化学系エンジニアの独り言

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2030年の世界エネルギー見通し

2005-12-14 | エネルギー
エクソンモービルから2030年のエネルギー見通しが発表されている。

世界の経済成長と人口増加から、2030年のエネルギー需要は225MBDOEから50%増加して335MBDOEになると予想される。増加量のうちの80%はnon-OECDである。

エネルギー利用効率を増大させることはキーである。
石油、ガス、石炭が依然として主役であり、80%を依存している。
残りの20%の内訳は原子力20MBDOE,水力10MBDOE、バイオマス32MBDOE、太陽光1MBDOE、風力2MBDOEとなっている。

既存の化石燃料に依存していることから、CO2排出量は現状の250億トンから40億トンへ年平均1.7%の増加である。もちろん、経済成長・人口増加が大きくエネルギー利用効率の低いnon-OECD地域からの排出量増加が80%を占めている。

石油の需要は80MBDから110MBDに増加するが、non-OPEC出の増産は10MBD程度にとどまるから、残りの20MBDの増産はOPECが担うこととなる。

2005年現在の原油埋蔵量は3.2TBOと推定される。さらにnon-conventionalな資源が4TBOあるとしている。仮に、3.2TBOを2030年の生産量の110MBDで割り返すと80年という答えが得られる。石油は当面なくならないといえるが、non-OPECの石油生産は2015年頃にピークとなるので、それ以降の消費増加の分はOPECによる増産に頼ることとなる。

石油の用途の60%は車の燃料である。北米や欧州での輸送用燃料は現状でほぼ頭打ちとなるが、Asia Pacificでは4倍に急増する。
ハイブリッド車は北米と欧州で2010年以降目だって増え、2030年にはfleet台数の10%、新車販売の30%に達する。

この辺は日本の感覚からするともっともっと前倒しのように思うが、ExxonMobilはこれくらいゆっくりを想定している。

エネルギー消費としての電力は2.0%の伸びで2030年には130MBDOEとなっている。発電のための1次エネルギーは、石炭、天然ガス、原子力の順であるが、Asia Pacific出の石炭の発電消費は3.9%の伸びで倍増し、40MBDOEとなる。
日本での石油の発電消費割合は21%で最も大きいが、世界では5%未満ということになっている。

世界のエネルギー消費は、石油を輸送用燃料として利用し、(ガスもあるが、原子力自動車や石炭自動車はできない) それ以外の石炭、ガスを発電用にまわすということから、日本とはずいぶんとその構造が異なっている。