世界2位の経済大国になった中国は問題を抱え「中国ほどのペースで債務を増やした発展途上国は、歴史を振り返っても見当たらない」とケビン・スミス氏らに指摘されるほど債務は膨らんでいます。しかし、リーマンショックの時には有効だった政府の財政・金融刺激策の効果は急速に衰えています。これにデフォルト(債務不履行)の拡大、不良債権の増大が加わって「何らかの事故が起こる温床」が育っているとともに、過剰生産と不良債権が山積みで瀕死の国営企業に資金が大量に流れています。これらの資金は帰ってこない資金で国内インフレを助長します。ジョージ・ソロス氏も、暗躍しているようです。「半固定相場」の通貨を売り崩して儲けるという手法で富を築いてきたからです。経済は生き物なので、いつ、どうなるか予測はできませんが、世界経済は大きな分岐点に差し掛かっている予感がします。
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クレスト・キャピタルの創業者ケビン・スミス氏は中国に対する弱気派で最も有名な人ではないかもしれないが、持論を曲げないことでは確かに指折りの人物だ。
2016年3月以来、中国の通貨人民元と株式相場の下落を見込む賭けが裏目に出ているにもかかわらず、スミス氏は中国が大幅な通貨切り下げに向かっているとこれまで以上に確信を強めている。同氏の予想では、元は向こう1年で70%下落し、中国の信用バブルはついに破裂するという。
カイル・バス氏やデービッド・テッパー氏といったヘッジファンド業界の大物らの同様の指摘は、元が昨年末にかけて下落した際にニュースになったが、最近ではスミス氏に同調する人はかなり減っている。経済成長の安定や政府の資本流出対策を背景に元は1月に付けた安値から4.3%上昇しており、弱気派はほとんど姿を消した。ブルームバーグが集計した元相場の予想平均では、18年半ばまでの元の下落率は3.6%にとどまると見込まれている。
スミス氏は持論を曲げていない。8月5日付けの顧客向け最新リポートで同氏は、中国が差し迫る信用危機に直面しているとの主張を21ページにわたって新たに展開した。スミス氏がこうした警告を発するのは初めてではないが、同氏の長年の実績を考えると無視し難い。17年は悪いスタートとなったが、約12年前の運用開始以降のリターンはプラス285%。これに対しHFRXグローバル・ヘッジファンド指数はプラス6.7%にとどまる。
スミス氏はインタビューで「他の中国弱気派は諦めたのかもしれないが、われわれにはまだ勝ち目があるし、勝つ目標がある」と述べ、「信用バブルはただ消えるわけではなく、破裂する。その時は途方もないことになる。われわれは正しいポジションを取るつもりだ」と付け加えた。同氏のマクロファンドは今年1-7月期のリターンがマイナス14%。同ファンドは通貨オプションなどを利用して元の値下がりに賭けている。
原題:Hedge Fund Betting on 70% Yuan Devaluation Digs In Amid Gain