月期決算において、新日本監査法人は過年度決算の修正を主張。しかし、日本風力開発はこれを不服として、新日本監査法人を解任。有価証券報告書の提出が期限に間に合わなくなり、管理ポストへ移行された。

日本風力開発は、決算処理の適切性を検証するためとして外部調査委員会を設置。7/15に調査報告書が公表された。

外部調査委員会調査報告書受領ならびに過年度決算の訂正および平成22年3月期決算短信の訂正に関するお知らせ(pdf)
http://www.jwd.co.jp/pdf/news/100715gaibutyousaiinkaikekka.pdf


この報告書で明らかになった事実関係を箇条書きで。

平成21年3月期決算において計上された風車93基分の斡旋手数料については、メーカー側は買掛処理しておらず、手数料収入も得ていない。(この斡旋手数料約29億円は平成22年2月~3月にかけてメーカーから日本風力開発に支払われた)
前にも書いた通り、この風車は受注残になっており、21年3月期においてはゼネコン側も支払いを行っていないはず。21年3月期での手数料の計上はおかしな気もするが、法的に問題ないと結論。この風車分に関しては過年度決算の修正は行わない。

平成20年、21年3月期にゼネコンが購入した蓄電池67MWに関して、平成22年3月期に日本風力開発は50MWを買い戻しした。ゼネコンが蓄電池を購入する際に、日本風力開発は斡旋手数料を得ていたが、このうち、平成21年度3月期の30MW分の手数料収入(約3億円)については、過年度修正を行う。(平成21年3月期決算での売上高が約3億円減少する)
この蓄電池買い戻しに関しては、もし利用先がなければ日本風力開発が買い戻すという「覚書き」が交わされていたが、この「覚書き」は法的に有効ではなく、買い戻し自体も覚書きに沿ったものではないとされている。

通常風力発電工事に関しては、3社程度から相見積もりを取り、特段の事情がない限り最も低い見積価格を提示した建設会社に工事を発注している。(入札等は行われていない?)

ゼネコンが購入した蓄電池67MWのうち、55MWについては日本風力開発が買い戻ししたが、残り12MWについては、青森県六ヶ所村の吹越台地での使用され、蓄電池を購入したゼネコン丙社が工事を請け負うことが決まっている。(どのようにして施工会社が決定されたかは不明)
連結子会社の風力発電工事案件に専用的に使用する資材としての風力発電機等を販売斡旋する、いわゆる「ひも付き」とまでは断定できない。
(この辺り、報告書では回りくどく、分かりにくい文章になっています。間違いなどありましたらお知らせ下さい)


さて、報告書に書かれている事実関係は上記の通り。ここで注目なのは、覚書きの相手方のゼネコンが吹越台地風力発電所工事の施工会社となったとしている点。吹越台地風力発電所の工事は前田建設工業が受注しているようだ。

前田建設工業株式会社 第65期株主通信(pdf)
http://www.maeda.co.jp/ir/report/b_reports_pdf/ir65_kabutsu.pdf#page=7

前田建設工業は日本風力開発の大株主でもある。

日本風力開発 企業概要
http://www.jwd.co.jp/company/about.html

資本関係のある建設会社に風力発電所等の資材の購入を依頼し、メーカーから斡旋手数料を得る。さらに風力発電所建設工事をこの会社に発注し、資材を使用する。風力発電所工事には補助金が支給されているが、建設会社決定に際して入札は行われていない。
調査報告書では会計処理についてのみの言及だが、最も重要なのはこの補助金についてだろう。

建設会社に風車等の資材を斡旋し、斡旋手数料を得る。資材を購入した建設会社が風力発電所建設工事を受注する。補助金が交付されているのに入札も行われていない。これでは建設費の正当性が疑われる。
建設会社と風力発電事業者に癒着がなかったか。補助金は適正に受給されたのか。これは日本風力開発だけの問題ではないかもしれない。今後の日本の風力発電のためにも実体を明らかにして欲しい。


関連ページ
日本風力開発
http://www.jwd.co.jp/
前田建設工業
http://www.jwd.co.jp/

日本風力開発 決算の謎2010
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/04f65e34ca83bde201508849ebb4ae8a
日本風力開発 決算の謎
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/bf415f6e04949ff167f11ac6a5398f9f


2010年7月16日更新
現在発売中の週刊朝日7月23日号に「風力発電に夢をかけた男」としてエコパワー社創業者の小島剛氏の特集記事があります。日本で風力発電事業を初めて行った小島氏の栄枯衰退。大変面白い記事でした。興味のある方はぜひご覧になって下さい。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
絶妙のタイミングの日経新聞 (凍死家)
2010-07-23 02:18:52
この状況下絶妙のタイミングで、中国の新エネ65兆円記事、日本の固定価格買取制度の記事がでました。
これって凍死の観点でなにかありそうです
 
 
 
Re:絶妙のタイミングの日経新聞 (mizu)
2010-07-29 17:42:25
凍死家さん、こんにちは。コメントありがとうございます。

このニュースで日本風力開発の株も上がっていたのでしょうかね?
株のことは私はよく分かりません。
管理銘柄から除外されることが決まったようですが、このままで終わるとは思えないのですが。。。
 
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