![]() | 永遠の0 (講談社文庫) |
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講談社 |
この本の題名を聞いただけで右傾ものと思い嫌悪しそっぽ向いた人にこそ読んでほしい本。
ひとりの海軍兵士の生きざまを(死にざま?)多数の人が語るスタイルによって
幾通りにも受け取れることを大前提にした、客観性もある、
まるでドキュメンタリーのように感じられる小説です。
特に後半の「桜花」以降は、どんなにこらえようとしても
胸に迫ってくるものを抑えることはできないでしょう。
ただ「戦争は悲惨だ」とか「戦争はいけない」だけでなく
『君は精いっぱい生きているか?』をぐいぐい問いかけてきます。
本土決戦を国民全員が体感した時代から、まだ60余年経っただけなのに
戦争の時代が悪い夢が過ぎ去ったように忘れ去られ
いまの平和な時代を当たり前に過ごしているわたしたち。
この平和な生活の前に、いったいどんな時代があったのか
日本という国がどんなふうに戦争に向かっていきどんなふうに敗れ
その時代の人々は何を考え生きていたのか
フィクションでありながら、強烈に迫ってくる作品となっています。