化学系エンジニアの独り言

時の話題や記事の備忘録

大学の役割

2005-10-06 | 社会
大学と大学教授に関する話題。

何年か前から国立大学は独立行政法人となりました。何から誰から独立して、法人格を有してどんな権限が生まれ、どんな法的義務が生じたのでしょうか。
そもそも大学は自治が基本ですから、今さら独立というのもおかしいような。

大学教授の起業を奨励するかのような風潮があるが、そもそも起業や金儲けを在任中から考えているような教授に最高学府としての教育権限を与えていいのか。そんな教授にまっとうな教育ができるのだろうか、疑問でならない。

技術系大卒の能力が落ちてきていると民間企業から指摘があります。大学はもっと教育に力を入れてほしいと。(事務系についてはここでは話題にしません。)
確かにそう感じますが、先に書いたように起業のことばかりを考えているような教授ばかりでは、どうにもなりません。

大学にも言い分はあるようです。これまで、相当額の税金を使って大学は研究をやっているが、アメリカの大学のように大学発の実用技術が少ない。もっと、大学から実用技術が出るように、特許取得や起業化を推進せよ、との政策です。
でも、大学が起業ばかりをするようになったら、民間会社の研究所は何をするのでしょうか。国研とどこが違うのでしょうか。

大学と国研、民間企業にはそれぞれの譲れない役割があるはずす。大学のProductsはなんと言っても学生、卒業生です。そのプロダクツの質を上げることこそが、大学の役割のはずです。その教育をそっちのけで、学生(院生)はあたかも労務費のかからない労働力のように使って、自分の研究を遂行するようなやり方は明らかに間違っています。
教育の質を上げるためには、最先端の研究が教育材料として必要なので大学は最先端の研究をやるのです。なにも起業するためではありません。結果として、卒業生がそのまま起業することは大いに歓迎です。
また、技術開発に対する哲学を最初に教えるのも大学の役目のはずです。哲学を教えるためには教授の全人格が問われます。もちろん、民間企業でも開発哲学は社風といったものを通じて、受け継がれているものと思います。

大学が最先端技術を通じて、技術系人材を作り、国研が技術の基礎となる開発を受け持ち、民間企業が実用技術に仕上げて、製品化するという基本的な役割を変える必要は何もない。
民間にできることは民間ですから、郵便局は民間企業になった方がよいでしょうが、大学まで民間企業と同じ、営利目的になることには反対です。