これまで十全大補湯、四神湯を紹介しましたが、漢方スープをもう1つご紹介しますね。
「四物湯」です。
スープ(食品)としてだけでなく、薬としても売られているもので、漢方薬剤(錠剤)がツムラなどから出ています(薬剤の説明は「おくすり110番」のこちら)。
もっぱら女性用(生理不順、更年期障害、貧血、冷え性、主婦湿疹)の処方らしく、これが美味しい、とダンナサマが言ったら、台湾の知人は「ええっ!貴方が飲むんですか?胸が大きくなってオカマになっちゃったりして」みたいなことを言われました。
でもまあ、「体をあたため、貧血症状を改善する」らしいので、女性専用という訳でもないんじゃないかな?
薬として飲む場合は、禁忌症や副作用など注意点があるようですが、食品としてスープで(多分濃度も薄いでしょうし)頂くので、それほど気にしていません。
基本の組成は、当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)、熟地黄(じゅくじおう)です。
台湾では、食料品店や市場などでも売っていますが、今回は、漢方医院(お医者さんと薬剤師さんがいるところ)で作ってもらいました。
配合を書いたノートは漢字だし(当然ですが)、それぞれの素材を缶から取り出して計ってくれて、なんだか魔法使いの弟子になったようです(薬剤師さんたちはみんな白衣を着て現代的ですが)。

四物湯
中身を見てみると、規定の4種類(★印)以外にも色々入っています。
●成分
(外側上から時計回り)
紅棗(ナツメ) 中央上の赤くて丸いもの
枸杞子 中央上の赤くて小さい細長いもの
(名前不明)薄紙のようなひらひらしたもの
★川きゅう(センキュウ) 4時半の方向の屋久杉の年輪みたいなもの。
★芍薬? 5時の方向の木の枝のようなもの
(名前不明)6時の方向の細い木の枝のようなもの。こちらが(も)芍薬か?
★当帰(トウキ)? 7時の方向の、枝別れした根のようなもの。
黄耆(オウギ) 8時の方向の、黄色いスライス?
(名前不明)こちらが当帰(トウキ)か? 9時の方向のザラザラしたスライス
党参(トウジン) 6時の方向。キキョウ科の植物の根。
(中央上から時計回り)
★熟地黄(ジオウ) 真ん中の黒い固まり。
桂皮(ケイヒ)かな? シナモンやカシアのことですよね。
(名前不明) ねとねとしたものが表面に付いた枝?根?
●働き
血液循環をよくして、体をあたためる作用があります。また、皮膚を潤したり、ホルモンのバランスを整える効果も期待できます。 どちらかというと女性向けで、冷え症で貧血気味、顔色が悪く、皮膚や唇がかさつく人に向きます。具体的には、生理不順や生理痛、更年期障害、貧血症状、冷え症、しもやけ、しみ、指掌角皮症(主婦湿疹)などに適応します。
十全大補湯より、染みわたるような美味しさに感じます。
■■四物湯レシピ
■材料
薬剤セット
肉類(豚バラ肉、鶏骨付き肉など骨付きだとダシが出てよい)
(肉の下茹で用)生姜・葱・酒
ベジタリアンの場合:ゴボウ、蓮根、山芋などの煮崩れにくい根菜を適宜。もしくは何もなしでもよい。
生姜
日本酒(または焼酎でも)
塩
■作り方
(1)鍋に下ゆで用材料と水を入れて沸かし、肉をさっと茹で、水でゆすぐ。
この茹で湯は使わない。
(2)薬剤は、さっと冷水でゆすぐ(私は買ってきたときに入れてくれた袋のまま使って、特にゆすがないことが多いです)。
(3)大きめのお茶パックのようなものがあれば、薬剤を袋に入れる。ナツメとクコの実は食べられるので袋から出しておく。
(4)鍋に肉(もしくは野菜)、生姜、水(蒸発するのでたっぷりめ)、薬剤、酒を入れ、火にかける。
沸騰するまでは強火で、沸騰したら適宜アクをすくい、極弱火にして1時間弱程度、肉が軟らかくなるまで煮る。最後に塩で調味する。
(5)肉と、スープ(液体部分)、食べられる薬剤を盛りつける。