蕎麦彷徨

ひとりの素人が蕎麦について考えてきたことを書きしるすブログ

ホテルのあり方(2)

2008-12-14 | 

ロビーの最も目につきやすい本来フロントがあると思われるようなところにあるのは、お客の質問には何でも答えられるというコンシェルジェのデスクである。これは、すべてのお客が使う4基のエレベーターといくつかのレストランやショップを結ぶ「動線上」に最も接近する位置にあった。通常、コンシェルジェはフロントの端かその隣にぽつねんと座っているのとは異なっている。しかも、このデスクには常時2,3人がいて、お客の様々な要求に対応している。

私も宿泊中何回かコンシェルジェのところに相談に行ったのだが、実に対応は的確であった。アユタヤへのツアーを相談しているときには、私の希望を大まかに伝え終わると間もなくツアーの実行が可能かどうかが判明した。それは、もう一人が同時に旅行社に連絡していたからである。さらに、そのツアーから帰って昨日のコンシェルジェと話すと、私が要求したわけでもないのに日本語のできる案内人を手配してくれていたのだということが判明した(そのツアーは個人向けのツアー)。

さらに、ホテルの一番前にある玄関の話である。市内の見学に初めて出るとき、玄関のところにいる係員に、何のためにどこに行くのかと聞かれた。一瞬どこへ行こうとも勝手だろうと思った。しかし、そうではなかった。出かける客に対して「対応」しているのだった。ホテルの前にはタクシーはいない。景観の観点からそうしているのかどうかはわからないが、タクシーはいない。どこか見えないところにタクシープールがありそこから呼ぶのか、ホテルの近くを走っているタクシーを呼ぶのかわからないが、係の者が携帯か無線かで呼ぶ。その間、時間は少しかかるのだが、待っている間に少しの情報をくれる。そこに行くならどこの入口が良いとか、そこは混雑している場所だからスリに気をつけろとかのように・・・。

帰る時になってさらによくわかった。ホテルの機能の一部が一番前の玄関のところに移っている。帰る時は、客のホテルへの出入りが最も多い時間帯であったのか、玄関にはホテルのスタッフが10人位張り付いていた。まずは、その多さに驚いた。彼らはそれぞれのお客に対してきびきび対応していた。私達には、日本人のスタッフが、このタイではタクシーに乗るのが面倒なのだが、タイ人の係員を介してドライバーと交渉してくれた。それでも、タクシーに乗るときには、ホテルから不都合があった場合には、タクシーの番号をホテルまで知らせてくれという小さな印刷物までも渡された。

フロントの役割を少なくし、コンシェルジェの役割を拡大させ、どのお客も必ず出入りする玄関の位置でお客の利便性を最大限図る。こうした「ペニンシュラ」のあり方は、このホテルの独自性なのか、ホテルの新しい流れなのか、いまやどこのホテルにも当たり前のことなのか、この業界のことなど知りもしない上、ホテルには稀にしか泊らない私には判らない。しかし、お客の利便性を考えれば、このホテルのあり方はとても高く評価できるあり方だと思う。




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