
8月の中頃のある日の午後の事。母が「蝶がおる(居る)から来てみんかい。」と言ってきた。僕が蝶を撮るために追いかけていた事を知ってたから、教えてくれたのだった。
僕が「おっても(居ても)、すぐに逃げるよ。」と言うと、「違うんよ。動かんと(動かないで)、じっとしとるんじゃがね。」と言う。

言われた通りデジカメを持って玄関の前に行ってみると、芝生の上に蝶がいた。羽の模様からすると、これはキアゲハだ。普通のアゲハは何度かあるけど、キアゲハはまだ撮った事が無い。なるほど、近付いても全然逃げないな。弱ってるのだろうか。左の羽も少し欠けているし。
こんな近くで撮るのは初めてだ。ここまで近付いても全く逃げようとしない。(画像をクリックすると、別窓で横から撮った画像が出ます)

鳥か何かに襲われたのか、それとも長い旅で疲れてしまったのか・・。まあ、少し休めばまた元気になって飛び立って行くだろう。僕はそう考えて、キアゲハを撮った満足感を胸に家の中に引き返した。

しばらくして急に空が曇りだし、やがて激しい夕立になった。キアゲハは旅立ったかな。

夕方頃に小雨になったので、キアゲハを見に行った。すると、芝生の上にそのままの姿でじっとしているではないか。こんなに弱ってたのか・・。
とりあえず雨から避けるため、近くの木の下に移動させる事にした。少し時間が経ってから見に行くと、木に登って休んでいたので、もう大丈夫だろうと安心する。一晩休めば体力も回復するさ。朝になってまだいたら、砂糖水でもやってみよう・・と思いながら、その日は床についた。
だが、一夜明けて見に行くと、キアゲハは蟻にたかられて運ばれて行く途中だった・・・。昨日、砂糖水をやっておけば良かったか・・。蟻を追い払ってどこかに埋めようかとも思ったけど、蟻にとっては大事な食料源でもある。そのままにして、写真を撮るのはやめておいた。
たまに考えるのだけど、弱ってる自然の生き物に人間が手を貸して助けても良いのだろうか?自然の摂理に反してるのじゃないのか?飼うのならともかく、助けてまた自然の中に放すのは、ただの人間の自己満足なんじゃないかと・・。1匹助けたら、他のすべての生き物も助けないと不公平な気もする。まあ、実際は不可能だけど。結局、これまでに結論は出た事が無い。
おまけで、数日前パセリにいたキアゲハの幼虫の写真をリンクしておく。イモムシは生理的にダメなんだけど、頑張って撮ってみた。しばらく見ていたらなんだか美しく見えてきたのが不思議だ。でも、触るのは絶対無理。
●注)イモムシが苦手な人は、絶対見ないで下さい。かなりアップで撮った写真ばかりです。
キアゲハの幼虫01
キアゲハの幼虫02
キアゲハの幼虫03
キアゲハの幼虫04