映画と音楽そして旅

主に懐かしい映画や音楽について…
時には新しい映画も…

(シネマ雑記帳) 映画「モロッコ」

2006-09-11 00:02:36 | 映画
 1930年と云う私がまだ生まれる前の古い名作に、やっとお目にかかることが出来ました。
フランス本国から流れて来て男装で唄う酒場の歌姫…アミー・ジョリー(マレーネ・ディートリッヒ)には、なにか酒場に寄ってくる男達を惹き付ける不思議な魅力が…
 外人部隊に入隊して3年目の兵士トム・ブラウン(ゲーリー・クーパー)…この二人はたちまち惹かれ合う…
 彼が彼女に言った有名な殺し文句は…「もう十年早く君とめぐり合いたかった…」
 炎熱の地獄…果てしなく続く砂漠…北アフリカ・フランス領モロッコの、エキゾチックな風景を背景に展開するラブ・ストリーでした。
 物語に一抹の哀愁が漂うのを感じるのは、フランス軍隊独特の組織「外人部隊」の存在でしょう。フランスでこの制度が出来たのは海外植民地の維持に、正規軍の損害を少しでも減らす目的でナポレオン三世の頃に創設されたと云われます。
 入隊には本人の国籍・前歴などのすべてが不問にされたので、フランス本国で食い詰めたならず者や犯罪者などが、金と引き換えに軍隊に生命を預けました。
 私はまだ見ていませんが外人部隊を題材にした映画は、同名の映画の外に「ボージェスト」など多数あるようです。
  
  …唄ってあげましょ故郷の歌を  セーヌのたそがれ瞼の都
  花はマロニエ シャンゼリゼ   赤い風車の踊り子の… 
  男と同じく本国から流れ着いた女性も多くいたようで、お互いの胸を横切るのは…異国で出合った二人の胸に去来するのは、故郷への望郷の思いだったのでしょう。
 別の邦画の主題歌で「ここは地の果てアルジェリア…」と少し違いますが、エト邦枝が歌った大高ひさをの歌詞は遠く離れた異国で、懐かしい祖国の風景を夢見る二人の気持が伝わって来ます。
一時はトムは軍を脱走してアミーと国外脱出を考えますが、金持ちに求婚されていた彼女の幸せを考え身を引きます。
 上官との間にもいろいろの事件もあって、彼は再び生きて帰れないかも判らない砂漠の彼方…最前線へと向かいます。

  あなたも私も買われた命   恋してみたとて一夜の火花
  明日はチュニスかモロッコか……        
   芸術プロ作品(1955年 日本)「深夜の女」主題歌「カスバの女」より
 そして…あの有名なラスト・シーンになるのですが…
 ご存知の方は瞼の奥に焼きついているあの感動的な場面を思い出してみて下さい。
 ご存知でない方は…この歌詞と(少し写りの悪い)スチール写真で適当にイメージして見て下さいね。
 部隊が去って行く時の太鼓の音と彼らを追う女たち…砂漠を吹き抜ける熱い風が作る風紋が…詩的な情景描写に仄かな哀感が漂うようなラストでした。
 二人の思いはこの最後のシーンに凝縮されているのではないか…と感じました。
 
 
 
 



(ふるさと再訪)「一条通五丁」

2006-09-11 00:02:00 | 旅 おでかけ
 中央環状線から地方道30号線大阪泉南線を南下、しばらく走ると私が幼少期を過ごした自宅あたりになりますが、あの頃の面影は全然見当たりません。
 普通の住宅や商店の間に田圃や畑があったりして、初夏にはアカシヤの街路樹が鮮やかに目に沁みて、夏には程よい木陰を作って涼風がそよぐこともあったので、街路樹の下でよく勉強したりしました。
 でもそれは戦争が激しくなって行くに従がい、やがてアカシヤの樹はすべて切り倒されて、僅かに出来た空き地にサツマイモや菜っ葉が植えられました。
 本土爆撃が始まると今度は歩道が全部掘り返されて、町内会の男の人は毎日防空壕作りに汗を流していました。私の母など婦人会の人たちはバケツ・リレーなどの防空演習や防火用具作りに励んでいました。