(9月初旬の旅行記です)
ナポリの国立考古学博物館に行ってきました。
こちらは、ポンペイ遺跡見学前に行っておいた方がよいとガイドブックにあります。
としても、「いつ行こうか?」とある夜、トッレ・デル・グレコの宿にてみんなで相談していましたが、たまたま、翌日が無料サービスデーということに気づきました。
無料デーは年に数回?あるようです。
(同じ日、あちこちの美術館・博物館が無料だったようです)
朝いちばんで乗り込もうと、早めに出発。
でも、時差のせいで早起きしすぎて、朝食もまだ夜が明けないくらいの時間で、美術館についたときには空腹でクラクラ(特にうちのダンナサマが)。
「食べ物~。コーヒ~」とうめいてます。
美術館の最寄の地下鉄駅には、何の売店もなし。うお。
地上に出て辺りを見回すと、美術館の真向かいに、バールがありました。よかった~。
ここコーヒーと具のせパン(ピザみたいな感じ)を食べて、ちょっとのんびりし、エネルギーを充填。
ようやく見学に向かいました。
日本でいう1階は、彫刻ばかり。
(今思うと、彫刻はもっとさっさか、流してみればよかった。じっくり見て、体力を消耗して勿体なかった・・・)
建物の構造なのか、展示室の配置がとても複雑で、私は、自分がいまどこにいるのか、すぐに分からなくなってしまいました。
で、ダンナサマ達ともはぐれました。
中二階のポンペイモザイク室は、ひとりで見て回りました。
また別の部屋には、ポンペイの壁画や遺物も展示してありました。
モザイクや壁画は、お屋敷やお店の壁や床を飾るものだったので、今でいうアート(芸術作品)ではなく、室内装飾(インテリア)と工芸の間くらいの感じでしょうか。
アートは自分と無縁な気がしてしまいますが、インテリアにはちょっと興味があります。そういう卑近な見方でいくつかご紹介します。
 |
写実的な魚モザイク タコ、イセエビ、ヤリイカ?(スルメイカ?)、エイ系、カサゴ系、ネコザメ、ウツボ、タイ、ホネガイ、エビ、スズキ、などなど・・。 魚屋さんで見かけた魚がいっぱい! 2千年前の人たちも、おんなじお魚を食べていたんだなあ・・。
|
 |
お魚と鴨 ここにも魚が。 大きな口で、側線が目立つこの魚はなんでしょう?
|
 |
ネコ、鳥類、魚のモザイク 上段はキジを襲うネコかな。 下段は鴨、小鳥、貝各種、魚。 片方の鴨がくわえているのは、睡蓮のつぼみかな。 ネコや鴨がかなり写実的なのに比べると、貝はなんだかだいぶデフォルメされています。
|
 |
ニワトリのモザイク 戦っているっぽいのは、闘鶏なのでしょうか。 ニワトリの羽の色や毛羽の流れの微妙なところまでモザイクで表現されています。
|
 |
ニワトリアップ モザイクのパーツ(色ガラス?天然石?)を描きたいものにあわせて細かくカットして、丁寧に並べてあります。 モザイク工房に行ってみたいものです。沢山の色のモザイク片の小箱がずらりと並んでいるのでしょうか。
|
 |
モザイクによる壁面装飾 ガイドブックなどによく出てくる作品です。 色鮮やかな壁面装飾。
|
 |
右側の周辺部分アップ 規則的な模様と、大胆な色づかいが綺麗だなあ・・・。 図案デザイナーと、モザイクを並べて作る職人は、きっと別ですよね。 「うわー、今回の図案、大変だ。しかもこの工期でやれってかー」と職人さんが頭を抱えたりしたこともあったのかな・・・。 細かい作品はやっぱり値段も高かったでしょうね。 色合いでの値段の差もあったのかしら。例えば濃い青は高い、とか。 それとも、どの色でも同じかな。
|
 |
柱にもモザイク(横倒しですみません) とてもカラフルな柱。 今見る遺跡は、塗装も装飾もはげて石やレンガの色ばかりですが、往時はかなりカラフルだったのですね。 現代のシンプルモダンインテリアを見慣れていると、こんなに色を多用していて、斬新です。
|
 |
虎?獅子?とキューピッド ゴブラン織りか絵画のようですが、これもモザイク。 この動物はタテガミもありますが、体に縞のようなものもあります。ハイエナ?架空の獅子?
|
 |
獅子モザイクのふちどり 獅子の周囲に花綱のようなふちどりがあり、更にその周囲にはモダンな渦波模様が。 花綱のモザイク、細かいなあ。自分がモザイク職人だったら、これを担当するのはいやだなあ・・・。 花綱には、四隅と各辺の中央に顔がまぎれています。これは仮面と書いてある資料もありましたが、それにしてもなぜ仮面を混ぜるんでしょう。 (花綱だけの方が綺麗だと思うんだけどなあ、私の好みでは。) 各方位に向けての魔除け?
|
 |
ハトの水飲み場のモザイク 真鍮の大きな器の周囲で鳩が6羽水を飲んだりしています。 真鍮の器は3本脚で、動物の脚の形状。 メインの画面の周囲には、花綱。そして四隅と各辺の中央にはまたも仮面が。花綱と顔はセットなのかな。 門の左右に阿吽の仁王さんが必ずいるようなものかしらん。
|
 |
ハトの水飲み場のモザイク部分 左下の顔の部分をアップにしてみました。 うおお、細かい~。
この図案1枚で、どのくらいの作業時間でしょうか。 次に壁画もご紹介しますが、同じサイズのモザイクと壁画、お値段はそれぞれどのくらいだったのか興味があります。 手間暇的にはモザイクの方かかるから、値段も高いと思うのだけれど、どれくらい違うのか・・・。
|
 |
壁画 こちらが壁画。 2千年間、ほぼ密閉されていたとはいえ、おどろきの耐久性です。 画風によりいくつかの様式に分けられるようですが、この赤い色は共通して使われていました。 チルクム・ベスビアーナ鉄道の駅もこの赤。 一般民家の外装にも使われていました。この地域のテーマカラーかなあ、と思います。
|
 |
壁画 こういう装飾部分が気になります。
|
 |
壁画 モザイク製の円柱にも花綱模様がありました。 壁画内の柱にも、花綱。
|
 |
壁画 あ、ハート型だ。
|
 |
壁画 とても繊細であっさりした壁画。 壁紙として現代のインテリアにも使えそうです。
|
 |
壁画 神棚的な、祭壇を飾っていた絵じゃなかったかな。
|
 |
出土品 ガラス製のカメオの壺。 奇跡的に無傷です。高かっただろうなあ。 ちょっと持っては逃げられない大きさです。
|
 |
出土品(銀器) こういった銀器や貴金属は変質しにくいのでもっと残っていそうなものですが、あまり展示されていませんでした。
噴火前に逃げた人たちがちゃんと持ち出したのかな。 残されたものは、盗掘者によって失われた可能性もあります。 ポンペイは掘るのが容易な軽石で埋まったので、古来から盗掘者が大勢いたようです。 検土杖のようなものを地面に刺してみて、「空洞があったら宝石が出てくる」というノウハウがあったとか。 この空洞は犠牲者の痕跡(あの石膏像の型)。 逃げようとした人達は持てる限りの貴重品を持っていたはずで、掘り当てれば、さぞかし沢山の宝物が出てきたでしょう。
ポンペイ噴火の17年前に大きな地震があったそうです。 その時に屋根が落ちたりしたけれど修理がゆきとどかないような平民は、噴火の際に家を捨てて早めに逃げたけれど、地震でも家が壊れなかったり、すぐにしっかり修理した人たち(お金持ち)は、家を離れにくかったようです。犠牲者の多くは、お金持ちの人々だったようです。
|
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます