流し台の上に採れたばかりのキャベツがあった。
しばらく見ているうちに、僕はどうしてもその中に頭を突っ込みたい衝動に狩られた。いや、これは義務なんだ。なんとしても突っ込まなければ・・。
そして、僕はキャベツの中へ。
緑の洞窟の中は、思いの他、暖かくて心地良い。ふわふわと浮かんでいくような、沈んでいくような、不思議な感覚。
気持ち良くなった僕は、いつのまにか安心して眠りに落ちた。
どれぐらい眠っただろうか?ふと目を覚ますと、僕はキャベツになっていた。父と母は見て見ぬふりをしているようだ。
僕が何か話そうとすると、母はTVの方にさりげなく目をそらす。キャベツとは話しづらいのだろうか?
でも、まあ良いや。ちゃんと食事も作ってくれるし、葉っぱの体は台所用洗剤で洗えば良いし、とりあえずは困らない。今日の夕食もおいしかった。ごちそうさま~。
ただ一つ、春になるとモンシロチョウが卵を産みに来るのだけが気がかりだ。イモムシは苦手なんだ・・。
(2006年1月13日~2月14日撮影)
●へんたい【変態】
(1)形や状態が変わること。また、その変わった形や状態。
(2)「変態性欲」の略。また、その傾向のある人。
(3)動物が成体とは形態・生理・生態の全く異なる幼生(幼虫)の時期を経る場合に、幼生から成体へ変わること。また、その過程。
(4)植物の根・茎・葉などの器官が本来のものと異なる形態に変わり、その状態で種として固定すること。捕虫葉・葉針・気根・巻きひげなど。
(5)〔物・化〕 同じ化学組成をもちながら、異なった物理的性質を示す状態または物質。特に、単体の場合は同素体、結晶の場合は多形ともいう。また、有機化合物が化学組成を変えずに原子・原子団の位置の変化で別の状態・物質に変わること。転位。
(goo国語辞書より)