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エスペラントな日々

エスペラントを学び始めて28年目である。この言葉をめぐる日常些事、学習や読書、海外旅行や国際交流等々について記す。

太陽と雨

2008-01-07 | 読書ノート
 最近読んだエスペラント原作の本である。
 作者はデンマークの女性作家で、70年代に活躍した。様々なテーマで15編の短編が収められている。
 この本で一番楽しかったのは製本である。1枚の大きな上に片面8ページ、両面で16ページ印刷し、それを半分筒に3回折って、糸綴じ製本をする。それを何冊は集めて一冊の本に仕上げる。周囲はカットしないままで、いわば「袋とじ」のようになっているので、それをペーパーナイフで切りながら読むわけだ。

 短い話を一つだけ紹介しよう。「Malfacila tasko:難しい課題」
 母親が出かけようとして子供たちを捜す。2人は花壇にいた。6才の Flemming は熱心にペチュニアを正確な直線にしたがって植えている。4才の Joc^o がそのあとからこれまた一生懸命にそれを抜いている。母親が叱りつけると、Joc^o は雑草を抜いているんだと主張する。
 母親は「街まで行ってくるから、Flemming は豆の皮をむいておいてちょうだい。たくさんあるけど今晩はお客さんがあるからね。Joc^o はいい子だからお母さんの大事な花に触らないでね」と言いおいて出かける。
 Joc^o は 隣のおじさんが草刈り機を使っているのを長い間見ている。大きくなったら庭師になって、自分の好きなように草を刈ろう・・・。豆の皮むきが終わった Flemming としばらくは一緒に遊ぶが、やがて飽きてしまう。再び1人になった Joc^o は「庭師になるためにはそれだけの練習をしなくっちゃ」と思う。
 母親が帰ってきたとき、大事な花がむしられているのを見る。
 「Joc^o!」「ここへ来なさい!」「おお、Joc^o、どうしてこんな事をしたの? 悪い子ね。Flemming を見なさい、私が頼んだようにちゃんと豆の皮をむいてくれたでしょう? あなたにはお花に触らないでって頼んだはずよ」
 Joc^o はしばらく黙って考えていたが、やがて言った。
 「だって、ママ、僕の方がずっと難しかったんだよ。Flemming は豆の皮むきだけだけど、僕はお花に触っちゃいけないんだ、それも一日中だもん!」
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