英国のEU離脱による悪影響を懸念して、為替は円高に振れていますが、離脱しなくてもしばらく円高になりそうです。世界経済の不安定さや、日銀が利下げカードを切れなくなっているのが主因です。またしても、財政破たんを唱える円安待望論は否定されることになるのでしょうか?消費税も19年には引き上げが決定しており、先延ばしによる限定財政負担増も既に織り込み済みです。要は日本経済は世界経済において信頼性が高く混乱期には回帰するという大原則があるということです。円高が加速する=世界経済がカオスに向かっているのです。
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[東京 20日 ロイター] - 今週の外為市場では、23日の英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票に向かって、避難先通貨の円やスイスフランが上昇圧力にさらされ、ドル/円の下値リスクが意識されやすい展開となりそうだ。
一方、英国のEU離脱(ブレグジット)が回避されたとしても、ドル/円の反発は106円付近までとの見方が多い。
英国民投票をめぐっては、最近の英ポンドの乱高下や円とスイスフランの急騰で傷を負った内外投資家や短期筋が多いとみられ、為替市場のリスクテーク能力は著しく低下している。
予想レンジはドル/円が101.00―106.00円、ユーロ/ドルが1.1100―1.1500ドル。
<下値めど>
16日の取引でドルは103.56円まで下落し、1年10カ月ぶり安値を付けた。英ポンド/円<GBPJPY=>は同日145.37円まで下落し、3年2カ月ぶり安値を付けた。
ブレグジットが具現化した場合、チャート上の下値目途は2014年2月4日の安値100.76円。また、過去最安値の75.32円と昨年6月の高値125.86円の半値である100.59円が次の下値めどとなる。
ただ、18日に公表された英サンデー・タイムズ紙向けの調査会社ユーカブの世論調査によると、英国のEU残留を指示する英国民の割合が44%となり、離脱を指示する割合の43%を上回った。
直近の調査結果を受けて、英ポンドやユーロは買戻しの動きが活発化し、20日早朝の東京市場では、英ポンド/円が151.66円、ユーロ/円が118.61円まで急反発した。
複数の市場参加者は、ブレグジット後に、100円に向けた円高加速時には、日銀が臨時会合を開き、追加緩和に踏み切る可能性が高いとみている。 また、100円割れをのぞむ局面では、日本単独でのドル買い/円売り介入を予想する向きも少なくない。
内閣府によると輸出企業の平均採算レートは103.20円。これを下回るドル安/円高は、企業業績の悪化、株価下落を通じて景況感の悪化をもたらすほか、輸入物価の下落を通じたデフレ圧力を再燃させ、参院選の結果にも影響をもたらす可能性がある。
<英国民投票の後>
英国民投票の結果がEU残留となったとしても、7月10日に日本の参院選、7月26―27日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が控え、リスクセンチメントが大幅に好転する余地は限られそうだ。
「前者は与党が数字を取れないリスク、後者は利上げ断念という不確定要素がある」と指摘するのは、三井住友銀行、チーフストラテジストの宇野大介氏。同氏は「こうした状況で、英国民投票が終わったからといって、市場のリスク回避の流れがそう簡単に収束するとも思えない」と言う。
野村証券チーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏も「注意したいのは(6月)15日のFOMCでイエレン議長がかなり慎重で、年内1回の利上げしか想定していない可能性が高まったことだ。英国民投票後もドルの戻り売り圧力は相当強いと思われる」と話している。
米セントルイス地区連銀のブラード総裁は17日、2018年末までの利上げは1回のとどめるのが適切との見解を示した。