玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

シンポジウムの記録

2018-01-08 19:37:14 | 記録
シンポジウム「玉川上水花マップって何?」の記録

高槻成紀

 2018年1月8日に小平市中央公民館で「玉川上水花マップって何?」と題してシンポジウムを開催しました。14時からの開催なので13時には集まりました。すでに10人ほどが来ておられ、スタッフが受付、会場準備などテキパキと動いていました。私はスライドの準備などをして、石井誠治さん、関野吉晴先生と談笑しながら待ちました。13時半くらいで席の8割がたが着席しておられ、予想より多いなと思っていましたが、14時近くになると満員になってしまいました。全員に「椅子をもって少し前に移動してください」というコールがあり、後ろのスペースが広くなったので、追加の椅子が入りましたが、それでも開始前にさらに外に10人くらいいるということで、一部の人には立ち見をしてもらうことになりました。


会場のようす


 予定時間の14時より少し遅れて始まり、はじめにリーさんが経緯などを紹介し、関野先生に引き継ぎました。
 関野先生は玉川上水での観察会がはじまったときの印象を話され、タヌキなど動物の側に立つ視線の重要さや、生き物のつながりを理解することの大切さを指摘し、熱帯林の特徴やバロコロラドの頂点捕食者の絶滅が思いがけない動物の絶滅を生んだ例を紹介しながら、地球永住計画という大きなテーマも花マップのような足元を見つめる活動が不可欠なのだという話しをされました。


講演する関野先生


 私は45分の時間をもらい、花マップを作ることになった経緯、実際に何をしたか、冊子を作るときにどういう大変さがあったか、そしてできたときの喜びなどを話しました。私がデータを示して、100ほどの橋について200近い花の記録がとれ、上位40種の表を示したとき、どよめきのような声が聞こえました。


データの例


最後に玉川上水の保全にふれ、E.ウィルソンの「アマゾンの熱帯林を伐採することは料理をするのにルネサンスの絵画を燃やすことと同じだ」という言葉を紹介し、玉川上水の破壊との対比を話しました。そのとき会場の人が深くうなずいておられるのがわかりました。私の講演の内容は こちら

 私の話についで、石井さんが上北沢で生まれ、子供の頃は田んぼがあってカエルの声を聞いた思い出、いまファッショナブルな街とされる下北沢もそのつながりであったこと、現在の暗渠が始まる浅間橋のこと、昭和初期の玉川上水の絵を紹介しながら、ヤマザクラの遺伝的多様性とソメイヨシノの多様性のなさ、当時植えられたソメイヨシノが2017年の台風で枯れたことなど話をされました。


講演する石井さん


 関野先生の話も石井さんの話も10分だったので、アンケートには「もっと聞きたかった」という声がありました。

 一休みしてから、参加者が壇上に登り、ひとことずつ感想などを話しました。最初に豊口さんが、会場に来るときに下車駅をまちがえたことと、花マップ調査で確認のために行ったり来たりしたことを重ねて話し、花マップ活動を通じて植物に詳しくなれたことの喜びを話しました。
 水口さんは花の季節変化と道路建設反対運動の話をしました。


水口さん


 足達さんは花マップ活動をするようになって植物を見る目が変わったことと、息子さんが玉川上水の映像作品を作った話をしました。


足達さん


松山さんは事務方としてのたいへんさや植物のビギナーとしての体験、また小学校(小平四小)での玉川上水の教育のことを話しました。


松山さん


小口さんは自然保護関係の体験とのつながりで地道な活動が水道局の理解を得られたことなどの話をしました。


小口さん


 安河内さんは横浜から引っ越してきて緑の豊かさによろこんだこと、息子さんが自然の中で遊べるすばらしさ、それもよかったが、花マップに参加して植物を深く知ることができるようになったこと、小金井の桜とほかの植物のあり方、玉川上水の連続性の重要性などについて話しました。


安河内さん


 石井さんは知っていた玉川上水を分担することになって改めてじっくり見ることができてよかったこと、メンバーが分担することで充実した情報が集まったことの価値について話しました。


石井さん


 松岡さんはデザイナーとしての立場から今回の活動に参加したことのよろこびを話しました。


松岡さん


加藤さんは花の撮影のコツやポイントについて体験からの話をされました。


花の撮影の話をする加藤さん(左)と安河内さん


 私は花マップ活動をすることで、たとえば「ウグイスカグラの名前がわかった」で終わってしまう観察会とは違い、同じ種の花ではなく、同じ個体の花をみて、先月は花だったのが、今月は果実になったというレベルで観察することの楽しさについて話しました。また発表者の話を聞きながら、例えば加藤さんの撮影技術、松岡さんのデザイン力、(調子にのって)高槻のスケッチなどを考えると、違う個性の絶妙の組み合わせがあって花マップができたこと、そのことを可能にしたのはリーさんの人柄だったと思うということを言いました。もうひとつは、今の日本の社会の閉塞感、物質的に豊かになったのは事実だが、そうであるのに誰も確かな手応えを持てない感覚があること、それを思うとき、具体的な場所で、具体的に花が咲いていることを記録することには確かな手応えがあるということを言いました。


登壇した参加者


 最後にリーさんが花マップの活動が始まったときはどうなるか、どういう意味があるかよくわからなかったが、実際に始めてその意味がわかったこと、多くの人が協力してできたことのすばらしさ、自然に活動が広がってきたことなどを話しました。


まとめの話をするリーさん

 ここでだいたい16時になり、予定の時間になったので、中締めをし、一部席を立つ人もおられましたが、ほとんどの人は残り、質問がありました。
 2時間ほどのあいだ、参加者は非常に熱心に聞いておられました。私は、参加者は多くても数十人と思っていたので、200人も来られたことに驚きました。それは、それだけ多くの人が玉川上水に関心を持っておられるということだと思います。同時に、自然観察のやり方としても、花マップというアプローチとその産物としての冊子にも興味があったのだと思います。そのことは多くの人が参加されただけことからだけでなく、文字通り静聴されたことから感じました。
 玉川上水の本は完売し、1階に貼っていた花のパネルはあっという間になくなったそうです。それに、「私も花マップ調査に参加したい」という人が10人ほどおられ、アンケートに参加希望を書いた人を合わせると30名に達しました。
 ささやかなグループが開催したシンポジウムとしてはすばらしいものになったと思います。

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