なかなか冷めない米国経済が世界金融市場を揺さぶっている。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「物価をとらえるのに時間がもっとかかりそうだ」というタカ派的(通貨緊縮選好)な立場に急旋回し米国の高金利長期化の可能性が大きくなったためだ。
パウエル議長は16日、米ワシントンDCで開かれたカナダ経済関連フォーラムで「最近の経済指標は(インフレが2%の目標に至っているということに)もっと大きな確信を与えられずにいる。そうした確信に至るまで期待よりもさらに長い時間がかかりそうだ」と話した。パウエル議長は「高いインフレが持続するならば現在の緊縮的な通貨政策水準を必要なだけ長く維持できる」ともした。当分は金利を現在の5.25~5.50%水準で維持するという意向を示した形だ。
パウエル議長のタカ派的発言の背景には、他の国と違い1人だけ熱い米国の経済状況がある。生産と消費、雇用など主要経済指標が相次ぎ見通しを上回り、今年初めには押さえられるように見えた物価を刺激する要素として作用しているからだ。これに対し国際通貨基金(IMF)が前日に今年の米国の経済成長見通しを2.7%に0.6ポイント引き上げた。
世界の金融市場は動揺している。主要6通貨に対するドルの価値を示すドル指数は106まで上がった。5カ月ぶりの高水準だ。