政府は新型コロナウイルス特別措置法に基づき首都圏1都3県に発令中の緊急事態宣言について、延長後の期限通り、21日までで解除する方向です。オリンピック開催決定と政府は新型コロナウイルス特別措置法に基づき首都圏1都3県に発令中の緊急事態宣言について、延長後の期限通り、21日までに解除する方向です。オリンピック開催決定と緊急事態解除により株式市場は更なる上昇が加速するでしょうが、反比例して飲食店の閉店は加速しそうです。
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新型コロナ拡大防止のための2回目の緊急事態宣言が、東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏1都3県で3月21日までの再延長されている。営業時間の短縮を要請されている飲食業界からは、一律の給付金しか補償がない状態に「我慢の限界」との声が上がっている。業界団体が新型コロナの影響で閉店した飲食チェーンの店舗数を試算した結果、全国で少なくとも数千店舗が閉店したとみられることが分かった。
各社は短期借入金も膨らみ、経営的に厳しい状況が続いている。緊急事態宣言再延長について、飲食業界の悲痛な声を聞いた。
●飲食チェーンの閉店は少なくとも数千店
2度目の緊急事態宣言は当初11都道府県を対象に、1月8日に発出され、3月21日までの再延長が決まっている。飲食チェーンなど約450社が加盟する日本フードサービス協会では、宣言の再延長の方向が示されたことで、情報収集や会員企業の意見集約に追われていた。
その理由は、大手チェーンの大量閉店にある。「ガスト」「しゃぶ葉」など多くのブランドを運営するすかいらーくホールディングスと、「甘太郎」「かっぱ寿司」などを運営するコロワイド、西日本を中心にファミリーレストランを展開するジョイフルの3社は、それぞれ1社あたり約200店舗を閉店すると発表した。この3社だけで600店舗だ。
大量閉店は他にもある。吉野家ホールディングスは2月までに150店舗、ワタミは3月までに114店舗の閉店を発表。「天丼てんや」「ロイヤルホスト」を運営するロイヤルホールディングスは90店舗、「白木屋」「笑笑」のモンテローザは都内61店舗の閉店を決めている。昨年8月までに31店舗を閉店したリンガーハットは、同規模の店舗数を閉店する可能性があるという。日本フードサービス協会では、現状を次のように分析している。
「会員企業ですでに閉店が明らかになっている店舗数は、少なくとも数千店舗に及ぶと考えられます。大手チェーンの閉店数が発表されたのは、2回目の緊急事態宣言に入る前がほとんどですので、さらに悪化する可能性もあります。
深刻なのは、会員企業だけではあリません。繁華街では、広い道路から1本入った裏通りに並ぶ飲食店が、軒並み休業しています。当面の間休業すると張り紙が貼ってあるとしても、緊急事態宣言の延長と再延長で、そのまま閉店につながってしまったケースも多いのではないでしょうか。一体どれだけの飲食店が閉店に追い込まれているのか、政府には現実をよく見ていただきたいと思います」
上場企業の短期借入金は3656億円以上
2回目の緊急事態宣言では、営業時間を午後8時までに短縮する要請に応じた飲食店に、1店舗あたり6万円の協力金が支払われている。東京都では当初、協力金の対象から大企業を除いていたが、大手チェーンから「不公平だ」との声が上がったことで、1月22日分から大企業にも支給が決まった。
しかし、特に飲酒を伴う業態の場合、家賃の高い繁華街に立地している店舗が多い。大手チェーンでは店舗の面積が広いために、家賃が高額になっている場合も少なくないのだ。1店舗あたり6万円の協力金は、小規模で家賃が高くない立地の店舗にとっては十分であっても、多くの店舗に対して有効な支援になっていないのが現実だ。
しかも、新型コロナウイルスの感染拡大が客足に影響し始めてから、丸1年がたとうとしている。長期にわたる売り上げの減少は、業界にとってかつてない深刻な状況だ。
飲食業界全体の苦境を示す数字はなく、日本フードサービス協会では独自に調査を進めている。閉店数の試算以外に明らかになった数字の一つが、飲食関係の上場企業59社の短期借入金だ。一昨年12月から昨年3月までの間に各社が決算をまとめた時点では784億円だった。それが、協会が昨年10月に集計したところ、3656億円と4.6倍に膨らんでいた。2回目の緊急事態宣言前の数字なので、現在はさらに増加しているとみられる。しかし、借入を増やすにも限界があるという。
「銀行から融資を受けても設備投資に回すのではなく、家賃や人件費に払っている状態なので、経営上はマイナスにしかなりません。自己資本も減少していますし、上場企業であっても非常に厳しい状態になっています。
緊急事態宣言が再延長されましたが、仮に3月21日に解除されたとしても、客が100%戻ることはないでしょう。居酒屋など飲食を伴う業態にとって、3月は年末年始と同様に、送別会や謝恩会などの宴会需要が見込める1年の中でも重要な商機です。大きな商機が立て続けに消えてしまったことで、資金余力のない外食企業の体力は限界に達したと考えられます」
●再延長を機に丁寧な議論が必要
2月13日には新型コロナウイルス対策特別措置法の改正法が施行された。緊急事態宣言のもとで都道府県知事は施設の使用制限を「要請」できることに加え、正当な理由なく応じない事業者などには「命令」ができるように改正された。命令に応じない場合は行政罰として30万円以下の罰金が課されることになった。
また、緊急事態宣言が出される前でも「蔓延防止等重点措置」が取れるようになり、政府が対象地域とした都道府県の知事は、事業者に対して営業時間の変更を「要請」し、応じない場合はやはり「命令」ができる。命令に応じない場合は20万円以下の罰金となる。法改正以前から、営業時間の短縮要請に応じない店の名前が公表できるようにもなっている。
ただ、20年4月から5月にかけての1回目の緊急事態宣言では、営業時間の短縮の「要請」は幅広い業種に及んでいた一方、2回目の宣言では、「要請」の対象は飲食店とカラオケ店だけ。行政罰まで課されるのに、協力金が1店舗あたり1律6万円なのは、補償としての公平性に疑問が残る。日本フードサービス協会では、1回目の緊急事態宣言の時から家賃の支援など規模に応じた段階的な補償を訴えているものの、現時点で国の対応は変わらないままだ。
「協力金は一律に支給されていますが、やはりきちんと区分けして、大企業への対応と、中小企業、個人事業主への対応を分けて考える必要があると思います。売り上げのマイナス幅が大きいところを2段階、もしくは3段階に分けて対応する方法もあるでしょう。
飲食店の経営悪化は、政府や自治体の要請に応じて短縮営業を実施した結果です。政府は外出をしないことや、テレワークの呼びかけもしているので、全ての時間帯で客足は鈍くなっています。今後、緊急事態宣言のさらなる延長や、感染拡大の第4波が来ないとも言い切れません。緊急事態宣言の再延長を機に、きちんとした補償の在り方を、政府にはあらためて考えてもらいたいです」
緊急事態宣言の再延長の影響で、飲食業界全体の売り上げがどこまで下がるのかは「現時点では全く読めない」という。すでに多くの雇用も失われている。飲食業界への対策は、いま一度丁寧な議論が必要ではないだろうか。