SNSで著名人になりすまして投資を呼びかける偽広告の問題が深刻化している。米SNS大手メタが運営するフェイスブック(FB)やインスタグラムで数多く確認されており、無断で写真を使われた著名人らがメタ側に抗議。偽広告を信じたSNS利用者が、多額の金を詐取される被害も多発している。(
「投資を人に勧めたことは一度もないし、SNSもしていない。あり得ないことが起きている」。経済ジャーナリストの荻原博子さんは憤った。
なりすましの被害を受けた著名人は、実業家の前沢友作氏や堀江貴文氏ら多数に上る。両氏はメタに削除を要請したが、「違法広告ではない」「広告が多くて全てはできない」と回答されたという。生成AI(人工知能)で作成されたとみられる偽動画も出回っている。
メタの広告を巡っては、日本人向けの投資広告に中国本土で使われる「簡体字」が交じるケースも多数見つかっている。投資を呼びかける偽広告は中国や東南アジアからとみられるものが目立つ。「不自然なものを機械的に除外するだけで、一定程度の被害を防げるはずだ」と専門家は指摘する。
SNSの偽広告の問題を協議する自民党のワーキングチーム(WT)は19日に開いた会合で、メタに対し、一時的に広告の配信停止を検討するよう求めた。WT座長の平井卓也議員は「被害をなくす方法はメタ社が詐欺広告を載せないことだ。しばらくの間、広告を停止することも検討していただきたい」と語った。
この問題でメタは16日、「産業界、そして専門家や関連機関との連携による社会全体でのアプローチが重要だと考える」との声明を出した。しかし平井氏は、「当事者としての責任を感じているような文章では全くなかった。今日この時点でも驚くほどの詐欺広告があり、全然減っていない」と批判した。
会合に出席したメタのアジア太平洋地域の担当幹部は、詐欺の被害に言及し、「日本の皆様にご心配をおかけしていること、大変重く受け止めている」と述べた。