化学系エンジニアの独り言

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ビッグスリーの行く先

2008-12-13 | 社会
どうしてこんなに円高が進んだのかと思えば、ビッグスリーの救済策(要は誰もお金を貸してくれないから、政府から借りる)が上院で否決されたためという。金融再生法案のときのように修正して出しなおす、ということは無いらしい。ブログ上ではそんな意見が多いようです。

ビッグスリーが倒産しても、トヨタやホンダの車を買えばいいから大丈夫、というのが消費者目線からの正直な意見でしょう。ビッグスリーの車が売れないのは、日本の自動車会社のせい、あるいは日本がアメリカ車を買わないから、という10年前のような意見はまったく聞かれません。それだけトヨタもホンダもアメリカの会社(工場)として認知され、事実雇用を創出しているからでしょう。

数年前は、燃料電池自動車開発の先陣をGMは切っていました。トヨタのハイブリッドを燃料電池自動車完成までの繋ぎ技術でしかない、と言い切って馬鹿にしていました。ところが、燃料電池技術の開発の壁が相当高いこと、一発のブレークスルー技術ではなく多くの技術の総合化が必要なことがわかってきて、GMのFCV開発は停滞したのでしょう。もちろんトヨタもホンダも2007年にはFCV5万台を走らせるなんていっていたころもありました。FCV開発にてこづっているのはGMばかりではありません。

だからといって、FCV開発がままならないから会社がつぶれそう、というのは理屈になりません。足元ではこのハイブリッド技術を持っていない自動車会社はさっぱりです。

一方、生産者・会社員の目線で見ると、GMつぶれてもいいよとはいきません。日本の部品メーカーや装置メーカーの大部分はビッグスリーとの取引もしています。現在の売掛金が回収できなくなったら、結構大変なことになります。かといって、危なそうだから部品供給をやめますとは成りません。それでは自工場の操業率を維持できなくなりますから。んー、ことはアメリカの自動車会社だけのことではありません。

では、ビッグスリーに簡単にお金を貸すしかないのでしょうか。それでビッグスリーは息を吹き返すのでしょうか。

ビッグスリーを再生(救済ではない)させるためには、やはりここはいったん倒産してもらうしかないでしょう。その瞬間に株は紙切れですから、しゃれにならない人も多いでしょうが、既に充分にその可能性はあったわけです。
その上で、トヨタに買ってもらえばいいのです。トヨタが経営するようになれば、余計なもの(工場、設備、人)の整理をしたうえで、立派に再生することが出来ると思われます。

しかし、アメリカの代表的産業である自動車が日本の一企業に牛耳られるようになることには、アメリカ政府は良しとしないでしょうね。ゆえに、一体どうなるのか分からないのです。