『名も無く豊かに元気で面白く』

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❝ダウ工業株30種平均続伸で過去最高値更新❞日本は富裕層の爆買い

2021-03-09 05:24:35 | 日記
米上院が1.9兆ドル規模の追加の経済対策を可決したのを受け、NYダウは景気敏感株に買いが入っている。ダウ工業株30種平均は続伸し過去最高値を上回っている。その要因は上院が6日に可決した法案は下院で再び審議され、今週中にも成立する見通しだからです。最大1400ドルの現金給付を含み、個人消費を押し上げる見込み。米国では新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでおり、経済が順調に正常化するとの期待も強い。
対する日本、ワクチン接種が一向に進んでいませんが、コロナ禍で隔世感がある富裕層の爆買いが続いています。その要因は金余りとビジネス環境の激変ストレスです。2020年12月時点日銀の保有する国債残高536兆円に達しており、ETF株式の残高も35兆円。
 日本のGDP(国内総生産)とほぼ同額のマネーが金融市場を席捲。余剰マネーが株式や一等地の不動産、暗号通貨などに殺到している。さらに2年前は大企業でも実施率がほぼゼロだったテレワークがコロナ危機をきっかけに一気に普及するなど、ビジネスのあり方が劇変している。10年かかる変化が2~3年で到来して、これまで銀座高級クラブを筆頭に飲食業界や旅行業界に落としていた富裕層マネーがコロナ疲れのはけ口として爆買いにむかっているようです。金の切れ目が縁の切れ目今までの人の流れが大きく変わりそうです。

以下抜粋コピー
株価は米国金利の上昇などもあって調整に転じているが、大幅な下落には至っていない。
 株価が上昇すると資産効果によって富裕層を中心に高額商品の消費が増えることは経験則的によく知られているが、今回もそのパターンが当てはまるようだ。
 日本百貨店協会によると2020年12月における飾品・貴金属の売上高は、他の商品が軒並み大幅なマイナスになっているにもかかわらず2%の増加となった。百貨店における宝飾品・貴金属の販売実績は富裕層の消費動向を示す有力な指標のひとつといわれており、大抵の場合、株価や不動産価格と連動して消費が増える。
 首都圏における新築マンションの平均販売価格も上昇しており、2020年はとうとう6000万円を突破した。コロナ危機で開発案件が減り、その分だけマンション供給も減ったが、高額物件を中心に消費者の購入意欲は強く、逆に価格が引き上げられている状況だ。
 一般的に海外旅行は、富裕層における高額消費の対象のひとつだが、今はコロナ危機で自由に海外に行くことができない。一方で、コロナの影響を受けなかった富裕層はフラストレーションがたまっており、別なところで消費欲を満たそうとする。同じタイミングで株価や不動産価格が上がっているため資産額が増えており、これが高額消費を拡大させる作用をもたらしている。
 コロナ危機で大変な思いをしている人からすると、納得できるものではないだろうが、今、起こっている出来事を冷静に分析するとこのような状況になる。
 では、コロナ危機で経済が大きな打撃を受けているにもかかわらず、なぜ株価や不動産価格だけが上昇しているのだろうか。そこには大きく分けて2つの要因がある。
ポストコロナ社会へのシフトが急加速
 1つは量的緩和策がもたらした「金余り」である。安倍政権が実施した量的緩和策によって、日本の金融市場には空前の規模のマネーが供給された。2020年12月時点において日銀が保有する国債残高は536兆円に達しており、購入した株式の残高も35兆円を超えている。
 日本のGDP(国内総生産)とほぼ同額のマネーを市場に供給すれば当然の結果として金余り現象が生じる。企業は経済の先行きを悲観視しているので、借入れを増やして設備投資を強化することはしない。結果として余剰マネーが株式や不動産に殺到している構図だ。
 量的緩和策の実施にあたっては、節度を持って進めないと金余りによって株価や不動産価格が高騰するといった弊害が生じるとの指摘が出ていた。だが当時の世論は「これしかない!」「思い切った決断を!」といった勇ましいものばかりであり、慎重な意見に対しては「日本をつぶす気か?」といった激しいバッシングが行われる始末だった。
 結果として慎重な意見は一切、顧みられることなく、量的緩和策が十分に効果を発揮していないことが明らかになってからも政府は撤退の決断ができなかった(主要国で量的緩和策から抜け出せなくなっているのは日本だけである)。
 しかしながら、金余りが株高の原因であれば単なるバブルであり、すぐにでも株価は暴落するだろう。だが、量的緩和策による余剰マネーだけが今の株高の原動力というわけではない。株価が上昇している2つめの理由は「ポストコロナ社会への期待感」である。
 近年、情報技術の高度な発達によってビジネスのデジタル化が進んでいる。近い将来、単純な事務作業や営業活動の多くは非対面あるいはシステムを使ったバーチャルなものに置き換わる可能性が高く、それに伴って企業の生産性向上が期待されている。また、自動車産業に代表されるように、EV(電気自動車)や自動運転システムの導入など、産業構造が根本的に変化する業界も少なくない。
 こうした産業構造の変化は10年単位で発生すると予想されていたが、これを大きく覆すきっかけとなったのがコロナ危機である。日本でも、実施率がほぼゼロだったテレワークがコロナ危機をきっかけに一気に普及するなど、ビジネスのあり方が劇変している。10年の変化が2~3年で到来する可能性が高くなっており、一連の変化を主導するIT企業を中心に投資マネーが殺到している状況だ。
格差対策は実は成長戦略でもある
 ビジネスのITシフトは余剰の労働力を生み出してしまうので、IT時代においては労働者の賃金には抑制の力学が働く。仮にワクチン接種が順調に進み、世界経済が正常化すれば、経済のデジタル化がさらに加速し、新技術に投資をしてリターンを得る投資家と、企業に雇われて給料を得る労働者の格差はさらに拡大していくだろう。
 さらに長期的な視点では、経済全体で労働分配率が大きく下がることも十分に考えられる。経済学的に見て、供給サイドの成長要因は、資本、労働、イノベーションの3つしかなく、この3つの比率の組み合わせで経済成長率が決まる。高度デジタル化社会においては、IT資本が増加し、それによってイノベーションが進むことで経済成長が実現するので、成長率に労働が占める割合は低下せざるを得ない。
 結果として労働の対価である賃金は下がり、資本の対価である利子や配当、キャピタルゲインが増えるので、資本分配率が上昇し、逆に労働分配率が低下する。つまり、高度デジタル化社会においては、圧倒的に資本を持つ側が有利になるという仕組みだ。
 経済的な格差が生じることの是非については様々な意見があるので、ここではあえて議論しない。だが、純粋に経済学的な議論にとどめた場合でも、格差拡大が構造的に発生する状況というのは、健全な成長を阻害する可能性がある。
 先ほどの成長メカニズムはあくまで供給サイドに立脚したものだが、IT資本の増強による成長を実現するためには、供給された財やサービスを消費してくれる需要が必要となる。今回の株高で富裕層の消費が増えたといっても、所詮、1人の人間が消費できる金額には限度がある。つまり富が一部の人に集中すると、中間層以下の消費が減り、持続的な成長を妨げる可能性があるのだ
 こうした事態を回避するためには、IT資本への投資から得られるリターンを何らかの形で中間層以下に還元する仕組みが必要となる。それが税の形を取るのか、資産運用支援になるのか、あるいは寄付などの社会貢献になるのかは分からないが、格差拡大がほぼ必然であるならば、何らかの対策が必要だろう。
 米国のバイデン政権は富裕税の創設を打ち出しており、税を使った所得再分配について検討を進めている。日本は特に下方向への格差拡大が激しく、貧困率は米国並みに高い。日本においても資本のリターンを困窮者などに再分配できる仕組みを検討する必要がある。これは格差是正という社会問題に見えるかもしれないが、実は持続的な成長を実現するための成長戦略でもある。
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