売り上げの大幅な減少で高い家賃が払えず、店舗を閉める店が続出しています。路面で1割、空中階で2~3割の物件が空き店舗になっているという情報もあります。政府が医療崩壊を食い止めるために人の動きや会合、ひいては経済を一時的に止めたおかげで、確実に不利益を受けているところがあるようです。バッハ会長が、東京五輪の参加者に中国製の新型コロナウイルスワクチンを提供すると表明し、政府にとって「寝耳に水」で、中国の「ワクチン外交」のしたたかさに圧倒され言葉をなくした。しかし、ワクチンに対して日本の動きがあまりにも遅すぎた。 政府が進めているワクチン接種が他の先進国に比べ遅すぎ、そのつけが東京五輪だけではなく商業ビルにも及んでいます。スピードを上げるため、希望早い人順に変更すべきでしょう。
以下抜粋コピー
東京や大阪をはじめとする大都市の都心部・駅前では、商業ビルの空き物件が増えている。
2020年4~5月と21年1~3月、2度にわたって発出された緊急事態宣言や営業時間短縮の要請により、店舗ビジネスの大半は業種を問わず大きな影響を受け、売り上げの大幅な減少に悩まされている。高い家賃が払えず、やむなく店舗を閉める店主が続出しているからだ。
「東京都心部繁華街の店舗は、ざっと路面で1割、空中階で2~3割の物件が空き店舗になっているのではないでしょうか」と、歌舞伎町商店街振興組合。東京の都心部はどこも厳しいが、特に高級な“夜の飲食店”が多い、銀座と赤坂の客足が良くない。
ファッションビルも苦戦している。銀座に16~17年に鳴り物入りで相次ぎオープンした、「GINZA SIX(ギンザ シックス)」や「東急プラザ銀座」は、インバウンド客の消失もあって大幅なリニューアル中だ。
ギンザ シックスは約240店あるテナントのうち、40店以上を入れ替えている真っ最中だ。東急プラザ銀座は現在6階の全テナントが撤退し、丸ごと空き物件になっている。
若者のファッションをリードしてきた丸井グループは、コロナ禍の中、20年5月に「京都マルイ」を閉店。21年3月に「静岡マルイ」、8月に「池袋マルイ」を相次いで閉店する。東急ハンズも主要な店では初めて、9月に池袋店の閉店を決めた。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、ステイホームが強く提唱された結果、飲食店ばかりでなく、洋服や化粧品の需要が激減。外国人観光客もしばらく来ない状況で、これ以上の自粛が続けば、テナントの撤退が相次ぎ、街の景観が一変しかねない。
●話題になった「GINZA SIX」の今
銀座は高級感あるファッション、飲食で日本のトレンドを牽引(けんいん)してきた。しかし、緊急事態の1カ月ほど前まで、昼の中央通りを歩いているのはインバウンドの来街者ばかりで、日本人をあまり見かけないほどであった。
インバウンド客がほぼ100%失われ、しかも緊急事態によって日本人の来街者も激減。銀座の多くの店舗は、極めて厳しい状況に置かれている。
ギンザ シックスは、伝統ある「銀座松坂屋」の跡地をJ.フロントリテイリングなど4社が再開発して、17年4月にオープン。地下2階から6階と13階のレストラン街による9層からなる、銀座最大級の商業施設だ。屋上には庭園があり、7~12階はオフィス。地下3階は観世能楽堂。
外観デザインは、ひさしとのれんをイメージ。コンセプトは、五感を超越した“第六感”的な、世界でここにしかない特別な場と仕掛けの創発を目指している。
さて、「ギンザ シックスのテナントが大量閉店」と騒がれたのは、21年1月。しかし、同店のPR担当は「ギンザ シックスにおけるインバウンドの売り上げ比率は3割ほどで、そんなには高くない。メインは20~40代の富裕層」と説明。「オープンから4年が経過し、予定通り新たなチャレンジをするために行う大きなリニューアル」だとしている。
2月から半年くらいかけて、ゆっくりと40店超を入れ替えていく。
特に3階には、ファッションの旗艦店が並ぶ。3月にシューズ「UNITED NUDE(ユナイテッド ヌード)」、レディース「Patou(パトゥ)」など5店が、3階に新規オープンした。
他の階でも、食品、化粧品、除菌グッズの店(7月までの期間限定)など計21店がリニューアル5店を含めて登場している。コロナ後の捲土重来(けんどちょうらい)を期して、今後どんなテナントを誘致するのか。お手並み拝見といったところだ(3月21日時点)。
●閉店ラッシュの東急プラザ銀座
数寄屋橋の東急プラザ銀座も、閉店ラッシュだ。6階の店舗が全部なくなってしまい、丸ごとリニューアル中である(3月20日時点)。
東急プラザ銀座は16年3月にオープン。伝統工芸の江戸切子をモチーフとしたデザインで、伝統と革新が融合した銀座の今を表現している。地下2階から11階まで13層の商業施設だ。屋上にはパブリックスペース「キリコテラス」がある。
インバウンドを非常に重視したリーシングが特徴で、韓国ロッテの免税店(一部を除き休業中)が8、9階の2フロアを占めている。10、11階のレストラン街も、モダンギリシャの「アポロ」のようなオリンピックを意識した尖がった店もあるが、大半が和食で、インバウンド需要を想定している。
オープン当時、6、7階には「FIND JAPAN MARKET」と称した、世界に誇る日本の“本物”に出合えるゾーンが設置されていた。今治タオル専門店「伊織」、ジャパンメイドの上質なテーブル&キッチンツール「クープ スタンド」など、なかなか個性的なショップが並んでいた。6階には「キリコラウンジ」なるイベントスペースも設けられた。
ところが、この6、7階にあった店舗が一斉に退店。日本をテーマにした逸品を集めた通販サイトのリアル店舗「藤巻百貨店」のように別の階(地下1階)に移転した店もあるが、約20店が21年1月頃までに閉店した。残ったのは、7階の老舗通販「ライトアップ/ゼクウ」の旗艦店のみである。
また、7階にある他のスペースには、東急ハンズの新業態「ハンズエキスポ」が入居していたが、20年1月に閉店。代わって、ニュースサイトのNewsPicksが、新タイプのスクール、カフェ、ショップの複合店を20年7月にオープンした。NewSchoolはプロジェクト型スクールのリアルなキャンパス。NewCafeとNewStoreは一般客が利用できる。NewStoreは東急ハンズと共同で運営しており、新しいモノの売り方とコミュニケーションを考える実験店だ。東急ハンズは別の形で、復帰したともいえるだろう。
同店はインバウンドに傾倒した商業施設だったが、懸命に修正を図っているようだ。
●規模に見合った協力金や家賃支援を求める声
銀座のクラブ街は午後7時までの酒類提供、午後8時までの営業では成り立たないので、緊急事態中はほぼ休業していた。一律1日6万円の協力金では維持していけない店舗が相当数あるが、ごく小規模なところは逆に“協力金バブル”になる矛盾が生じている。緊急事態が明けてからも、3月中は営業時間が午後9時までと1時間後ろに延長されるだけで、協力金も1日4万円に減る。この程度の規制緩和では、顧客はあまり来ないだろう。
銀座の飲食各店からも、規模に見合った協力金や家賃支援を求める声が上がっている。
●苦戦が続く歌舞伎町
新宿は、歌舞伎町、西新宿、新宿三丁目など、別々のエリアの集合体となっている。新宿にある大手企業の中には、会社の決まりとしてコロナ禍になってから歌舞伎町への出入りを禁じているところもある。
一方、新宿への来街者は、第2波が歌舞伎町のホストクラブから広がったとされることから、他の東京の繁華街と比べても減少している。新宿の店舗は全般に集客が悪い。
そうした事情もあってか、21年の緊急事態中、歌舞伎町では他の街と比べても、時短に応じなかった店舗が多かった。少なくとも1~2割は開いていた模様。他の街では95%以上が時短に応じていた。
ビルの物件に関しては、仲介業者が入っているケースも多く、テナントは埋まっていなくても借り手はいるので、実態が分かりにくいという。
緊急事態時、時短要請に応じなくて夜間営業している店に集まって来るのは、感染を気にしない若者と、女性(年齢は問わない)で、皮肉にも店内はにぎわっていた。新宿にある企業は歌舞伎町を避けているので、男性サラリーマンはあまり来ないという。ガテン系の男性はパチンコ店に集まり、顧客の入りは悪くないようだ。
しかし、歌舞伎町でもインバウンドの顧客が来なくなった影響は大きく、外国人を狙っていたお店の撤退が進んでいる。
歌舞伎町に最も近かった家電量販店で、靖国通りの対面にあったヤマダ電機の旗艦店「LABI新宿東口店」は20年10月4日に閉店。同所では系列に入った大塚家具が、21年3月21日まで「展示品・在庫品 大処分市」を開催していた。インバウンドの顧客が来なくなって、一等立地の大型ビルが丸ごと空き店舗となってしまった。
●秋葉原も大きく苦戦
秋葉原でも、電気街においてPCやコミック専門店、ドラッグストア、飲食店の閉店が相次いでいる。
秋葉原は広域から集客する街だった。土曜日、地方から高速バスを使って秋葉原に入り、アイドル、同人誌のイベントやショップ、メイド喫茶などを堪能。ネットカフェ、知人宅などで1泊して日曜の夜に帰っていく、熱心な“ファン”に支えられていた。さらに、コロナ前は、日本のサブカルチャーが好きなインバウンドが加わっていた感じだった。
ところが、コロナ禍でステイホームとなり、地方からも海外からも顧客が来ないのでは苦しい。
衝撃だったのは、駅電気街口からも近く中央通り沿いにあるゲームセンター「アドアーズ」のビル1棟が丸ごと閉店してしまったことだ。首都圏中心に35店ほどあるチェーン店の本店という位置付けだった。
隣の2号館は今も営業しているが、超1等地で隆盛を誇った、赤と白の縞模様でひと際目立っていたビルが、20年11月に空き店舗となった。1、2階がゲームセンターで、3階以上がカラオケ店といった構成であった。
●渋谷もテナントの空きが目立つ
渋谷も駅にごく近い、センター街のビルで空き店舗が増えている。1月19日に「無添くら寿司」の渋谷駅前店がオープンした「グルメタウン」は、コロナ禍で撤退した後に埋まらない空き店舗が多い。まだ3つほどテナントの空きがある(3月20日時点)。
また、丸井の「渋谷モディ」2階は、コロナの前から空き店舗が目立っていたが、全店が撤退して、改装中となっている。前出のように丸井の店舗は撤退が相次いているが、営業している店でも、ファッションの不振で集客に苦慮するテナントが少なくない。
駅の目の前や目抜き通りにあり、誰の眼にも好立地と分かる店舗ですら、自粛が続けば売り上げが減少する。そして、営業を諦めざるを得ない状況に陥っている。
●インバウンド消失の影響が大きい大阪
都心部繁華街、駅前で空き店舗が増えているのは東京ばかりではない。
大阪の場合、インバウンドでにぎわっていた場所が道頓堀などミナミに集中しており、顧客の消失が経営危機に直結した店が多い。ビジネスパーソンが主たる顧客である梅田を中心としたキタでは、そこまで深刻なダメージを受けていない模様。
「ミナミ、特に道頓堀や黒門市場は、空き店舗が目立っていますね。地域密着の商店街は潰れそうだった店が撤退して、新しいテナントが入っている印象です」(大阪市経済戦略局)。
巨大なフグの看板が人気で、創業100年を迎えたフグ料理の老舗「づぼらや」は20年6月、道頓堀と新世界にあった店舗を閉じた。新世界の店舗の場合は、周囲に串かつの店舗が急増して来街者のフグ離れが起こっていたという事情も絡んでいた。
心斎橋から難波にかけて、インバウンド狙いで出店したドラッグストアの閉店も目立つ。20年5月には、ダイコクドラッグ、ツルハドラッグの店舗が閉まった。界隈(かいわい)では休業している店も散見される。何店かはこのまま閉店するかもしれない。このエリアだけでドラッグストアが20店近く集中し、各チェーンの旗艦店も多い。ドラッグストアは好調な業態だが、外出を控え、マスクで口、鼻、頬を覆っているので、日本人にも化粧品が売れない。もともと過当競争だったのだが、淘汰が早まったと考えられる。
黒門市場は大阪の台所と呼ばれており、食のプロを相手にした卸、小売業者が集まっていた。ここ3年ほどはちょうど移転前の築地市場のように、インバウンドの観光客に人気が出て、飲食店や土産物屋が増えていた。こうして最近できたお店が閉店したため、空き店舗が出ている。
天神橋筋、駒川などといった大阪の庶民の生活を支える商店街はどうか。「居酒屋がなくなった場所にパン屋が入った」(同)といったように、商店街の中での新旧交代はあるが、コロナ禍で空き店舗が増えたとはいえないとのことだ。
●経済が崩壊すると医療を支えられない
都心部における空き店舗の状況を調べてみて強く思うのは、医療崩壊を食い止めるために人の動きや会合、ひいては経済を一時的に止めるのは理解するが、「不利益を被る人に十分な補償が行き渡っているのか?」ということだ。そして、過剰な自粛で経済が破綻すれば、その経済に支えられている医療も崩壊する。こんな当たり前のことが忘れられていないか。
街中が空き店舗だらけ、失業者だらけのゴーストタウンになって、医療と介護のみ健全に栄える社会がこの世に存在するのだろうか。