「 十勝の庭づくり ― キッチンガーデン紹介 ― 」
連載2回目は「土」である。
庭づくりのすべてと言っても過言ではない土づくり。
まだはじまったばかりの十勝千年の森の庭の土は、
植物がのびのびと気持ちよく根を張るものからはほど遠い。
土づくりは、ガーデナーにとって最大の課題となっている。
ここでは堆肥づくりを紹介する。
堆肥の材料として、落ち葉、馬ふん、蕎麦がら、剪定や除草ゴミ、米ぬかなど。
十勝千年の森では、他にサイレージやヤギ舎の敷き藁など。
自分の暮らしを見回せば、堆肥に最適なものがたくさんあることに気づく。
すでに作りはじめた堆肥。
有機物の分解がはじまり、表面に白い糸状菌が見える。
堆肥の温度が50℃を切り下がってきた。
フォークを使って全体を混ぜ返し、切り返し作業を行う。
同時に、新たな剪定ゴミを追加して堆肥を作る。
場所に余裕がある場合は、堆肥枠を3~6枠作っておき、
切り返し作業の時にローテーションで使うと、とても便利。
今回はひとつしか堆肥枠がない場合を想定して、切り返しを行う。
ひとつの堆肥枠で半分ずつ作業を進める。
堆肥を底に少し残し、残りを片側に寄せる。
青いもの(剪定ゴミや台所の生ゴミ、野菜くずなど)を入れる。
早く完熟させたい場合は、少し切って加えると良い。
米ぬかを加える。
次に、馬ふんを加える。
米ぬかや家畜ふんは、堆肥が熱を発し熟すのを進める。
馬ふんを加えたら、表面を落ち葉もしくはすでにあった落ち葉堆肥で覆う。
反対側も同じように片側に寄せて作業を進める。
最後に真ん中に温度計を差し、表面をシートなどで覆っておく。
ここでは生ゴミや堆肥の熱によって生じる水分を利用しているが、
シートで覆わない場合は全体に水を加えても良い。
早ければ翌日から温度が上がってくる。
下がってきたら、堆肥の切り返しと水分調整を再度行う。
完熟した堆肥を土に鋤きこむ日を楽しみにしながら、
何度かくり返し行い、堆肥をつくる。
有機物がたっぷりと含まれ、微生物の活動が活発な森の土。
目指すのは、このような「生きた土」である。
暮らしにそった土づくりは、庭仕事を豊かなものにしてくれる。
まだ挑戦したことのない人には、ぜひその喜びを知ってほしい。
十勝千年の森を取りまく環境は実にユニークで面白みに溢れている。
木々の下では落ち葉や腐葉土にたくさんの微生物がうごめき、
森から広がる草原には馬たちがゆったりと生きている。
牧草を育て、ヤギからミルクを搾り、蕎麦を栽培して農を営む。
動物も植物もみんな自然の一部なのだと、ここにいれば強く感じる。
そんな森のなかの庭だから、森に生きるものすべてが
つながりを持って土に還る場所にしたい。
循環する庭を目指して、ひとつひとつ積み重ねていく。
(新谷みどり/十勝千年の森ガーデナー)
※このブログは十勝毎日新聞の「十勝の庭づくり―キッチンガーデン紹介―(全5
回)」と連動しています。どうぞお楽しみに!